第23話【孤立するダンジョンウォーカー達】
白馬さんの話を整理して聞いていると、どうやら、この北海道を海外との行政特区にして、この国の政治経済から切り離す、なんて提案まで出ているそうだよ。
もちろん、それは政府とか与党とかの見解ではなくて、一部の野党の議員が割と具体的な話をしてるだけのことで、でも白馬さんが言うには、こう言った話が具体的にで始めること自体が、もうすでに危ういって言うのが常識なんだそうだ。コミンテルかもだそうだ。
よくわからないけど。
なんだろうね、その話。
もともと、ここのダンジョンには誰が入ってもいいはずで、現実的に外国から来るダンジョンウォーカーもいるし、何よりそんなダンジョンウォーカーは北海道のダンジョン特区として、同じ扱いを受けてるはずなんだ。
だから、少なくても、白馬さんの言うような閉じていると言うこともなくて、むしろ開けていると言っても良い。
北海道はダンジョンを全国に開示しているし、情報も出ているはずなんだ。
外国の記者さんもたくさん来るしね、ニュース番組は話題の無い時はダンジョン流しとけってくらいここには各国のマスコミは集まってる。
だから、秘密なんてないはずで、ただ、北海道ダンジョンだからさ、当たり前の様に、決められた年齢の人間しか入れないから、ダンジョンに入るのは各国から来た僕らの年代の人の仕事で、それはこの北海道のあるこの国も変わりない。
だから、お互いっていうか、公平さは保たれているはずなんだけどなあ。
「むしろ、公平じゃないのは他国、特に近隣の国の方ね」
って葉山は言ってた。
「どう言うこと?」
「ダンジョンから帰って来た元ダンジョンウォーカーを、あまり快くは思ってない人たちがいると言うことです」
雪華さんが言う。
「ギルドでは、その辺のフォローもしてますので、詳しくなってしまいますね、あまり面白い話ではありませんけど………」
ってちょっと曖昧に、いや、複雑な現状に笑ってる見たい。
それはどんな話かかいつまんで聞いてみたんだけど、どうやら、海外組の人達、北海道ダンジョンから自国へ帰って来た人ってあまり歓迎されないんだそうだ。
前にも言ったと思うけど、ダンジョンに入ってしまうと、公式の大会とかに出れなくなるって話はあったでしょ? あれって、やはりプロスポーツの世界も一緒みたいで、総じて言うなら、この国と言うか北海道以外はだいたいそうらしいんだ。とう言うか、一般の一流企業は、決して元ダンジョンウォーカーを良く思ってないらしくて、白馬さんに言わせると、自衛隊の中にも細かく言うならそんな傾向があるらしい。
「なんで? 強い人がいた方がいいじゃん」
って思わず口を挟んでしまったけど、
「人というのは集団の生き物だからな」
とか言ってる。
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って思ってると、
「みんな一緒がいいんだよ、誰か一人ずば抜けてるなんて集団はろくなもんじゃ無いよ、いつの間にか誰もが意識しないで作ってる枠の中に収まらないとさ」
と八瀬さんが言う。
そんな言葉に三爪さんが、
「お屋形様、号令は合せる令なんです、そして、遅いのも極端に早いのもダメです、基本はその隊の早い者を基準にします、だから人類規格外になっているダンジョンウォーカーはその号令には合わせられないのです、つまり隊を組めません」
この人って、多月の人だから僕にとってもとてもわかりやすく説明してくれる。
特に戦う事が仕事の軍隊っていうのは、一人のズバぬけて強い人よりも、全体での強さを求めるものだから、部分的に突出している一人っていうのは邪魔になるんだそうだ。
そんなもんかな、って思って聞いてた。そして、これは何も自衛隊に限った事でなくて、人は共にいつの間にか同調を求めて求めららるものって言うのが結論らしい。その辺は社会性を持つ集団な生き物だから仕方ないってのが結論らしいね、葉山が言ってた。
話を元に戻すと、そんな冷遇された外人の元ダンジョンウォーカーさんって、いつの間にか北海道に帰って来てしまうんだって。で、こっちで就職見つけて、そのまま永住ってパターンらしい。