42.再開
「…………」
地下に牢屋、これは結構定番であろう。
前に読んだことのあるファンタジーの小説に出てきた城の地下にも牢屋があったからな。
まぁ、そんなことはどうでも良いか。
とりあえず、扉を開け中を見た結果だ。
「こりゃまた、静かだねぇ~♪」
ルミナの声が響き渡る。
「ビンゴだな」
そこは地下牢であった。
滴る水滴の音が響き渡り、肌寒い。
俺たちは地下牢がある部屋に入り、扉を閉めた。
「グレンたち何処だろうね……」
サラが辺りを見渡す。
地下牢は奥まで続いていて、結構広かった。
と、その時だ。
「ねぇ!早く出しなさいよ!私たちにはやることがあんのよ!」
奥の方から女の声がした。
って、この声は……!
「カエデ!」
サラはそう言って奥に走り出した。
「お♪見つかったのかな?♪」
そして、ルミナもサラを追って走り出した。
間違いなさそうだ、この声はカエデ。
何とか見つけることが出来たな。
そして、俺も二人を追って奥へ進んだ。
「こらっ!居るなら返事しなさいよ!」
「はいはい、何でしょうか?盗賊女様」
「なっ?!盗賊女ですってぇ?!こらっ!そのあだ名で呼ぶ…なっ……て………」
「それはそれは申し訳ありませんでした、盗賊女様」
「「「!!!」」」
俺はとある檻の前にすっと出た。
檻の中にいる三人の表情は皆一緒で、驚いていた。
まぁ、そりゃそうか。
「「ヤス!!!」」
こらこら、騎士たちにバレちまうだろ。
そんな声出すなよ、グレン、セツナ。
「あ~ん~た~!何処行ってたのよっ!私たち三人がどれだけ……」
……どれだけ?
「あぁ~っ!もうめんどくさい!」
「何なんだいったい……」
カエデはそっぽ向いてしまった。
とまぁ、檻の中にグレンたちが居るのを見つけた。
しかし、三人とも疲れぎみかな。
そこまでして俺たちを探してくれていたのか。
「でもいったい、どうしてこんなところにヤスたちは居るんだ?どうやって入ったんだ?」
「んなことは後だ。とりあえず、早くここを脱出するぞ」
そう、今頃ロボットたちが地上で騒ぎ回り、それに気づいた騎士たちもそろそろ動き出すはずだからな。
「んじゃここは私が♪」
すると、ルミナが武器を構えた。
「ちょ、ちょっと?!」
前に居たカエデがそれを見て急いで後ろに下がった。
そして………。
「……容赦無いな」
「へへ~ん♪」
ルミナの一撃により檻に穴が開いた。
小柄のくせしてその力は侮れないな。
「おやおや?♪誉めても何も出ないぞヤスっち♪」
はは、そうか、それは残念だ。
「ちょ、ちょっと!危ないじゃない!てか誰?!」
ったく、相変わらずうるさいな。
「自己紹介も後だ。早くしないと騎士たちが……」
ガチャ。
その時、俺はビクッとした。
扉の方から音がしたのだ。
「……まさか?」
俺はその方に顔を向けた。
すると……、
「おい!お前たち!そこで何をしている!」
……はは、やっぱりスムーズに事が進まないな。
騎士様のご登場だ。
「何よ!上手く忍び込んだんじゃないの?!」
「うるさいな…、仕方ないだろ!」
「ヤス!カエデ!今は喧嘩してる場合じゃないでしょ?!」
セツナが俺とカエデの間に入った。
ったく、で、こういう場合はどうすんだ?
やっぱり戦うのか?
「当然♪気絶させてさっさと逃げよ♪」
ルミナ、ヤル気満々だな。
「えっと、あのさヤス……」
グレンが申し訳なさそうに話しかけてきた。
しかし、俺は何を言いたいのか分かっていた。
「武器だろ?良いって、俺たちだけで十分だ」
そう、グレンたちは当然のことながら武器を取られている。
でも、それ以前に。
「三人とも、身体がぼろぼろじゃないか。今日くらい休んどけ。魔術だって集中できないだろ。探してくれたお礼だ」
見る限り休まず探してくれてたみたいだしな。
そして、そんなことを話しているうちに騎士は一人から二人、そして知らない間に五人にまで増えていた。
「へへ!上等じゃねぇか!」
俺は剣を構えた。
「暴れるぞ!」
そして、俺は騎士たちに向かって走り出した。