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第20話【王なる力、正しい掌握の使い方】

 そんなときに、ディアボロスくんの前にいる雪華さんが、


 「もう大丈夫だからね」


 って言ってる。


 すると今度は、それを見ていた八瀬さんが、


 「ああ、今は彼に優しい言葉とか逆効果かなあ」


 って呟く。


 そして、八瀬さんの心配は的中して、ディアボロスくん、みんなに急に優しくされてしまったものだから、白馬さんのその躾なるプッレッシャーから完全に解放されて、解放されすぎて、その解放された精神は伸びきってそして躓く。


 小さい嗚咽が始まって、それはやがて大きな鳴き声に変わった。


 ほんと、土砂降りみたいに泣き出してしまう。


 目を見開いまま大粒の涙。完全に幼児の鳴き方だよ。


 自分にとって、一番嫌な事した人間をカッと見つめて………………………、ええ? 僕??


 「うわ、ああ、み、三爪、頼む!」


 沈着冷静な白馬さんが取り乱してるところを初めて見たよ。


 で、呼ばれた三爪さん、ディアボロスくんのところに駆け寄って、優しく背中をさすり出す。


 「大丈夫、大丈夫、誰も怒ってないよ」


 優しくゆっくり語りかける。


 「ほら、白馬隊長も心配してる、ディアくんの事が大切だから、あんな言い方してしまったけど、ディアくんの事が好きだから、そんなディアくんがみんなに嫌な子って思われたら嫌でしょ?」


 デュアくんを優しく諭すその声がすごいんだ。もう、諭すとか、そんなレベルじゃなくて、声のトーンと言い方、言葉の端々しか聞こえないけど、声がもう心に響いてくる。言葉の選び方が子供に向けられる全てが、優しく包みこむよううな、なんだろう、この人、自衛官なんてやってないで保母さんとかの方がいいんじゃないかな? きっと伝説の保母さんになる事この上ないよ、その高い戦闘力も小さい子を守る為に役立ちそうだしね。


 あ、そうか、この人、確か多月の里で妹がたくさんいる人だったよ。超が付くほどのお姉さんだった。確か妹を全部合わせるとソフトボールのチームが2組作れる人だった。


 ソフトに阿鼻叫喚なプチ地獄絵図な所に、葉山が一応、泣いているディアボロスくんを気にしつつ、厳しい声で、


 「隊長さん、あなた、『掌握』を使っってでしょ?」


 と詰め寄って尋ねる。


 「ああ、外の件か?」


 と、再びいつものキリリとした感じの白馬さんに戻って言った。


 「あのまま放っておいたら、一般人も巻き添いになってましたよ、事実、川岸さんは撃たれてそうになりました」


 と苦情をまくしたてる。


 「そうか、すまなかかった」


 キッパリとハッキリと完結に言う白馬さんだよ。


 「すまなかった、で済む話ではないだろ、治安を守る自衛隊が、一般市民に銃器を向けたんだぞ、大問題だ!」


 と今度は薫子さんが言う。雪華さんはそこまで怒ってないみたいだったけど、やっぱり同じギルドの人間に、銃を向けたのは許せいらしい。


 「それに、立場的にはまずいんじゃないのかな? 結構見物人もいたよ、マスコミも入ってたみたいだから、女の子に銃を向けててる幹部自衛官なんて、政治的にも大問題じゃないかな? もしかしたら政府もひっくり返ってしまう自体になってしまうんじゃないの?」


 と、とても政治的なことを八瀬さんが言っていた。


 「その心配には及ばない」


 と一言だけ、白馬さんは言うんだ。


 待っても次の言葉が出てこないから、これで説明した事になって流んだろうなあ、この白馬さんとしては、って思ったけど、僕以外の他の人はまるで彼から次の言葉が出てくるのを普通に待ってる。


 突っ込まなきゃって思う僕だったよ。


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