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51.消滅

何がどうなっている?


くないがすり抜けただと……。


あり得ない、カエデの投げたくないは的を外さずど真ん中に行ったはず。


「今のはたまたま避けられただけよ!…よし、もういっちょっ!」


カエデはそう言うと、今度は両手にくないを持ち、謎の生物に向かって投げた。


「…………」


真夜中の林道に鈍い音がした。


「何でよ?!」


またしても、くないは岩壁に刺さっていた。

そう、それは謎の生物には物理的ダメージは与えられないということを知らせていた。

と、いうことで……。


「分かってるわ」


そう言うセツナは魔術の詠唱に入った。


「吹き荒れろ、風魔の暴君――トルネード!」


トルネード。

名前の通り、竜巻を発生させる魔術だ。

その魔術だが、謎の生物の下から風が吹き荒れ、竜巻が発生した。

流石セツナ、凄い威力だ。

普通の敵なら一撃だろう。


「でもこいつは……」


「効いてないわね」


謎の生物は何事もなかったかのように、ふわふわ宙に浮いていた。


「一体どうなっているんだ?」


グレンも驚きを隠せないみたいだ。


「ねぇ?攻撃しても何もしてこないなら、通っちゃっても大丈夫なんじゃないかな?」


サラがそう言った。

まぁ確かに、ここまで攻撃を加えて食らってないにしろ、何もしてこないしな。


「多分大丈夫だよ」


そう言ったサラは一歩前に出た。


と、その時だった。


「きゃあっ?!」


「サラ?!」


サラは宙に浮いていた。

いや、浮いていたんじゃない、


「こいつ!」


とうとう本性を表しやがったか。

サラは謎の生物に捕まってしまったのだ。


「サラ!今助けるぞ!」


俺は剣を抜いた。

他のみんなも戦闘体制に入った。

そして、効かないと分かっていても謎の生物に俺が突っ込んだ時だ。


「なっ?!何?!」


俺たちは立ち止まった、……いやこれまた違う。


「体が……動かない?!」


俺、いや、他のみんなも金縛りにあったかのように動けなくなったのだった。

くそっ!何なんだよ?!


「うっ?!」


サラの声が漏れる。

締め付けられる痛みに耐えている。


「サラ!」


俺はサラの名前を叫ぶ。


「くぅっ!」


くそ……。


「うぁあ?!」


くそ!くそっ!


「っぁあ!!」


動けよ!俺の体っ!


そして。



「動けぇぇえ!!!」



そう俺が叫んだ瞬間、俺の体は自由を取り戻していた。

しかしその俺だが……。


「ヤス?!その光は一体?!」


グレンの声がうっすら聞こえる。

そう、俺は自分の全身が光に包まれているのを心の中で感じていた。

しかし、今の俺は俺でない気がしていた。

そして……、


「一撃で仕留める」


そう言った瞬間、俺はもう謎の生物の後ろで剣を振り切っていた。

それはまさに光の如く。


「グゥオォォウ?!」


悲鳴を上げる謎の生物。

そして、サラだが、束縛から解放され、謎の生物から逃げていた。





物理、そして魔術が効かなかった謎の生物に光をまとった俺の攻撃は明らかにダメージを与えていた。

そんな俺は、剣を鞘にしまう。

すると、同時に俺に帯びていた光、そして謎の生物も声を上げて消えてしまった。

その瞬間。


「ヤス?!」


皆が俺の名を叫んだ。


「……さっきのは一体……」


俺はその場に膝をついていた。



頭の中が真っ白になった俺はかろうじて、俺に近付いてくる仲間の足音に耳を傾けていた。








これで第一部終了です。

次回から第二部に入ります。

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