35.ルミナ!
俺とサラは今、年上少女曰くパシリ君であるヒロに仲間のもとに案内されているところである。
「なぁ?」
「ん?なぁに?」
俺は前でランランと歩いている年上少女に話し掛けた。
「自己紹介がまだだったな。俺はヤスだ」
「あっ、私はサラです」
いきなりではあるが、俺に続き、気づいたサラも自己紹介をした。
するタイミングが分かんなかったしな。
「おぉ~!私もすっかり忘れてたよ~♪私はルミナ!よろしくね♪」
後ろにいる俺たちにくるっと体を回してそう答えた。
「なるほど、ヤスっちとサラっちかぁ♪よろしくね♪」
ん?…ヤスっち……だと?
「サラっち………」
ルミナの言葉にサラもきょとんとしていた。
まぁ俺も少し抵抗が……。
「うん!よろしくね!」
…………気に入ったんかい。
するとヒロ、いやパシリ君でいっか。
「あ、皆さん、もう皆のところに着きますよ。皆は先に休んでます」
と言った。
「じゃあそこで昼食にしますか♪パシリ君!よろしくぅ~♪」
「はい!ボス!」
ルミナの命令に嬉しそうに従うパシリ君。
なんだろう、何か引っ掛かる…。
気のせいかな。
そして俺とサラは思った通り、さっき通っていった柄の悪い団体のもとに着いた。
昼食を食べさせてもらい、今は休んでいる俺。
そういや、柄の悪い団体とは言ったが実際喋ってみると人当たりが良かった。
良くも悪くも外見だけで判断しちゃいけないってこういうことだな。
そして、さっきから謎だったこの団体。
聞いてみると、どうやら芸や演劇などの見せ物をいろんな街に回って公演する、簡単に言えば劇団みたいなもんらしい。
それでルミナがそのボス。
なるほどな、腿上げのところしか見たことなかったからお笑いかと思ったぜ。
「パシリ君はお笑い担当!間違っちゃいないよ♪」
「うわっ?!」
いきなり後ろからルミナに話し掛けられて俺はびっくりしてしまった。
てかお笑い担当って言い切ってるよ…。
「ヒロ君の持つ唯一の腿上げは誰にも負けないわ!」
あいつ腿上げしかないのかよ?!
よくまぁそれだけでやっていけるなぁ。
「まぁ、そんなことは置いといて!さっきは助けてくれてありがとね!」
ルミナは俺の後ろから前に移動し、そう言った。
「良いよ、そんな礼なんて」
とその時、近くに座っていた劇団の一人の男が話し掛けてきた。
「あんた、ボスを助けたのか?そりゃあご苦労なこった!でも今度から一緒にいる時は助けなくても大丈夫だぞ!なんてったってボスは一人で魔物十匹をかすり傷のみで倒したぐらいだからな!」
と、酒を片手にゲラゲラ笑いながらそう言った。
てか魔物十匹を一人で?!
「こらこら、おだてても何も出ないぞ~♪」
それに対してルミナが頭を掻きながら嬉しそうに答えた。
今さらだけどルミナってどんな人なのか難しいな…。
「まっ!今度から私も何かあったら一緒に戦うからよろしくね♪」
「お、おう。よろしくな」
俺はそう返事をすると、ルミナは他の劇団員の中へと消えていった。
そういえば、ルミナは年上だけど、さん付けの方が良いのかな?
どうしても外見は俺より年下に見えるからタメ口になっちゃうんだよな。
「ヤスって年上の人でも大体タメ口じゃん」
「うわっ?!」
またまた驚いてしまった。
後ろを振り向くとサラが立っていた。
ってか、何で思ってることが?!ルミナの時も…。
「口に出てたよ?」
あっ、そういえば俺って独り言が多いってよく言われたっけか。
「そうか。じゃあ、タメ口で良いか」
「あらら、でもヤスらしいね」
サラは笑ってそう答えた。
サラもいつものグレンたちと同じ様に接しても大丈夫なんじゃないか?
「う~ん。まぁ私は後で聞いてみるよ!」
そうか。
まぁあの性格だ、大丈夫だろうと俺は思うぞ。
と、サラと話していた時、
「お~い!そろそろ準備して~!出発するよ~♪」
とルミナの声が聞こえた。
そして俺たちは準備を済ませ、街へと進みだしたのだった。
今後、投稿がペースダウンしそうなのでご了承ください。
よろしくお願いします。