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10話 景色

「その話が、本当ならばロイヤルヒルは昔から形を変えずに存在しているという事になるわね」

「うーん……形は、変わっているかもしれないけどね。でも、なんだか見る度に圧倒されるよ。その存在感に……ただの丘とは違うよね」

「そうね。まだ、見ていないけど楽しみだわ。最初は、何処に行くの?」

「まずは、ロイヤルヒルから行こう! その後、湖の畔でピクニックなんてどうかな? まだ、お腹が空いてなかったら、森林の中を歩いてみるというのも楽しそうだよね! 僕の予定では、ロイヤルヒルの頂上に登ると疲れるからピクニックの予定だよ」

「分かったわ! まずは、ロイヤルヒルの方へ行きましょう」


 私たちは、ロイヤルヒルの方角へ歩いていく。

 遠くからでも丘が見える。

 だから、相当な高さがあるのでしょうね。


 そして、10分ほど歩くと丘の麓へ到着した。


「ここから見ると本当に圧巻な感じね。今から、これを登っていくのだと思うと気が滅入りそうだわ」

「そうかい? でも、登った後の景色を見れば、自然と心が安らぐと思うよ! 本当に綺麗なんだ!」

「そこまでいうのなら…………登ってみましょうか」


 そういうと、リリスが耳打ちをしてきた。


「お嬢様、その靴で本当に登れますか?」

「でも、ここで断るとスザクが落ち込んでしまうかもしれないわ。そんな姿見たくないもの」

「ですが、無理は禁物ですよ!」

「ええ。分かっているわよ」


 リリスと話していたら、スザクが話しかけてきた。


「フィオーレ、その靴で大丈夫かい? 気付かなくてごめんよ……無理そうだったら僕がおぶるよ!」

「頼めるかしら?」


 スザクは、任せてと言い私を背負ってくれた。

 それを見て、ヘンリーが直ぐスザクに声を掛けていた。


「スザク様! そのようなことは、私がいたします。貴方様に人を背負わせるわけには参りません。フィオーレ様、どうぞ私の背中にお跨がりください」


 そのようなこと。だなんて私に対してとても無礼な発言だが

指摘しないでおこう……。

 流石にスザクに跨っているのは不味いだろうし……。

 彼は、公子なのだ。

 私よりも位の高いスザクの上に乗るのは、無礼にも程があるだろう。


「!! スザク、大丈夫よ。ヘンリーさんもこう言っているのだし、彼に背負って貰うわ」

「え? そうかい? 僕は全然大丈夫だよ。このまま、フィオーレを背負って登っても…………」

「ここは、貴族だって多く来ているじゃない? そんな所を誰かに見られるのは不味いわよ……」


 そう言うと、スザクが降ろしてくれた。

 ヘンリーは、笑顔で「どうぞ」と言ったが嫌々なのが伝わってくる。


「じゃあ、ヘンリー。フィオーレの事は任せたよ!」

「かしこまりました、スザク様!」


 リリスは、心配そうな顔で私の方を見てきた。

 ロイヤルヒルを登りはじめると、案外丁寧に運んでくれているようだった。

 たとえ、私のことを嫌いであったのだとしても主人の前では良い顔をしたいのだろう。


 そして、ついに頂上へと辿り着いた。

 ヘンリーに降ろしてもらいその景色を眺める。

 スザクが言っていた通り、格別の美しさがあった。

 丘の頂上からは、遠くの街まで見ることが出来た。


「本当に美しいわね! 自然も沢山あって、雰囲気が良い街よね! それに、一軒一軒が歴史を感じる作りになっているのね」

 

 全体的に童話の中のような色調の家ばかりであった。

 そして、これから行くミッドラーズ湖が見える。

 とても美しく幻想的だ……。


「そうだよね! ここは、僕のお気に入りの場所なんだよ。是非、フィオーレにも見てもらいたかったんだよ! この景色を……」

「嬉しいわ! スザクのお気に入りの場所を教えてくれるなんて…………! 次は、私のとっておきの場所を紹介するわね。一緒に行きましょう」

「ありがとう! フィオーレのお気に入りの場所か〜楽しみだな〜」


 スザクと行くのなら、何処でもとても大切な場所になってしまう。 

 ロイヤルヒルから眺める景色と比べれば、見劣りはするだろう………。

 私にとっての、お気に入りの場所はアルセナーリナ領にある場所だ。


「お嬢様! あちらをご覧ください! 宮殿のような建物がありますよ!」

「あれは、遠い昔に建てられた皇帝陛下のお住まいよ。たしか、中は見学出来るんじゃなかったかしら? あまり、詳しくないのだけれど……」

「フィオーレ流石だね! その通りだよ。今では、中を自由に見学出来るんだよ。昔だと考えられなかったのだろうね。あそこに、入ることが出来るなんて……フィオーレ達は行きたいかい?」

「ええ、是非。たしかにそうね。歴史を感じるわよね。今では見学出来るだなんて」

「お心遣い感謝いたします、スザク公子様!」


 そして、ロイヤルヒルから降りることになった。

 今日は、周りたいところが沢山あるらしい。


「下りもその靴だと危ないよね。また、ヘンリーに担いで貰った方が良いんじゃないかな?」

「あ、ありがとう。でも、大丈夫よ。二度も背負ってもらうなんて流石に申し訳ないわ……」

「うーん、そうかい?」

「ええ!」


 そう言うと、スザクは「分かった」と頷いた。

 下りは、歩きづらかったが何とかなりそうな感じだった。

 それに、背負われると周りの視線を感じるのよね。

 不恰好な感じにも見えるし……。

 ここは、何としてでも断ろうと思っていた。

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