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第24話【ダンジョンは、優しいのか? 緩いのか?】

 そんな彼らがそれほど不幸になってなくて、それが悲壮に目立つ事もないのは、みんなそれぞれが幸せにやってるから、特にギルドとしても、最初の段階以外、つまり、「なんか俺、冷遇されてる?」って北海道に戻って来た最初の段階以外は手がかからないんだそうだ。まあ、こっちに何年も暮らしてるわけだし、中には自分の地元以上に北海道に愛着を持ってくれている人も多いから、それに、概ねみんな幸せに結婚してるらしいよ。


 ここも18歳入籍ってのはかなりの数いるみたいだね、みんなダンジョンでお相手を見つけるみたいだ。


 もちろん、北海道としては大歓迎で、道庁も当初は政令とか作って手厚く保護をなんて話も出てたけど、そんな彼らにはその必要もなくて、みんな勝手に幸せにやってるらしい。


 そんな感じだから、僕はてっきり、世の中、ダンジョンを含めてうまく回ってるなあ、なんて思ってたけど、以外なところに軋轢は生まれていたらしいね。


 っていうか、そもそもそんな脅威論を唱える人って、本当に、この脅威に満ちてそしてどこか優しくて怖くても概ね安全なこの北海道ダンジョンの事を知っているのだろうか?って思うんだ。


 だって、本当の事を知る人たちを、実際を体験して来た人たちを、自分たちが理解できないからって追い出している人たちが考えてる事だからさ、知ってるって思い込なんじゃないかなって、この話を聞いた時点で思ってしまう。


 「無い物に対しての差別だよ、人は常に凡庸を望み、高きも低くも危ういって思うものなんだよ」


 って八瀬さんは言う。いつも理屈っぽい事を言う人だけど、でもなんだろうなあ、いつもの飄々とした雰囲気ってのは無くて、どこか寂しげな感じがした。


 「だいたいさ、なんで蓮也と悪魔っ娘の結婚の話とかが漏れたのさ? こうならないために僕に話が来たはずなんだけど、どうしてこうなったの?」


 白馬さん相手に一気に八瀬さんはまくし立てる。


 「今、このダンジョンは間違ってるからですよ!」


 と、さっきまで泣き止もうとしてエグエグしていたディアボロスくんが、八瀬さんの言葉に答える、ものの、その身長差で上から八瀬さんに睨まれる様な格好になって、再びでディアボロスくんの目に大粒の涙が浮かび始める。


 「八瀬さん、威嚇しない!」


 と雪華さんに怒られて、


 「いや、決してそんなつもりは………」


 とか言ってる。つもりはなくても、見上げるくらいの高い位置で言われたた怖いかもね、八瀬さんの場合は、それほど顔に愛嬌があるわけもないし。


 「なんか、きみ、酷いこと考えて無いかい?」


 って何かを見抜かれた僕は、八瀬さんにそう指摘されて言われるけど、ないない。何も考えてないよ。でも心の中で謝っておく。


 「そうだな、今の北海道ダンジョンは、確かに変わっている」


 と白馬さんが言った。


 「何も変わってないけど、どうしてそう思うの?」


 葉山が尋ねると、


 「なんと言うかな、緩いんだ」


 いや、今更でしょ?


 北海道ダンジョンって、多分、僕が知る限り、安全安心なダンジョンだよ、他のダンジョンの存在は知らないけど。


 怪我しても治るし最悪死んでもノーリスクで生き返るし、と言うか運営になってから知ったけど、怪我も死もなかったことになる。


 さらに健康と衛生も確保されてるし、ここに関わってる限り飢えも病気もないし、一見するとモンスターは出る、罠もある、ダンジョンだから迷いもするけど、そのどれもが生命の危機にならない。


 それを踏まえた上で、ここは僕らにとって優しい世界だと思う。


 そりゃあ、自衛隊の厳しい訓練を受けて人から見れば、緩いと言うのは間違いないし、今更言うことでも無い。


 「まあ、確かにそれは僕も思ってる、でも、そんなに都合の悪い事じゃ無いから、特に言うほどのことでも無いとは思ってたよ」


 ええ? 八瀬さんが以外な事を言った。


 「そうなの?」


 って思わず聞いてしまうと、


 「真壁は、私とも一年遅れでダンジョンに来たからね、ここ最近は特に緩いよ」


 って今度は葉山が言って、そして蒼さんも頷いていた。


 ええ? そうなの? って思わず春夏さん見ちゃった。


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