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69.光

「ここは一体何なんだ」


俺の声が静かな部屋に響く。

隣に座るサラもじいさんを見ている。


「ワシの家じゃよ」


ゆったりとした口調でじいさんは答えた。


「家……ね」


こんな所に住んでいるとか、それはまたまた悪趣味なことだな。

こんな気味悪い所に好き好んで住んだら、俺だったら頭がどうにかなりそうだぜ。


「それとな」


すると、じいさんはそう言った後、間を置き、


「ワシが唯一存在出来る場所でもある」


と言った。

それはどういう意味だ?

一番最初に思うであろう、率直な疑問。

それは俺もサラも、顔にも出ていたであろう。

存在出来る唯一の場所。

意味が分からない。


「ここでないと存在出来ない、外じゃとワシは死んでしまうからのぅ」


笑い混じりにじいさんは言った。


「死んで……しまう?」


これまた分からない。

何かの病気持ちか?

それとも、寒くて凍え死んでしまうとか言うんじゃないだろうな……。


「それは、どういう事なんですか?」


すると、俺が聞く前に、サラがじいさんに問った。

すると、驚きの言葉が返ってきた。

じいさんは小さな事のようにこう言ったのだ。


「ワシはこの時代の人間では無いからのぅ。言わば、過去の人間じゃ」


ほっほっほっと、笑っているじいさん。

しかし、言っている内容は笑い事じゃない。


「紹介が遅れたのぅ。ワシは……そうじゃの、クレオスとでも言っとこうかの」


……いい加減だな。

でも名前なんかどうでもいい。


「俺たちに分かるように説明してくれないか、そのビバッチの事もな」


こちらを向くビバッチ。

その目はいつもと違っている風に見えた気がした。

すると、俺の言葉を聞いたクレオスはビバッチを見て、何やら合図をしていた。

と、その時だ。

突然の発光、それはビバッチからだ。

俺とサラは目を眩ませていた。

そして、光が収まった時、俺たちの前には一人の金髪少女が立っていた。


「まったく、こんな姿で動き回されるとはな」


少女は長い金髪をサッと手で払い、愚痴を言っていた。

その光景にもちろん驚く俺たち。

魔物から人間に変わっただと?!

もう何が何だか……。


「この子はのぅ、ワシが作り出した光の結晶じゃ」


光の結晶……?


「まぁ魔術で作り上げた存在と考えてよい」


となると、この少女は人間でも魔物でもないのか……。


「信じられないな……」


「そうじゃろうな。なんたってこの術を使えるのはワシ入れて二人だけだからのぅ」


もう一人居るのかよ。

……などと突っ込みはしないが、


「じゃあ、何でその光の結晶とやらは俺たちに関わってきたんだ」


「シャインだ」


腕を組んで少女が言った。

……じゃあ、シャインはどうして俺たちに関わってきたんだ。


「この世界の光を見つけたからだ」


「光って……私たちの事?」


「そうだ」


俺たちが光?

光って何だ?


「光はこの世界において重要な存在。誤った道を進んだ闇を抑える為の。そしてお前たち二人が捜していた光。受け継がれた存在」


……ん?受け継がれた?

それはどういうことだ。


「過去にあった大異変、闇の暴走を食い止めた二人の男女から光を受け継がれた存在がお前たちだ」


大異変って大不況の事か?


「違う。だが、関係はしている。あれは闇が暴走してしまった事による後遺症だ」


……えっと、何だ?

とりあえず、俺とサラが光で、光は闇を抑える為の存在で、それが俺たちに受け継がれ、クレオスとシャインが俺たちを捜し見つけ、最終的にはここに連れてきた……と。

いくらなんでも急展開すぎるだろ……って、ん?


「もしかして、あの力。あの変な宙に浮かぶ魔物を倒した時の力が光か」


「魔物?お前ら、ヴァジュラと戦ったのか?!」


シャインが驚いていた。

何だ?あの魔物はヴァジュラというのか?


「ヴァジュラ……、『決して壊れないもの』……まさか現れているのか」


すると、クレオスがそう言った。

そして、シャインと同じく驚いている様な口振りだった。



あのぅ……、まだまだ全然話にピンと来ないし、聞きたいことも沢山あるんだが……。


「……ん?おぉ、分かった。とりあえず、お主らの質問に答えるとするかのぅ……」


そう言ったクレオスの表情は少し焦りが見えたようにも見えた。

全然話が読めない中、とりあえず俺たちは質問もし始めたのだった。








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