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27.探索開始

「ネズミが一匹、ネズミが二匹……」


「……何やってるんだ?ヤス?」


見て分からないか、グレン。

ネズミを数えてるんだよ。


「いや、そうじゃなくて…」



一人で楽しそうに廃墟に入り込んだカエデを追いかけている俺たち。

カエデは嫌な予感がしていた俺を無視して先に行くし、サラはカエデがお化けとか言うから俺の背中にくっついてるし、グレンはその俺を満面の笑顔で見てくるし…。

何か幸先悪いぜ。

まぁサラが背中にくっついてるってのは悪い気はしないが…。


「で、何で数えてるんだ?」


「別に何でも良いだろ」


まぁ実を言うと理由なんてないんだけどな。

そうなんとなくだよ。


「あ!ほらほらこっちこっち!ここから下に行けるみたいよ!」


そんなことを話しているうちに俺たちはカエデを見つけた。

そのカエデは、仁王立ちしてニコニコしながらこっちを見ていた。

俺たちはカエデの元に行ってみると、そこには地下へと続く螺旋階段があった。


「この階段怪しくない?絶対この下にあんたの大切な物を持ってった奴が居ると思うの」


そう言うカエデだが…、やっぱり楽しんでやがるなこいつ。

まぁ、確かに見て歩いていた限り、人影は無かったからな。

居るとしたら…、


「ここしかないか…」


しかし真っ暗だな…、お化けとか居てもおかしく…。


「お、お化け?!」


あ、あぁごめんサラ。


とまぁ、とりあえず明かりが欲しいな。

何か無いのかな?


「明かりならあるわよ、………ほらっ!」


その瞬間、カエデは雷系の忍術を使った。

すると中が明るくなった。


「ほら。中には松明が壁にちゃ~んと付いてるから、こうやって忍術で点けていけば大丈夫よ」


なるほどな、暗くて見えなかったぜ。

まぁ、これでなんとか進めるな。


「それじゃあ、行ってみるわよ!」


そしてカエデはまた一人で先に階段を降り始めた。

はぁ、まったく。


「まぁまぁ、俺たちも行かないと」


グレンはそう俺をなだめ、カエデの後を追っていった。

…やれやれ、グレンにはかなわないな。


「サラ、大丈夫か?俺たちも追うぞ?」


「う、うん、大丈夫」


…えっと、階段降りづらいから一旦離れてくれないかな…。





階段を降りた俺たちはカエデが壁の前に立っているのを確認した。

いやでも、壁は壁でも、


「これは壁画だな…」


その壁には絵が描かれていた。

えっと、左から黄、赤、緑の鳥が描かれていて、それを女神と思わせるような綺麗な女性が手のひらに乗せている絵であった。

なんだか微笑ましい物である。


「ん?何か書いてあるな」


グレンが壁画の下部に顔を近づけていた。

俺も近づき見てみるとそこには文字が書かれていた。しかし、


「これ…何語だ?」


その文字は見たことない文字で俺には読むことが出来なかった。

見るにグレンも読めないみたいだ。

頭を傾げている。


『順に示せ、さらば開かれん』


その時、俺たちの後ろからそう声がした。

待て、今ここにいるのは隣にいるグレンとカエデ、そして俺にべったり付いてるサラだけだ。

もしかして、本当に幽霊とかじゃないだろうな…。

そして俺は咄嗟に振り返った。

すると…。


「セ、セツナ?!」


「あら、偶然ね」


そう、そこにはグラティアで別れたはずのセツナが居たのだ。


「それは古語ね。要するに昔の言葉よ」


セツナは俺たちに近づきそう言った。

古語か…、読めないわけだ。

俺はそんなの勉強してなかったからな。


「てか、何でセツナはここに居るんだ?」


俺は質問した。

まさかこんなところまで散歩とかでは無いだろうからな。


「あなたたちと別れた後、私はまた修行を始めたの。そしたら、怪しい馬車を見つけて追ってたら、ここに来たわけ」


壁画を眺めながらそう俺に答えるセツナ。

じゃあ、やっぱりここに目的の奴等が居るんだな。


「で、そいつらは何処に行ったんだ?」


俺は続けて質問をすると、セツナは俺を見た。

ん?何だその微笑んだ表情は…。

まさか……。


「それが見失っちゃたのよ」




……やっぱりな。







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