プロローグ
初投稿です。
未熟者ですが、読んでいただけると嬉しいです。
毎日同じ繰り返し、同じ光景を眺め、同じ道を歩いてきた俺だが、
『やべぇ、寝坊したっ』
今日の朝はそんなことを考えている余裕は無かった。
『夜中まで練習し過ぎたか』
練習とは剣術のことである。
俺は毎日道場に通い、終わった後も自宅で練習を欠かさずやって来た。
寝坊はよくあることだけど、今日は遅れるわけには行かなかった。
『認定試験の日に限って何でこんなギリギリにっ』
いつもの寝坊とは違い「大」が付くほど試験開始時間ギリギリに起きたのだ。
認定試験は下の一段から上の十段まであり、俺は丁度中間の五段を受けるのだが……、
『幸先悪いぜ』
愚痴りながら全力疾走の俺に、
『あらヤス、寝坊かい?懲りないわね~』
いつも良くしてもらってる近所のおばさんだ。
てか、余計な御世話だ。
『ってヤス危ない!前前!』
『え?』
俺は横転した。
誰かとぶつかってしまったのだ。
『いった~い!何すんのよ!』
目の前には見知らぬ俺より2、3才ぐらい年下に見える女の子が倒れていた。
『ごめん、大丈夫?』
『ったくもう、ちゃんと前見なさいよ!』
そう言って彼女は早々と去っていった。
『今日は厄日か何かか?本当ついてない…………って、あれ?』
『どうしたんだい?大丈夫かいヤス?』
俺はおばさんの言葉なんか聴こえない程頭が真っ白になった。
『母さんの形見が無い!………まさか』
俺はさっきの女の子がすぐ頭に浮かんだ。
俺は試験なんて頭に無かった。
母の形見だけが頭にあった。
唯一の母の形見だけあって思い入れは強かった。
『ちょっと!道場行くんじゃないのかい?!』
俺はもう女の子が行った方に走っていた。
『くそっ!あっちは!』
俺は女の子をすぐ見つけた。
女の子は帝都の外に出ようとしていた。
『そこの女っ!待てっ!』
女の子はびっくりした顔をしてすぐさま帝都を出てった。
そして俺は帝都の出入口の前まで来た。
『帝都の外……』
帝都の外。俺は父に帝都の外は危ないから絶対に出てはいけないと言われていた。
けど俺は………………、
『……、父さんごめんっ』
俺は帝都の門をくぐり、外へ走ってった。
初めて帝都の外に出た俺。
そこには俺の知らない真実があることもまだ知る余地もなかった。