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第30話【え? 結婚式ってゴッコなの?】

その前にこの二人の仲がそんなに進んでいるって事にも驚く僕だよ。


 そして、その事について、土岐が何か言いたそうな顔してて、


 「言いたい事がるなら言ってごらんよ」


 って八瀬さんに急かされて、


 土岐はちょっと恥ずかしいって言うか、なんかやりきれなさそうに話始めた。


 そしてそれこそが、今回の問題の中心にして、根本の原因という事になる。


 その内容というのが、


 「結婚式の体験サービス????」


 って八瀬さんが叫んでしまうほど、意外な事実が飛び出してきた。


 「いや、事の発端は、リリスに誘われて行った、円山にある有名な結婚式場で、イベントやってて、結婚を意識する二人、って感じのカップルに施設を開放する営業をしてたのに遊びに行った事から始まったんだ」


 円山ってのは大通りと同じ中央区にある山で、その麓って言うか、札幌の市街地に近い所には高そうなレストハウスとか結婚式場ともかたくさんある、ちょっと山側に行くと閑静な住宅街でもある。ブルジョアな感じの所だね。


 うん、普段の僕らには割合と縁のない所だね。


 そんなところまで土岐とリリスさんは遊びに行ったりするんだね。


 「いいなあ」


 ってなんか絞り出すみたいに葉山が僕の横で呟いてた。


 気のせいかもしれないけど、蒼さんもどこか羨望の眼差しで二人を見ていた。


 「ほら、やっぱり結婚式って言ったら、教会だろ?」


 って、土岐は僕に対して同意を求めるんだけど、僕としてはそんな事も考えて事もないから、正直答えようもない。それに、一応、リリスさんまがりなりにも『悪魔の花嫁』な訳で、つまりは悪魔な訳なんだけど、その辺は、教会式結婚式とかいいのだろうか?、なんて事を考えてしまう僕だよ。神に祝福されるって言う悪魔もどうなんだろ?


 「でさ、隣の披露宴にも使えるレストハウスで昼飯食ってさ、帰ろうとしたらさ、これが当たったんだよ」


 と取り出したのは一枚のチケット。なんでも一定料金以上の食事で一回だけ引けるらしい。強運だな、土岐。


 それは、カップル用の結婚式体験チケットであるらしい。見学に行った教会とそのレストハウスの共催で行われているイベントで、それが当たったらしいんだ。


 「いいなあ、真壁、記念写真撮ったら、その後、レストハウスでランチだって、いいなあ」


 もう、葉山うるさい。


 蒼さんも身を乗り出してそのチケット覗き込んでるし。


 「じゃあ、つまりは本当の結婚じゃないの?」


 なんだ、結婚てイベントっているかクジの一等賞の体験みたいなものなんだ。でも、あの教会であのレストハウスで披露宴で、どんなに小規模でやっても結構なご予算らしいから、それは結婚を意識したカップルにとっては価値のあるものなんだと思うけど。 


 「特にな、今の段階では、具体的にそう言うのは考えてなかったからな、正直、このチケットが当たってビックリだよ、でもちょっとは自覚した」


 と土岐が言う。


 「私もいつまでも連夜の近くにいれるかもわからない、でも、嬉しかった」


 とリリスさんも言うんだ。


 そして見つめある二人。


 仲がいいのはいい事だけど、時と場所は考えような。


 って思ってる所に小姑である八瀬さんが、


 「呆れた、じゃあ本当に結婚する訳じゃ無いんだ?」


 「ああ、折角だからこれ使って、遊びみたいな結婚式してくれるって言うから、記念に参加させてもらおうかな、とは考えていたけど、思った以上におかしな事になってるからビビってる」


 そこまで聞いて驚く僕なんだけど、だって、結婚って遊びでゴッゴで、イベントで本当にするわけじゃなくて、何でこんなに大きな話になったかなあ?


 というか、僕が思っている以上に過剰反応でピリピリしてる人たちはいるのに本当に驚いていいる。少なくても外の人たちは本気だったわけだしね。


 「じゃあ、そういえばいいだろ? 何も二人揃っていなくなるからこっちも混乱するじゃ無いか!」


 「仕方ねーだろ、あいつらはリリス出せとか言ってくるし、こっちとしては守るだろ、普通」


 「そんな話にまでなっていたのかい?」


 「そうだよ」


 「なら一言くらい相談してもいいだろ? 何も黙って行く事ないじゃないか」


 「こっちも、組織背負った奴を巻き込むとか気を使うだろ? 今、お前、ギルドとも提携してるんだから、最悪そっち方面にだって迷惑がかかるだろうが」


 本当に側から見てると姉弟の喧嘩みたい。


 しっかり者の姉に対して、意外なほど弟が姉に対して慮っているのが手に取るようにわかる。土岐っていい奴だもんな。


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