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29.赤と緑

探索というものはワクワク、そしてドキドキするものであると思う。

未知の場所で新しい発見をしたり、謎を解き明かしたりとかね。

しかし、今の俺にはそんなものを感じられない。

いや、感じる余裕が無いとでも言っておこう。

形見のことってのも理由としてあるのだが……。


「次はこっちよ!」


そう、こいつのせいだ。

一人で暴走しているカエデのせいで探索どころか形見のことさえ、なんか調子が狂ってしまうのだ。


「おい、形見のことは分かってるんだろうな?」


「当たり前でしょ?だからさっさと行くわよ!」


ごめん…母さん。

今の俺には自分の理性をちゃんと保つことが出来ない…。

目をキラキラ輝かせて動き回っているあの馬鹿のせいで…。


「なぁ、そんなに楽しいのか?」


俺はカエデに聞いてみた。


「ん?楽しいというか、こういう場所来たらテンション上がるでしょ普通」


まぁ、時と場合によってはテンションは上がるかもしれないけど…。

カエデのテンションは上がりすぎだろ。


「まぁお化け屋敷とか好きだからね、私は」


お、おいそれ言ったらサラが……。


「だ、大丈夫だよ。慣れてきたから…」


お、サラが強くなった。

そういえば、さっきまで俺の背中にくっつき、目をつぶって歩いていたサラだが、今では背中ではなく俺の腕にしがみつきちゃんと前を見て歩いているからな。


…腕ってのも悪くないな。


「ん?どうしたのヤス?」


なんでもねぇよ、セツナ。

………グレンはそんな顔でこっち見んなっ!





最初は黄色だったってことは、壁画の鳥を順に見ると次は赤。

そして今、俺たちは薄く赤みがかった部屋へとたどり着いていた。


「よし!壁を開けるわよ!」


カエデが片腕をぐるんぐるん回している。

ヤル気満々だな、こりゃ。

さてと、今回は赤であるが、赤ということはどう考えても『火』や『炎』を連想させる。

つまりそれ系統の術を使えば良さそうだな。

そしてカエデは火属性の忍術も使える。

この前のザコ戦の時なんか魔物を丸焼きにしたからな…。


「じゃあ、行くわよ!それ!」


そして、カエデは壁に忍術を使った。


「…………あれ?開かない?」


壁は開かなかった。

しかし、その理由を俺たちは知っている。

何故かというと…、


「何故炎ではなく、また雷を使うんだ?!」


「へ?」


こいつ、話を聞いてなかったな…。

グレンが言っていただろうが。

するとカエデは平然と、


「あ、そうなの?」


と切り返した。

俺は思わず溜め息が漏れた。


「それじゃあ炎ね。これでどうだっ!」


そしてカエデは壁に向かって炎系の忍術を使った。

すると、考えは的中。

さっきと同様、揺れが起こり、壁が開いた。


「よし!」


カエデはガッツポーズを決めていた。

とまぁ、これで残りは緑かぁ。

緑ってことは……。


「それじゃあ次行くわよ!」


っておい、考えてる途中で先に行くなよカエデ!

まったく……。

でも、次はカエデでは開けられないな。


「ん?何、ヤス?」


いや、なんでもねぇよ、セツナ。





さてと、結構時間がかかってしまったな……、最後の部屋に到着だ。

壁の色はもちろん緑。

緑といえば…、


「ここはセツナの出番だな」


「あぁなるほどね」


理解が早いなセツナは。

しかし、カエデが前に立ち塞がった。


「何故セツナ?」


怖い顔で俺を睨むカエデ。

仕方ない、皆分かってるだろうが説明しよう。

緑ってことはどう考えても『草』や『風』系統の術だって予想がつくだろう?

ってことは、セツナの魔法しか無いだろ。

カエデは風系統の忍術は持ってないし。


「うっ、確かに…」


肩を落とすカエデ。

するとカエデはセツナの前に立った。

今度は何だ?


「セツナ。今度暇な時で良いから風の魔法を教えて」


そうカエデは言った。

てか魔法って、カエデは魔法使えないんじゃ…。


「理論さえ分かれば、魔法を使えなくても忍術として作り上げるわよ」


カエデの目は本気だった。

てか作り上げるとか…。

とまぁ、負けず嫌いなのか、どうなんだか知らないが、早く壁を開けて進もうぜ?


「あ、今開けるわ」


そしてセツナは風の魔法を使い、壁を開いた。

ふぅ、これで全部かな?

そう考えていたその時、セツナとカエデが何か話していることに気がついた。

見るとカエデは喜んでいる。

魔法の理論を教えてもらう約束でもしたのかな?


「よし!これで障害を全てクリアね」


話が終わり、ご機嫌なカエデがまた先頭に立つ。

約束したんだな、絶対。


「この奥に何があるんだろう?楽しみだわ♪」


あのなぁ…、形見…。

つか、今さらだけどこんな奥まで形見を持った奴等は来ているのだろうか?

今思うと疑問に思えてきたぞ…。


そして最後の障害(?)を抜けた俺たちはさらに奥に進み始めたのだった。







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