32.最悪の事態
床には魔方陣が描かれている最後の間。
そこにいきなり閉じ込められた俺たち。
そして……、
「何だこれは……」
壁から謎の物体が現れた。
何だこのロボットみたいな…。
「これはゴーレムか」
ゴーレム?
グレンがそう言った。
「警備用か何かか?」
「警備用?何だそれ?」
「とりあえず、侵入者や邪魔者を排除するためのゴーレムかも知れないってことだ」
侵入者って……マジかよ?!
執事の早く逃げた方が良いってこういうことか。
しかし、何故だ、何故さっきは出てこなかったんだ?
「あのジンっていう人がこの部屋のシステムを制御してたのかもね」
ジン……黒髪長髪男…。
セツナの言う通りかもしれないな。
あいつならやりかねない。
「考えるのは後!今はこいつをどうにかしないと!」
カエデが戦闘モードに入っていた。
確かに、こいつにやられたら意味ないからな。
に、してもこれまたでかいな…。
ドラゴン程では無いけど……まぁ三メートルぐらいか?
と、その時だ。
「な、何だ?!」
ゴーレムは部屋の真ん中に移動していきなり地面を叩き始めた。
何してんだ、こいつ?
「もしかして、地下ごと壊して私たちを生き埋めにするとか?!」
サラがそう言った。
まさか……な、……有り得るかも。
ゴーレムにより地面にはひびが入り始めていた。
これは止めないとまずいな。
「とりあえず、こいつを止めるぞ!」
俺の言葉により、皆戦闘モードに入った。
「俺が前に出る!サラ、援護を頼む!」
「分かった!」
そして、
「行くぞ!」
俺はゴーレムに向かって走った。
ゴーレムは未だに地面を叩いている。
……今だ!
「はぁっ!」
俺はゴーレムの足に斬りかかった、が、
「何?!」
剣を弾かれた。
ゴーレムの周りには目には見えないバリアーが張られていたのだ。
すると、ゴーレムは地面を叩くのを止め、俺に目標を変えてきた。
「来たか、こっちだ!」
ゴーレムは腕を降り上げ 、俺に対して降り下ろす。
それを俺はバックステップでかわす。
その頃、セツナは魔術、カエデは忍術、グレンは剣で応戦してくれている、が、やはりバリアーで防がれて効果がないみたいだ。
しかし、何か良い案は無いのか?
このまま逃げてるわけにもいかないし。
とその時だった。
「うわっ?!」
しまった!
俺はゴーレムが地面を叩いて出来たひび割れに足が引っ掛かり転んでしまった。
やばい、このままだとゴーレムに!
しかし、その時にはもうゴーレムは俺の前で腕を上げて降り下ろそうとしていた。
…くそっ、こんなところで…。
そして、ゴーレムは腕を降り下ろした。
俺は目を閉じた。
……………あれ?何も起きない?
俺は目を開けた。
すると、
「だ、大丈夫?ヤス!」
「サラ!」
サラが俺の前に立ち、プロテクションの魔術を発動させ、ゴーレムの攻撃を受け止めていた。
しかし、負けている。
地面がかなりミシミシ言ってる。
「くっ!」
サラが苦しそうだ。
俺は一体どうすれば?!
「うぅあっ!」
サラは力を振り絞りプロテクションの威力を強めた。
と、その瞬間だった。
『グゥオォォオ』
ゴーレムが苦しそうに声をあげた。
何だ?何が起こったんだ?
そして次の瞬間だった。
なんとゴーレムが機能停止して俺とサラの方に倒れてきたのだ。
「やばい!」
俺とサラは走った。
が、ゴーレムが地面に倒れ込んだその時だった。
「うわっ?!」
倒れた振動と共にゴーレムは爆発した。
すると大変な事が起きた。
ゴーレムによりひびだらけになっていた床が割れて落ちたのだ。
…そう要するに、
「「うわぁぁぁぁあ!」」
俺とサラは巻き込まれ、下に落ちてしまった。
「ヤス!!サラーー!!!」
グレンたちの声が地下に響き渡った…。