第53話【国連軍、北海道上陸札幌市封鎖】
堕ちて来る異世界。
そして突然、侵攻してくる国連軍。
本当に急にで、びっくりしてる。
北海道ダンジョンは、ギルドを通じて本格的にその立ち入りを禁止された。
以前もこんな事あったけど、今回は、規模が違っていてこれは世界の潮流で、国連での非公認理事国であるこの国にも協力というか参加の義務があって、自衛隊も参加してる。
この国とかではなくて、地域限定的にこのダンジョンと周辺が、世界の全てが敵になったって感じだね。
今現在、札幌の市街地、つまりダンジョンの出入り口を中心に札幌市内も立ち入りが制限されて、半径5キロ圏内の住人の避難が開始された所。
だから、今の札幌市内は、深階層の果てにある深札幌以上に静かで、今は、国連軍の到着を待つ自衛隊の大規模部隊が清々と展開しているだけ。
で、僕はどこにいるかと言うと、
「アッキーは帰らなくていいべか?」
って言われるけど、
「うん、まあいいよ、ここで」
「みんなは一旦家に帰ったんだろ? 要注意人物のお前がいないんじゃ、最悪、家の人間が酷い目にあうんじゃないのかい?」
と真希さんに抱っこされたティアママがそんなことを言って来た。
いや、ちょっと、僕が要注意人物ってどういこと?
人聞きの悪い、そんな凶暴な人間みたいに言わないで、僕は一般的なダンジョンウォーカーだよ。
葉山も一度帰るって言ってたな、薫子さんも。
でも、彼女たちが酷い目にあわされるっと言うのもなかなか想像できなくて、特に母さんがいるから、きっと大丈夫だろうとは思ってる、もちろん、うちの人たちは平気、でも相手はどうかわからないけど。
そして、蒼さんは調べたい事があるからと、どこへともなく行ってしまった。
いつもよりも2倍増しで深刻な顔してるから心配だけど、なんでも「これは多紫町の問題です」とか言ってた。
そんな感じでみんなダンジョンから退避している。
そして、今、僕は真希さんとともにダンジョンにいる。
さっきのギルドの会議室の椅子に座ってボーッとしてる。
雪華さんも最後まで残ってたけど、やっぱり一回帰るって行って茉薙を連れてダンジョンをでた。
僕はベターとテーブルに突っ伏して、頬をくっつける冷たい面と同様に心がフラットになってる感じがしてた。
うん、僕はここにいよう。
特に、根拠も理由もないけど、そう思ったんだ。
なんて言うかな、もう少して言葉にできそうな想いってのかな、そんなモヤモヤ。
そこに、
「アッキー、もしかして、私を守るためにここに残ったんだべ?」
とか言ってくるから、
「それは無い」
って言ったら、「可愛く無いねえ」って言ってから、
「本当に昔のアッキーは可愛かったべ、ちっこくて、手も紅葉みたいでな、体重も3000グラムくらいしかなかったんだべ」
とか、どっかの親戚のおばちゃんみたいな事を言い出す。
あ、いいのかおばちゃんで……。
と思いかけた瞬間、周りの空間すら一緒に連れてくるようなそんなボディーブローが入りかける。あくまでこれは僕がそう感じてるだけで、実際は無音で無風で気配も感じなかったけど、なんとか凌げた、ここで食らったら今、雪華さんいないから大変なことになるから、死んじゃうから。
「よく避けれたべね、今の完全にノーモーションだったべ、見からの反応で避けられたのは今日花以外は初めてだべ」
僕を見る目が明らかにいつもと違う、そんな好敵手見るような目で見ないで、互いを磨き合うような事しないから、全力でお断りだから。
この人って、かあさんとこんな風に互いに当たれば即死的なじゃれあいをしてたんだね、きっと、だからあの、【戯れ踊る竜と囁き歌う剣が凶つ部屋】がある訳で、後で聞いた話だと、そう言う所は他にもあるらしくて、基本的に同じダンジョン内にあっても、その場に行けるのって真希さんやうちの母さんくらいだから、存在も確定させずに放置しているらしい。
一番コストがかからない方法だよね。確実だし。
その真希さん、僕の方にポンと手を置いて、
「強くなったなあ」
とどこか遠い目をして呟いていた。
そして、
「したっけ、お前はどーすんだべアッキー?」
と聞かれるけど、どうもこうもあまり深いところでは考えてないから、ちょっと悩んでみるけど結局答えは出てこない。
そしたらさ、真希さん、
「遅かれ早かれこうなるのは目に見えてたけどな、以外に遅かったって思う面もある」
そう真希さんは言った。
「なんでダンジョンなんだろう? 世界中の大人もダンジョンに入りたいって事なの?」
と尋ねると、
「もうちょっと考えてみるべアッキー」
って言われるから、よくよく考えて、わからないから首を横にやんわり振る。