チート能力
剥奪されるのはもう少し進んでからです。
マーロン家の一室にて、元気な赤子の産声が聞こえた。
周りには大勢の兵士(恐らく護衛)がいた。
そう、俺が産まれたのだ。
俺は泣き叫びながら思った。
(絶対社会的な位の高いところに転生しただろ、俺)
こんなに人が集まる出産式なんてあるのか?
そんなことを思いながら俺――サロス・マーロンはマーロン家の次男として誕生した。
俺は10歳になった。
俺はすくすくと成長し、筋肉もかなりついてきた。
髪は父親譲りの黒髪で、転生前のようで少し懐かしさを感じている。
また、つい先日知ったことなのだが、この世界では10歳になると神々から恩恵を貰う儀式があるらしい。
ここでどのような恩恵を受けられるか、それにより職業が決定されるらしい。
「サロスはどんな恩恵を授かるのかしら~」
そう言ったのは俺の母親であるスージー・マーロンだ。
普段からおっとりとしていて、どことなくあの神様を思い出させる。
「どうやら親と似たものを授かる確率が高いらしいよ」
こちらは父であるルーカス・マーロンだ。
先代の勇者であり、スージーとは現役の頃、同じパーティーで、活動していたらしい。
そして俺が産まれたマーロン家は、この都市でもトップクラスの上流階級であり、勇者の家系でもある。
俺のただ1人の兄弟で、2つ上の兄は、この恩恵に恵まれず、家を出て行ってしまった。
だからこそ、俺には期待がかかっている。
「サロス、お前はどのような恩恵だったとしても、人を守る、そんな人になりなさい」
「はい、父様」
「緊張せずに、リラックスして行きなさいね」
これがマーロン家の日常である。
昼食を終えた俺は、儀式が行われる聖堂に向かっていた。
きっちりとタキシードのようなものを着こなして、胸を張って歩いた。
異世界に転生して、早10年……今のところ家で剣術を習ったり、魔法について学んだりしているだけだったが、今日の儀式こそ異世界っぽくて結構ワクワクしている。
……そして俺の予想だと、ここで俺は特典のチート能力を授かるのだろうと、直感的に思った。
今までその能力に関して何も分からず(あれ?神様嘘ついたのか?)とか疑いだしていたが、嘘つきではなさそうだ。
そんなこんなで聖堂に到着した俺は、儀式が始まるまで待機していた。
時間となり、みんなが座っている椅子の隙間(結婚式とかで新郎新婦が通るところ)を通り、女神を模した像の前で片膝を付き、手を体の前で組み祈った。
すると、俺の体は強く光りだした。
そして脳内に声が響く。
『こんにちはサロス様、お元気でしたか〜?』
(いや、あんたかーい)
この世界で崇められている女神様ってあの神様のことだったのかよ……
『さて、10歳になられた、ということで私から恩恵という名のがチート能力を与えますね〜』
(お、やっぱり忘れられて無かったのか)
『それではいきます〜。あなたには【守る者】という能力を与えます〜。この詳細については自分の頭の中に勝手に入っているのでご安心を〜。では〜』
という言葉を残して光は収まり、周りにいた人たちから拍手が起こった。
みんなが口々に「すごかったな」とか言ってるのを横目に俺は能力を確認した。
【守る者】
『この能力は自分の仲間、もしくは守るべき存在がある時、自分の基礎能力が30倍になる。また、その存在が負傷した際には、更に10倍になる』
(うん、完っ全にチートだわこれ)
どうやらチート能力というのは嘘でもなく、盛ったというわけでもなかった。
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