第20話【幼き神はただ狼狽える】
「ええ、そうですよ、もちろんそうです、下級魔物以下ですよ、それがリリス様と結婚なんて………!」
すると、白馬さんは少し考えて、
「じゃあここにいる全員も貴様の言うところの下賎で下級になるな」
と、デイアボロス君に言うと、
「そうですよ、みんな下品です」
いや、それだだと意味が違ってくるからね。それにしても、いつもならこんな相手に容赦無く突っ込む、葉山も、それとなく間違いを訂正する雪華さんも、なんか微笑んで見守ってる感じと言うか空気がする。
そして、そんな言葉の中で、白馬さんが、
「そうか、では自分もまた、貴様にとっては下賎で下級で下品な生き物ってことになるな」
と言った。
「え?」
と、これから僕らに対して比敵的になるであろう勢いを一瞬にして止められたディアボロスくんは、
「ううん、勇王は違うよ」
そして、ディアボロスくんはゆっくりと周りを見て、その目はどこか泳いでるんだけど、そして、
「違う、違う、白馬は違う」
と、もう一回言う。
「………下賤じゃない、よね?」
だからどうして疑問形?
「貴様が言うところの人間がの中には、こちら側にいる人間もみんな入ってしまうからな、人が下賤で下等な生き物と言うのなら自分も、そして、こいつらもまたそうなのだぞ」
白馬さんは、自分の自衛隊の仲間を見てから言った。
「違うよ、白馬たちは違う」
「そうか、では自分達が他の者とはぞ違うと言う明確な根拠を示さなとならないな」
僕らと、白馬さん達を見比べれ、明らかにキョドってるディアボロスくん。
「………………………着てる服とか?」
蚊の鳴くような声で明確な違いというのを一つ発見して、ボソって呟くんだけど、それは違うだろうなあ、ってのは自分でわかってるから本当に自信無さげに呟く。
「聞こえんぞ、何かを言う、何かを主張する時はもっと大きな声でと指導してあったはずだ」
と静かだけど、重い声でズッシリとディアボロスくんの両肩に降りて行く。
「え………、だから………」
「意見具申は完結にだ、」
そんなに大きな声じゃないんだけどね、でも、ディアボロスくんにとてはとても大きなプレッシャーになってるのが見ていて痛々しい。
なに? この空気?
「いいか、ディアボロス、お前達サイドの存在が人間よりも優秀なのは認める、しかし、同じ人間である自分達が下賤とそうでない者がいるというのなら、その違いは明確にしないとならない、もしそれができないのであれば、足りない自分達を勝手な貴様の都合で良い者、劣る者を作り出し、貴様に取っての都合の良い環境を作ってることになる」
いつも表情は変わらない人だけど、今もそう変わってないけど、白馬さん、とても怒ってるなあ、ってのは声でわかる。
そして白馬さんは言った。
「それでは、今の体制側の人間と寸分も変わらない、貴様が自分に与えられた力があっても、貴様がそれでは意味がない」
と言うんだ。
ものすごい決意というか高い意識な感じの言葉だよ。
きっと、沢山の考えてる人の感じ。
世界とか、この世の仕組みとかをね。
こう言う立場というか仕事の人ってみんなそうなのかな?
そんな、なんとも言えない空気になってる中、
「こら!」
って言って、葉山が、あと雪華さんが僕の後ろから飛び出して、ディアボロスくんの方に行って、
「子供を追い詰めちゃダメでしょ!」
って言って白馬さんにすごい剣幕で怒鳴りつける。
「何を言っている、三柱神だ、見た目に子供でも、子供じゃないだろ?」
「子供なのよ、だからこの見た目なんでしょ?!」
葉山、再び白馬さんんを怒鳴る。
「確かに幼いところはあるかもしれない、だか性能は極めた、高い、だからこそ躾をしないと………」
確かに正論なんだけど、そんな正しい事を言う白馬さんを見る葉山の目は冷たい。
「ああ、もう、そう言う事じゃないのよ、ほんとわからないんだね」
と吐き捨てるように言った。