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第28話【防御障壁無効、躾の拳】

僕がせいぜい気にするのは通ってる学校くらいのもので、それだって今はダンジョンの方が比重が高いから、あまり気にかけてないというか何というか………。ちょっと考えて、


 「いやあ、ちょっと無理」


 はっきりと断る。過剰な期待って、特に個人をはみ出してしまう様な事に扱われるなんて、ちょっと怖すぎだよ。ましてそれが自分のやりたい事でないなら尚更で、出来る事を人に指摘されてもそんなのには乗れない。それに、僕は僕の周り、せいぜいダンジョンの平和をギルドの人や、その運営を手伝うくらいが関の山だよ。


 正直、今の段階だって、僕自身が何をしていいのかわからないからね。かつて交わした約束の履行だって、一応ははみ出てはないみたいだけど、僕自身がそれを確認できないし、本当にできているのか曖昧だもの。


 多分、違う。


 彼女、このダンジョンが到達しようとしている姿は白馬さんの言う目的とは関係ない、だから、ここではない気がする。


 だから、白馬さんが、ここをどんな事に利用しようとしているかはわからないけど、そして、その事に関してまるで関心を示していない事を考えると、きっとやってもいい事なんだとは思うけど、それでも、僕は本来の目的の為に使われる力が削られるのは嫌だなあって考えてしまうよ。


 「秋くんの好きにしていいんだよ」


 って意外に春夏さんは承諾してくれてるけど、


 「僕が嫌かな」 


 って言ったら、


 「うん」


 って返事をしてた。


 「そうか、君にとっても悪い話ではないんだがな」


 と白馬さんが言う。


 けど、内容も聞いてないし、その件については深くは聞こうと思わないし、聞いてしまってはダメな気がいして、それ以上、この話題はやめておこうと思った。


 だって、きっと、テロ的な事だと思うから、聞いてしまった瞬間に、その計画を然るべき機関に報告しないと、僕もまた共犯者だからさ。そんな風にチクるのもヤだし、黙ってるのも心苦しいし、どっちに転んでもいい事ないよ。


 少なくとも、白馬さんの言う事、したい事は、間違ってないと思う。けど、きっと多分、方法が違うとは言わないけど、その辺が僕としてはね。


 多分、だけど僕と白馬さんの目的というか目標に到達するための行動って、大きく軌道を異なるんだけど、力的にはきっと何処かでぶつかる。


 だからかな、近い将来、僕はきっと白馬さんと………………………。


 いや、やめておこう。


 僕と白馬さんは、なんとなく、対面して黙り込む。


 これ以上聞きたくない僕と、協力できない以上、話す事をためらい始めた白馬さん。


 そして、彼は最後に言った。


 「それでも君は、きっと俺に協力してくれる事になると思うのだ」


 どこか高揚して、でも興奮ではなくて、どこか嬉しそうに負け惜しみみたいに言うんだ。


 「ほら、こんな事してる場合じゃないだろ?」


 って言う八瀬さんの声に今更ハットする僕だよ。


 「そうだね、ともかくリリスさんを探さないと」


 と葉山も言うんだけど、


 「多分、もう手遅れです」


 ってディアボロスくんが言うんだ。


 その幼い顔を無邪気な笑顔で染めて、こう言った。


 「説得に応じなかった場合、リリスは一度、こちらに取り込みます、そのための僕は、このダンジョンで、『一桁』を連れてきてますから、彼女が誰を庇っても、どの様に抵抗しても、同じ資質、同じ肉であるマルフィックに取り込まれますよ」


 と、迫力もカケラもない声と態度でそんな嫌な感じの言葉を吐き出した瞬間に、雪華さんが、


 「あ、真希さん」


 と言う言葉と同時に、バカンとバカみたいな音がして、ディアボロスくんの頭が沈んで跳ねた。


 「痛い!」


 そして、いつの間にかディアボロスくんの背後にはいつもの真希さん、いや、ちょっと怒って………、かなりご立腹な様子。


 「お前か! 変なの連れて来たのは?」


 と怒鳴られるディアボロスくん。いきなり頭を叩かれてもう、涙目で、自分を叩いた相手を確認するも、


 「あれ? おかしいな? 僕には12種と6重、空間を遮断する障壁が19枚貼られているはずなのに?」


 と叩かれて頭を押さえて、まるで自体が飲み込めないって顔してた。


 「知るか! 適当な事しやがって!」


 そして、そのディアボロスくん首根っこを捕まえて、頭を再び、いい音をさせて殴る真希さん。平手だからペシ! くらいの筈なんだけど、結構いい感じて乾いた音を立ててる。もう太鼓乱れ打ち状態。


 「痛い!」


 すぐ側て見ている分には、普通に怖いお姉さんに手を出されて躾を受けてる小学生にしか見えない。


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