40.騎士の代わりに
「さてと……」
とりあえず、俺はドアに耳を当てた。
外に誰か居るかどうかの一つの確認手段としてである。
グレンたちを助けるためにグロリアに刃向かう俺。
何だか面白くなってきたぜ。
そして、グロリアの行動の真実を暴いてみせる。
そう、さらっと言ったが、それが俺のもう一つの目的なのだ。
「……………」
とまぁここら辺にしといてと……、よ~く耳をすましドアの向こうを聞く俺、……なのだが。
「どうしたの?ヤス?」
「静かすぎる……。誰もいないのか?」
ドアの向こうは無空間が広がっているのかと思うくらい何も聞こえなかった。
騎士たちは居ないのだろうか?
「だったら出て確認してみようよ♪」
そう言ったルミナはドアを開けようとドアノブに手をかけていた。
「お、おい?!」
そして、何も言える間もなくルミナはドアを開けてしまった。
仕方ない、何かあったら暴れるか……。
とか思いながら、俺は剣を手に取り部屋の外に出た。
「………やっぱりな」
思った通り、騎士たちの人影が全く見当たらなかった。
「誰も居ないね?」
まぁ、こっちにとっては好都合だけどな。
しかし、何故居ないかは気になるな。
………もしかして、罠?!
「騎士団長が来てるんでしょ?だったらあれじゃない?騎士とか城の中の人を全員を呼んで、秘密の集会が行われてたりして?♪」
秘密の集会って……。
しかし、その様なことはあるのだろうか。
「まぁ考えていても仕方ない。慎重に騒がず行くぞ」
「お~!♪」
「……お前のことだよ、ルミナ」
城の中の探索だが、やはり人は誰も居らずすっからかんだ。
何か調子狂うな……。
「やっぱりルミナの言う通り、大広間とかで秘密の集会が行われてるのかな?」
……何か俺もそんな感じがしてきたぞ。
しかし、騎士団がここまで警備を無くすなんて……、一体どうなってるんだ?
それともやっぱり見えない何かの設備があるのか?
でもそれだったらもう騎士が駆けつけてきても良いはずだしな…………?
「待て。何かが近づいてくる……」
「え?それって騎士?!」
俺の言葉に驚くサラ。
「いや、人ではない。足音………いや、これは……」
ウィーン。
「ウィーン?」
何だこの音…、と、その時だ。
「……ロボット?」
ピカッと輝く真っ白なボディー。
なんと、俺たちの前にいきなり車輪走行のロボットが現れたのだ。
「何これ?♪こんなロボット私初めて見たよ♪」
「ルミナ!静かにって言ってるだろ!」
ルミナがはしゃぎ出したのを小声必死に止めようとする俺。
ルミナはニコニコしながら舌を出し、手を合わせ謝る。
何度言ったら分かるのやら……。
……てか、城の中にこんなロボットが居るんだな、正直驚いたぜ。
とそんなことを思っていると、ロボットに動きが見られた。
それは……。
「何この戦闘モード……」
目の前のロボットは変形をし始め、体内からなんと刃物が出てきたのだ。
そして更に、こんなことまで言い出したのだ。
『シンニュウシャハッケン!ホカクセヨ!』
………………。
なるほど、騎士が居なくても良いわけだ。
つか、刃物出しといて『ホカクセヨ』ってどういう冗談だよ。
「どうしようヤス!見つかっちゃったよ?!」
サラは慌てながら俺にそう言った。
確かに見つかってしまったな……、でも、そうなったら選択肢は一つ。
それは、
「面倒にならないうちにぶっ壊す」
俺は剣を抜いた。
「だよね~♪私もそう思ってたよ♪」
すると、ルミナはどこからか柄の部分が伸び縮みするハンマーを取り出した。
「ちょ、ちょっとヤス?!ルミナ?!」
慌てるサラ。
そして、
「行くぞ!」
「オッケー♪」
俺とルミナはロボットに襲いかかるのであった。