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18.神彩流後継者

俺の目がおかしいのか?

俺は幻覚を見ているかのように思った。


グラティアの裏にある滝に来た俺たちだが、どういうことだろう。

滝壺の所に一人の人間が立っているのが見えた。


「お、おい!あそこに人が!?」


「ん?あぁ、あれは滝行だね。ヤス、知らないの?滝行は滝に打たれることにより精神統一をする有名な修行の一つだよ」


説明するグレン。

いや、知ってるけどな。

しかし、何でこんなところで一人で。

何かあったら大変じゃないか。


「しかも、女性だし」


「本当だ。こんな時に魔物に襲われたら大変だね」


そう、サラの言う通りだな。

大丈夫なのか?


「ねぇねぇ、ほら見てアレ♪」


その時、カエデが何だか楽しそうに俺の服を引っ張りながら語りかけてきた。

いきなり何だよ。

俺はカエデの目線の先を見てみた。


「っな!?」


そこには狼の魔物の姿があった。

何なんだよ、現実になっちまったじゃないか!

その狼は口からよだれがだらだら垂れていた。

腹でも透かしてんじゃないだろうな。

てか、あれは獲物を狙う眼だな、間違いない。

あぁもう!そんなことより!


「おいっ!危ないぞ!」


俺は叫んだが女性は気づいてくれなかった。

くそ、滝の音がうるさいからなのか、それとも精神集中し過ぎてて聞こえないのか。

狼も我を忘れて女性に目が一直線だ。

そして最悪の事態が起きてしまった。

狼が女性目掛けて襲いかかったのだ。


「まずい!どうにかならないのか?!」


しかし、時もう遅し。

女性はもうダメだと思った。


しかし、その時だった。

襲いかかっていた狼の体が何らかの抗力が加わったのか物凄い勢いで森の方に吹っ飛んでいった。


「何だ?!何が起こったんだ?!」


そして、俺は気づいた。

滝に打たれていた女性がこっちを見ていた。

そして、その女性は滝壺から陸に上がってきた。

すかさず俺たちは女性の元に近づいた。

大体二十代半ばだろうか。

長い髪を髪留めで頭の後ろでまとめた、着物が似合いそうな綺麗な女性であった。


「あの、大丈夫ですか?」


「大丈夫よ。心配してくれてありがとう」


笑って答える女性。

何処にも怪我は無さそうだな。


「でもちょっと寒いわね。近くに小屋があるの。寄ってかない?」


「え?あ、ちょっと!」


女性は森の中に入ってった。

俺たちは突然の事で少し戸惑ったがついていくことにした。


ついていくとすぐ小屋に着き、中に入らせてもらった。


「ちょっと待っててね、着替えちゃうから」


「は、はい」


女性は奥の部屋へ入っていった。

何かノリでついてきちゃったけど良かったのか?


「いやぁ~、間近で見るとやっぱ凄いわ」


「ん?あの人誰だか知ってるのか?」


さっきからニコニコしてるカエデに聞いてみた。


「誰って、彼女は神彩流後継者のセツナさんじゃん!この地域じゃ有名人よ」


「え!?あの人が後継者の!?」


俺もそうだがグレンもまた同じくらい驚いていた。

てか、こんなところで会えるなんてな。


「おまけに魔法まで扱うことが出来る人よ。いわゆる魔法剣士ね」


魔法剣士かぁ、かっこいいな。

ん?じゃあさっきの狼が吹っ飛んでいったのはセツナさんの魔法だったのかな?

だとしたら凄いな。

滝に打たれている中で魔物に気づいて攻撃だなんて、よっぽどじゃないと出来ない技だぞ。


「おまたせ」


すると、セツナさんが着替え終わって戻ってきた。

確かに、言われてみれば雰囲気が凄い。

とにかく凄い。


「一人で修行ですか?」


「そうよ。ここは集中して修行出来る良い場所なの」


集中。さすがセツナさん。


「あなたたちはこんな所に何しに来たのかしら?」


「俺たちはオオトカゲの鱗を取りに来たんです」


「オオトカゲ?」


「え?ご存じないですか?」


「…あ、アレのことかな?でも危ないわよ?」


アレ?オオトカゲじゃないのか?

俺は何か引っ掛かっていた。


「どうしても必要なんです」


俺がそういうとセツナさんは何か感じたのか真面目な表情になった。


「じゃあ、私も手伝って良いかしら?」


「ええぇ!?」


セツナさんから思いもよらぬ言葉が返ってきた。





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