38.機密事項?
「男一人に女二人の連中は何で捕まったのかって?」
「あぁ、ちょっと興味があってな」
城の正門に立っていた騎士にグレンたちの事を聞く俺は、こういう場合は面倒事になりそうということで、一応他人という設定で質問をしている。
そう、先ずは何故捕まったのかを聞いとかないと後でいろいろ大変だからな。
『仲間を助けるため』だけだと理由にならないしね。
「で、何でなんだ?」
「駄目だ駄目だ。そんなことよそ者に教えると思うか?」
あっさり断られてしまった。
ったく、ケチだな。
「こういう内容は一応機密事項なんだよ、どんなにくだらなくてもな」
くだらないだと……、グレンたちはくだらない理由で捕まったってことか?
「なぁ、くだらないってどういう事だよ?!」
俺は思わず騎士に楯突いていた。
「ったく、まいったな~……」
それに対して頭をかく騎士。
とその時、門の側に居たもう一人の騎士がいきなり、
「門を開けろ」
と言った。
すると俺たちの目の前の鉄格子状の門が開いた。
「何々~?もしかしてお城にご招待♪」
「そんなわけないだろ。ほら、退いてくれ」
一人ではしゃいでいるルミナに騎士が突っ込んだ。
そして俺たちは騎士の言われるままに門から退いた。
すると、
「おぉ~♪立派な馬だねぇ~♪特に毛並みが…」
「突っ込むとこ違うだろ」
そう、俺たちの前には馬車が通り、そして城の中に入っていった。
それもこれまた立派な馬車が。
一目でさぞや立派なお偉いさんがお乗りであろうと思うくらいにね。
「もうそんな時間か…。ほらもう帰った帰った、子どもの相手をしてるほど俺たちは暇じゃないんだ」
この騎士、今度は俺たちをガキ扱いかよ。
「じゃ~あ~♪お子ちゃま二人は置いといて、そろそろ成人を迎えるこの私に教えてよぉ~♪」
すると、今度はルミナが騎士に対しありもしない色気を出そうとしながらそう言った。
てか、ルミナは俺とサラをお子ちゃま扱いか…。
ルミナだって人の事言えないぐらい…、てか俺たちより見た目は幼い方だろ!
「あのさぁ?さっきからお前たち、大人をからかってんのか?そろそろ俺も怒るぞ」
すると、騎士は怒るぞと言いながらもう怒っていた。
あ~あ、ルミナのせいだ。
「むむ!それは聞き捨てならぬぞヤスっち!」
「えっと、二人とも落ち着いて…!」
俺とルミナの間に入るサラ。
その時、俺たちの前にいる騎士が怒りでイライラしていたことは言うまでもない。
「おい、どうしたんだ、何さっきから騒いでいる」
すると、先程門を開けろと命令していた騎士が近づいてきた。
「ったく、このガキたちがさっき連行してきた連中のことについて聞いてきてちょっとな」
騎士が騎士に愚痴っていた。
「あぁ、あれだろ?川の近くで不審な行動をしていたから捕まえた連中だろ?何か仲間を捜してるとか言ってたらしいけどな、どうなんだかな」
「「「「………………」」」」
愚痴った騎士も含め俺たちの時間は一瞬止まった。
今度はあっさり言っちゃったよ。
「ん?どうした?」
『機密事項』を話してしまったことにより出来たこの空気に理解が出来ない騎士。
いやいや、ごちそうさまです。
そうか、グレンたちは俺とサラを捜していてくれてたのか……。
これは助けないわけにはいかないな。
話せば……分からないか。
話も聞かないで捕まえてしまう騎士団だもんな。
やっぱり地下水路か……。
「……もう良い。持ち場に戻ろう。騎士団長様もいらっしゃった事だし」
「……はぁ?!今何て?!」
……皆の視線が一気に俺に集まった。
そう、俺はある言葉に対し反応し、大声を出してしまったからだ。
それは……、
「騎士団長だと……」