63.ベリタス橋到着
宿屋とよろず屋、そして関所。
これらはベリタス橋の手前にある施設だ。
滅多に人は通らないらしく、余計な物は何一つ無いって感じだ。
そう、殺風景な所だ。
「でも、それが良いんじゃありませんか」
「そうね。私も好きだわ、こういうところ」
ロゴス、セツナが言う。
まぁ、殺風景とは言ったが、静かで精神修行とか邪魔されずに出来そうで良いけどな。
あと、一人になりたい時とかね。
「ビー」
因みに、ビバッチは今サラの腕の中だ。
そう、ここに着いた時からビバッチは、俺たちから逃げようとはしなかったのだ。
逆に俺たちについてくるようになった。
……ベリタス橋に来させたかったのか?
「そういえば」
俺の隣に居るサラが言った。
「夢中になってビバッチを追いかけてたおかげで、暑さに負けることなくここまで来れたね」
まぁ、そういえばそうだな。
特に俺なんかは考え事をしてて暑さなんて感じる余裕無かったし。
「でも、疲れは皆さんあるでしょう。ベリタス橋を渡るのは、少し宿屋で休んでからにしましょう」
ロゴスが言った。
まぁ、そうだな、そうした方が良いだろう。
何てったって、次に向かう所は雪が降り積もる銀世界だ。
万全の状態が望ましい。
「おっとっと!どうしたの、ビバッチ?!」
と、その時、サラが声を上げた。
その声を聞いた俺は、サラへ顔を向けた。
すると、サラの腕に抱えられてるビバッチが暴れていた。
「ビッ!ビー!」
今度はどうしたんだ?
また、抱き抱えられているのを嫌がっているのか?
「ビー!」
その時、俺とビバッチは目があった。
………………。
えっと、なんとなくだけど、橋に反応している風に見える様な見えない様な……。
「ビッ?!」
あ、ビバッチが……。
「もううっさいわね!サラ!こんなブサイクなの置いて早く宿屋に行くわよ!」
「ちょ、ちょっとカエデ?!可哀想だよ殴ったら!」
カエデはビービー鳴いてたビバッチを殴った。
そしてサラの言葉にそっぽ向き、一人で宿屋に入っていった。
「ヒロ大丈夫~?」
ルミナがビバッチを撫でていた。
って、ヒロなのか?!ヒロになちゃうのか?!
「とまぁ、私たちも宿屋に行きましょう」
…………、そうだなロゴス。
なんか展開が急で忙しいな……。
「まぁ、良いんじゃない?こういうのも」
何を根拠にそんなことを言ってるんだグレン。
ぐだぐだじゃねぇか。
とまぁ、俺たちは宿屋に入った。
またまた言うが、次に向かう所は雪が降り積もる銀世界だ。
ここで、暑さから寒さに堪えるために切り替えをしなくては。
「すいません、部屋を貸してください」
「はい。えっと、人数は七人……と?」
ん?どうしたんだ?
宿屋の人の視線はサラに向いていた。
…………まさか?
「すいません、ペットは入室禁止です」
「ビッ?!」
あ、あ~あ……。
『ビッ!ビッ!ビー!』
昼食を済ませ、部屋で準備をしてる俺たち。
「ビバッチちゃん、もう少し待っててね」
サラが窓の外に向かってそう言った。
そう、結局ビバッチは部屋に入れなかったのだった。
よって、外に放した。
すると、窓の外で待っていたというね。
まだ俺たちに用があるのか、それとも……なついたとか?
「無い……よな」
「ん?何か言った?」
「いや、何でもないよ、グレン」
まぁ、今ビバッチはどうでもいいか。
気持ちを切り替えないと……。
俺は自分の顔を軽く叩き、気合いを入れた。
よし!準備万端だ!
「それじゃあ、みんな。ベリタス橋を渡りますか」
そして俺たちは宿屋を出た。
後に俺は橋の向こうを見た。
白銀の世界はすぐそこだ。
そして俺たちは調達したマントを羽織り、ベリタス橋の関所へと向かった。