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第42話【クソ野郎さんとのホントの出会い】

 僕、あの時にはもう既に、クソ野郎さんに出会ってたんだ。


 で、僕ら二人はダンジョンに潜る事にしたんだ。


 でもすぐに捕まった。


 僕らを捕まえたのは、とても強くて早くて、そして、


 「しかたないべなあ、お姉さんが付き合ってやるべさ」


 って、優しい人だった。


 しかもその人、僕のお母さんに連絡まで取ってくれて、電話して、


 「今、こっちにアッキー来てるべさ、私がついてるから、ホトボリが冷めたら返すから安心するべさ」


 とか、そんな話をしてた。


 そして、その人は言うんだ。


 「なあ、アッキー、春夏ちゃんを生き返らせたいのかい?」


 この人、僕のこと知ってるみたいな上に、母さんも知ってて、そして春夏姉の事も知ってるってびっくりしたんだよ。


 当時の僕は、もしかして神様??? って思ったくらい。


 いや、でも、子供だった僕でも知ってるけど、ここまだ、地下一

階に下がったばかりだったから、こんなに早く神様的な存在に会えるはずもないって思うから疑心暗鬼になる当時の僕。


 そして、その神様みたいな人はこうも言った。


 「もしかして、生き返る事が、それはさ、春夏ちゃんの望みでなくてもかい?」


 当時の僕には判断しかねる事を言い出すんだ。だからこの人悪魔かもって思った。


 返答に困る僕に、彼女はこうも言う。


 「あの子はさ、このダンジョンの中で死んだら、生き返る事が出来たんだ、以前、そんな例もある、でも、君の春夏姉さんはそれを選ばなかった」


 今にして思えば、僕はこの時少しでも春夏姉の気持ちを考えればよかったんだ。


 春夏姉は、ダンジョンに通っていた。


 だから、このダンジョンが何をしてくれるか十分にわかっていた。


 でも、それに頼らなかった。


 春夏姉は、それを、人じゃなくなる事を拒んでいたんだ。


 でも、当時の僕にしたら、そんな事、春夏姉の心情なんて汲み取る事なんて出来やしないし、まして、大好きだった従姉弟の姉さんが突然死んでいなくたった事に納得なんてしてないから、一も二もなく僕は春夏姉さんに会いたかったんだ。


 だから、僕は頷いた。「はい」って言えばよかったんだろうけど、もう声なんて出せなくて、だって、その人も、春夏さんの事を死んだとか、いなくなったとか連発するから僕はもう、耐えられなくて、我慢したけど泣き出してしまっていたんだ。


 「これは前例のない事だよ、このダンジョンはあるものを蘇らせる事ができる、したっけ、既に失われてしまったものなら、もう作るしかないんだ、しかもダンジョン以外で失われたものだべ、かなり難しいべさ」


 とかなんとか、ともかく難しい事をいうだけど、


 「このダンジョンの理を超えるんだ、まずは神様にお伺い立てないとな」


 って、僕らは唐突に深階層に向けて出発した。


 だから、僕がこのダンジョンで初めてパーティーを組んだのは、意外にも、クソ野郎さんと、真希さんって事になる。


 え? 真希さん???


 なんで真希さんがいるんだろ?


 見た目に今と変わらないし……。


 まあ、いいや、その辺についてはまた今度、直接、真希さんに聞いて見よう。


 話は元に戻って、僕らはこのダンジョンの三柱神にお伺いを立てないといけないって事で、その神様たちに会う事にしたんだ。


 まず、最初に『全識と災禍の神ゼクス』。


 真希さんが呼び出したら、ノコノコと中階層の真ん中くらいまで来てくれた。


 大きくて、手とかいっぱいあって、牙も生えてて、ちょっとカッコいいって思った。


 そのゼクス様は、僕らを見るなり、


 「なんでダンジョンにガキ入れてんだよ」


 とか言ってて、


 「仕方ないべさ、ほれ、アッキー、神様だべ、お伺い立てるべさ」


 なんて話を振られて、ギロリとってゼクス様に睨まれる僕は、こんなところでヘタレてはいけないって、そう思って、言ったんだ。


 「は、春夏姉ちゃんを生き返らせた……」


 「はあ? 聞こえねーよ、ガキ、もっと大きな声で言えよ!」


 って怒鳴られて、ビビる僕だけど、


 「話は最後まで聞いてやれ!」


 ってその人、全く悪びれる様子も無く、神様を怒鳴りつけた。


 「アッキーも、もっと元気に言うべさ」


 そっと優しく背を押される僕は、


 「春夏姉さんを蘇らせて下さい!」


 と、半ばヤケになるみたいに叫んだ。


 すると、ダンジョン神のゼクス様は、


 「我は、ゼクス、この世界の理を超え、己が欲望を満たしたいのなら、その力を示せ!」


 とか言われるけど、本気でビビった。いやだって、声も大きいし、態度もでかいし、どこかの町の不良みたいな印象だったなあ、初めてあった角田さん。


 あ、なら今も変わらないか。


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