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30.治癒術と女神

さぁ、最後の障害を抜けた俺たち。

カエデのペースに飲まれながらもなんとかやってくることが出来た。

そして、この先には何があるのかと、進んでみたわけだが……。

今、俺たちの目の前には一直線の道が続いていた。

しかも奥が見えないほどの……。

まだ終わりじゃないのかよ…。


「長いわね…、でも神殿なんだからこれぐらい手強くなくちゃね」


手強いって………。

カエデってたまに何を考えているのか分からなくなるな。


「何よ、その顔?」


いえ、なんでもございませんカエデさん。


「それじゃあ、奥までダッシュで行くわよ!」


お、おい?!

物凄い速さで走り出したカエデ。


【カエデがパーティーから外れました】


……何だよ上の。





先に行ったカエデを追い、長い道を進んでいくととある部屋に行き着いた。

そして、部屋を軽く見回した俺は肩を落とした。

そう、その部屋はどこからどう見ても…、


「同じだ…」


今までくぐり抜けてきた仕掛けのある部屋と同じ造りをしていたのだった。


「何よ?まだあるじゃない?どうなってるのよ」


カエデが騒いでいる横で、俺は部屋を今度はじっくり見渡す。

今までの仕掛けのあった部屋は黄、赤、緑と色が施されていたが、今回の部屋は何も施されていなかった。

それに謎を解く鍵である三色の鳥と女神の壁画。

しかし三色の鳥は全部使った。

一体どういうことなのだろうか。

ここは行き止まりなのか?

どっかで道を間違えたか?

と、その時だった。


「ヤス!危ない!」


後ろの方に居たグレンが俺にそう大きな声で言った。

俺は咄嗟に振り返った。

すると、


「ぐぅあ?!」


しまった!油断した!

俺はコウモリ型の魔物に腕を噛みつかれてしまった。

…やべぇ、噛まれた腕が麻痺してきやがった。

どうやら毒を入れられたようだった。


「くそっ!調子に乗るなっ!」


俺は腕から魔物を引き離した。

くっ、噛まれたところがうずく。

俺は耐えられず地面にうずくまってしまった。

…意識が朦朧とする中、剣で切り裂く音が聞こえてくる。

…グレンたちが魔物と戦っているのだろう。


「ヤス!大丈夫?!」


サラの声が聞こえる。

大丈夫…じゃないかもしれない。


と、その時、サラが俺に治癒術を使ったのが体を通して分かった。

優しい温もりを感じる。

まるで女神が俺を優しく包み込んでくれるような…。


「大丈夫か?!」


戦闘を終えたようで、グレンたちが駆け寄ってきた。


「あ、あぁ、皆のおかげで…大丈夫そうだ」


ピリピリした空気から安堵の空気に変わった。

正直どうなるかと焦ったけどな。

早期治療でどうにかなりそうだ。

が、その空気はすぐに壊れた。


「こ、この揺れは?!」


いきなり地震が起きたのだ。

というかこの揺れ……まさか!

俺はすぐさま壁を見た。

すると、予想は的中。

壁が動き出していた。


「何々?何がどうしたっていうのよ」


カエデが楽しんでるのかびっくりしてるのか分からない状態になっていた。

その時、俺はあることに気がついた。


「女神……サラの治癒術……」


「え?」


驚いているサラを横に俺はそう呟いた。

すると、グレンが俺の言葉に対し、


「そうか!壁画の三色の鳥に気を取られていたけど、女神か!」


と、俺の言ったことの意味を理解したみたいだな。


「治癒術は聖。女神との関係は十分ね」


持っていた刀を鞘にしまいながらそう言うセツナ。

セツナも理解したようだ。

まぁ気づいていないやつがまだ居るが…。


「ん?何よ?」


いえいえ、なんでもございませんよ、カエデさん。





「はい、終わりだよ」


俺は地震が起きたせいで治療が途中だったので、サラに再度かけ直してもらっていた。

にしても、よくまぁ開いたな。

魔物に襲われたのも無駄じゃなかったってことか。


「治療終わった?じゃあ行くわよ!」


出た、最近お馴染みカエデの仁王立ち。

はぁ、このカエデのテンションはやっぱり調子狂うな…。

でも、この仕掛けが本当に最後だろう。



さてと、この奥に目的の奴等は居るのだろうか。てか、ここまで来たんだ、居てもらわなくちゃ困るぜ。


俺は立ち上がり、開いた壁の向こうをじっと見つめた。







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