点数競争
「おい!高峰!お前、今回のテストは何点だったんだ!」
高峰と呼ばれたほんわか系女子は、ひらりと自分の答案用紙を見せた。
それは、丸ばかりがたくさん並んだ満点の答案であった。
「西野くんは何点だった~?」
彼がばっと答案用紙を見せると、そこには95と書かれていた。
「かーっ……!今回も俺の負けかーっ!やっぱり高峰には敵わないなあ!」
悔しそうな西野くんに対し、
「いやいや、たまたまだよ……。」
と、高峰さんは苦笑いで答えた。
この光景を見ていたクラスメイト達は、
「またあの2人競争してるよ……。」
「というか95点も充分すごいんだよなあ……。」
などと口々に言い合っていた。
◼️◻️◼️◻️◼️◻️
その日の帰り、高峰さんと西野くんは学校から少し離れたカフェで一緒に勉強していた。
「え……っと?式は立てられたけどこれどうするんだったか……?」
「ほら、この形は部分分数分解だよ。」
「ああ……あれ?うまくいかないぞ?」
「どれどれ……あ、ここ、計算間違えてるよ。」
「あー本当だ……。」
こんな感じで2人はよく一緒に勉強し合う仲であった。
クラスメイトには隠していたが、つまるところ付き合っているのだ。
「あーあー。こんなに頑張ってるのに、全然、高峰に勝てないなー!」
「えぇ……でも、西野くん、すっごく順位上がったじゃん!」
「そりゃあ、元々がほとんど底辺だったし……。」
「私も西野くんに教わること多いし。特に英語とか!
……というか、数学苦手なのに理系を選んだの、すごく驚いたよ。てっきり語学系に行くのかと思ってた。」
「いやー……だってさ、好きな子と同じ進路行きたいし、好きな子の好きな科目は俺も気になるし。
……本当は教えられるくらい得意になれれば、格好良いんだろうけど!」
西野くんは真っ直ぐと高峰さんの眼を見つめながら言った。
「……そっか。じゃあ回転体の体積なんかに負けられてないね。」
高峰さんはそう呟くと再び問題を解き始めた。
西野くんは、ギクリという顔をしたあと、もう一度自分の解答を見直し始めた。
高峰さんはちらりと西野くんの真剣な表情を見た。
「好きな子」ってはっきり言えちゃったり、
本当は勉強が嫌いなのに私と付き合ってからすごく頑張り出して結果を出したり。
あーあ。やっぱり
「西野くんには敵わないなあ。」
高峰さんがこう言うと、西野くんはきょとんとした表情になった。
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