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66.診察

「着きました」


そろそろ日が暮れて夕方になりそうな頃、俺たちはモコモコのジャンパーを羽織って元気にはしゃぎ回る子供たちを尻目に、普通の家から雪で出来たドーム状の建物に目をやっていた。


「ねぇ?あの雪で出来たのって何?」


「あぁ、あれはかまくらです」


サラがロゴスに質問をした。

そして、かまくらという返事が返されていた。

……かまくら、ね。

何であんなのがあるんだ?


「あの大きさ、そして出来から見て、子供たちが作ったのでしょう」


子供たちがか?

それは凄いな。


「しかし、職人の作るかまくらは私たち全員が入れて、なおかつ丈夫。そして、中で温かいものを食べるとなると、それはそれは良いですよ」


わざわざ、寒い中温かいものを食べるのか?

俺には考えられないな。



ロゴスの住む村アグライア。

雪原を抜けて、俺たちは到着した。

現在は雪が降っていて寒いが、その寒さを忘れさせてくれるような温かい各家の光がとても綺麗だ。

絶景ってやつだな。


「こんなところで立ち話もなんです。私の家に行きましょう」


「賛成~。早く行きましょ」


カエデが死にそうな声で言った。

そして移動し、平凡な一軒家に着いた。

中に入ってもこれまた平凡。


「奥の部屋は本だらけですけどね」


困った様な表情をしてロゴスは言った。

まぁ、どうでも良いんだけどな。


「とりあえず、好きなところに座ってください」


そして、俺たちは各自座った。


「で、どうするの?」


セツナが口を開いた。


「今日は休むわよね?」


「あぁ。そして明日はサラを医者の所に連れていく」


俺は速答した。

その為にここに来たんだからな。

そして他の皆も了解の意を示していた。

……明日か。


「サラ、良くなれば良いね♪」


「うん」


サラの記憶戻れば良いな。






次の日になり、俺たちはロゴスの紹介で、サラをアグライアで一番優秀な医者に見てもらえることになった。

顔が広いロゴスに感心しつつ、俺はサラが早速診察をするということで、診察室に入っていくのを見送った。

頼むぜ医者、そして神様。

俺は今までにない祈りを捧げていた。

これは他の皆も俺とおなじ気持ちであろう。

記憶喪失、時には忘れていた方が良かったというパターンもあるっちゃあるが、治った方が絶対に良い。

だから、何らかの進展を見せてくれ。



そして時間が経ち、


「終わりました」


診察室から医者が出てきた。

俺たちは一斉に医者に顔を向け、そして聞くのだ。


「サラは……、サラの記憶はどうなんですか?!」


すると、医者は表情一つ変えずに、


「分かりません」


と答えたのだった。

……分かりませんって、どういうことだ?

そして、俺たちは医者に説明を受ける。


記憶を失っていると聞き、脳に傷害があるかどうか調べたが、特に変わったところは無いと言う。

そして、他にも彼の知識の中でいろいろ調べたが、異常は無い。

よって、原因は記憶が無くなる前に何か辛い場面の体験によるショックなどではないかと。


そこまでだったら、長期に渡り、いろいろ治療法はあると言う。

しかし、『分かりません』と言った理由はこうだった。


「脳の周りにうっすらと霧がかかっている風に見えた」


これは一体どういう事かと聞いても、医者は初めてらしく分からない。

だから、『分かりません』と言ったのだ。

彼の知識の中には無い脳の周りに漂う霧。

いや、霧なのかも分からないらしい。

とにかく、記憶喪失の原因はそれかもしれないという予測もしているみたいだが、どうなのだか。

とりあえず、治療を行うかどうかはサラの判断に任せるらしい。

そして、俺たちはサラと対面した。


「霧かもしれない」


サラの第一声がそうだった。


「ほら、私が初めて治癒術を使った時。あの時、脳内に霧がかかっている様な気がして、それが少し晴れたような気がしたの」


あぁ、確かにそんなことぽろっと言っていたっけ。


……もしかして、サラ自身にも自覚があるんだとしたら……。



霧、それは一体何なのか。


考える必要がありそうだな。








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