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第54話【大通公園で世界大戦??】

 今は僕はただの人。


 僕の中の僕については、あれも結局、春夏さんの一部だったわけだけど、だから、混ざっていた所がなくなって、中にあったスキルも何もかもがなくなってしまったって感じなんだよね、と言うかそれも含めてダンジョンに戻って行ったと言った方が適切かもしれない。


 まあ、つまりは、空っぽな普通の僕なんだ。


 もちろん、どれだけのスキルを内包していたかは知らないけど、結局は使えなかったんだから、今までと変わらない、いつもの僕であることにかわからないんだけどね。


 じゃあいいのか、いつもどおりの僕だ。


 「ともかく、自衛隊の少年少女兵みたいのが入って来たら、各個撃破すればいいんだよね?」


 特に考えも無しに言う、だって、ダンジョンの中なら多少の無茶はできるからさ、僕の方としても加減とかもあまり考えなくていいから。


 まあ、いくら軍隊が来ようと、ダンジョンの中には入れないからさ、きっとくるのって、僕みたいな未成年でさ、それは以前に出会った、白馬さんくらいの少年兵みたいな人たちって相場はしれてるから、特に緊張もせずに待ってる僕なんだ。


 そう思って返事を待つんだけど、真希さんは何かを考え込んでる。


 いつになく真剣な真希さんだよ、だから心配になって、


 「真希さん?」


 って声をかけ直すと、


 「なんか、上の様子がおかしいべ?」


 って呟いた。


 「他の入り口は、階段と昇降機を封鎖しておいたから、来るんならここだと思っていたべが、なんか様子たおかしいべ」


 と呟く。


 「私は外の気配はわからないからね、真希、現状を把握できないかい?」


 ぬいぐるみのティアママは真希さんに聞くんだけど、


 「うん、ちょっと、だけど、上は上で戦闘が始まってるみたいだ」


 いやいやいや、それはおかしいでしょ?


 国連の人たちだよ。


 一応多国籍だとは思うけど目的は一つの筈だし、それが一体なんで戦闘になっているってのさ?


 「ちょっと覗いてて来る?」


 と言ってみるも、


 「いや、いい、シリカ!」


 って呼ぶと、テーブルの下から急に姿を現すシリカさん。


 「何? 今、外のお店もやってないから、私今のうちに休みたいんだけど」


 とか不満を言ってる。


 「ちょこっとさ、外の様子を見たいんだけど、頼むよ」


 と言うと、


 「わかった、いいよ」


 って言って、僕らの目の前にスクリーンを展開してくれた。


 ちょっと、変な感じなんだ。


 いや、外もきになるけど、シリカさんがさ、なんか、普通。


 普通っていうのが、シリカさんて日本語が残念な人って印象があったんだけど、今は全然、普通の人みたいに話してるんだよ。


 そんな僕の驚愕の視線を感じてか、シリカさんは、


 「いつもは、このダンジョン全体に意識と思考を展開してるからね、今日は誰もいないだろ?」


 って言われる。


 うーん、そうなんだ、としか返事のしようもない。と言うか、割と凄い事実を初めて聞いた気もするけど、いつもの千倍増しに賢そうなシリカさんと言うありえないキャラクターにただ驚くばかりだよ。


 「どうする真希、全体に写すか? それとも小競り合いの中心と、特定人物に限定するか?」


 との問いに、


 「両方で展開してくれ、今なら可能だべ?」


 「わかった」


 室内に、10、いやそれ以上のスクリーンが出現する。


 そこには、侵攻して来る国連軍の前に、この4丁目ゲートを背中にして立っている男が一人いる。


 「あ、白馬さん!」


 びっくりして声に出ちゃった。


 その白馬さんの前に、自衛隊の部隊がいる。


 その白馬さんが何か国連軍に向かって叫んでる。


 流石に声まで聞こえないか、状況として一目でわかるのが、どうも国連の多国籍軍に対立しているのは白馬さんみたい。


 その後ろに何人かいる、ほとんど見たことない人ばかりだったけど、きっとみんなダンジョンウォーカーだ。


 シリカさんは、何度も視点を変えてくれて、その度に映し出される白馬さんの顔に、僕は、あの時の多紫町での事を思い出していた、そしたら、もう、外に向かって賭けて行ってしまった。


 僕の中に、白馬さんてのがどんな存在で、特に大切だとか、意識や意図を同じにする人なんて微塵も考えてなかったけど、どういう訳か、これはいけないと思ったんだよ。


 「アッキー!」


 って背の方で真希さんの呼ぶ声がしたけど、気にもとめずに、僕はダンジョンから出た。


 4丁目ゲートの入り口、だから本当に大通公園に出るところは、の方には結構なダンジョンウォーカーらしき人が詰めてて、その人混みというか集団が、外に出てきた僕を一斉に見た。


 「まだダンジョンウォーカーが残ってたか」


 とあまり見たことない人が、眼鏡をかけ直しながら僕を見て言った。


 その横にいる女の子、見た目にダンジョンウォーカーっぽいけど、みた事ない人、なんか大きな戦斧、刃の部分が大きなポールウエポンに近い感じだけど、それを両手に一本づつ、軽々と持ってる。


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