41.豪華な出迎え
「あちゃ~、ちょっとやり過ぎちゃったかな?♪」
白いボディーから黒い煙が舞い、視界が悪い。
「俺の出番は無しかよ……」
俺は剣を鞘に仕舞い、そして肩を落とした。
何故なら……。
「だって、思ってたより弱いんだもん♪」
ルミナが一撃でぶっ壊してしまったからだ。
その壊れたロボットだが、見るも無惨に粉々だ。
はは、高かっただろうなこのロボット。
今の時代、ロボットなんか貴族でも簡単に買えないからな。
国でやっと買えるぐらいだろ、普通に考えて。
「ねぇ、ヤス?」
後ろに居たサラが話しかけてきた。
「ロボットって高いんだよね……」
あぁ、その通りだ。
グロリアの街でさえ、ロボットなんか見ることは出来ない。俺は壊れたロボットの破片を見ながら言った。
「そんなロボットがたくさん居るこのお城って凄いお金持ちなんだね……」
そうだな、ロボットがたくさん居るってことは相当金…持……ち………。
…………………。
「はぁ?!」
俺は後ろを振り返った。
そこにはサラ、そしてその奥には……。
「物凄い数だね……」
ルミナがぶっ壊したロボットと同じ形の奴が何台も居たのだ。
「おっ♪まだまだ居るじゃん♪良かったねヤス!」
「良くねぇよ!」
俺は声を張り上げた。
まてまて、高価なロボットがこんなにたくさんだと?!
いや、分かってる、この状況が結構面倒になっているってのは。
でも、ロボットが見ただけで十体以上だと?!
国、いや、グロリアと言うべきか?
どんだけの金が?いやいや、待て、これは権力の問題かもしれない。
「ちょっとヤス?!」
おっと。
俺はサラによって現実に呼び戻された。
そうだ、考えるのは後にして、今はこの状況をどう乗りきるかだ。
「どうする、ヤス……」
脆い機体とはいえロボットは十体以上。
柄じゃないが、ここはやっぱり。
「一旦、逃げた方が良さそうだな」
「え?でも、片付けないとロボットたちが騒いで騎士にバレちゃうかもよ?」
「もうバレてるだろ。そこまで騎士もバカではない」
ルミナに対して俺はそう言った。
まったく、本当スムーズに事が進まないぜ。
「サラ!ルミナ!逃げるぞ!」
そして俺たちは走り出した。
「ハァハァ……」
『ホカクセヨ!ホカクセヨ。ホカク………』
「………はぁ」
俺は深呼吸をして息を落ち着かせていた。
そう、
「何とか撒いたな」
俺たちは何も考えず咄嗟に見つけた部屋に入ってロボットから逃れたのだった。
しかし、こんなことしてたらグレンたちを助け出す前に騎士たちに見つかって何もかもパーになってしまうな。
何としても……。
「ヤス!」
「な、何だ?!」
その時、サラが大声で俺の名前を呼んだ。
「見て!」
俺はサラの指摘したところを見た。
………?!
俺は早歩きでその場所である部屋の奥に向かった。
するとそこには……。
「階段だ……」
今俺たちが居るのは一階、地上だ。
そして、この階段。
要するに、
「もしかしたら、グレンたちはこの下じゃないか?!」
まず、捕まった奴らが入るのは牢屋、そして牢屋があるとすればだいたい地下であると俺は考えたからだ。
「おぉ♪何か珍しくスムーズに事が進んじゃったって感じかな?♪」
……はは、ルミナに図星を突かれるとはな。
でも、まだ牢屋であって、グレンたちが居るって決まった訳ではない。
降りて確かめてみなくてはな。
「よし、降りてみるぞ」
そして俺たちは階段を降りていく。
下に降りるにつれ、一段一段の階段を降り響き渡る音が大きくなっていく。
そして、階段を降りきった俺たちの前には扉の登場だ。
「…………」
俺は無言でドアノブに手をかけた。
そして。
ガチャ。
俺は扉を開いたのだった。