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第18話【混沌と整理整頓の神ディアボロス】

 いつ、どちらが先に飛び出すのを待ってる感じ。


 血の匂いにも似た鉄の香りのする緊張感が高まる中、僕は


 「ちょっと待とう蒼さん」


 っ言葉を出すも、白馬さんも、


 「待て、三爪」


 同時にそれぞれを制する言葉を吐いた。


 その流れの中で、葉山といまだにシェイクハンドしていたディアブロくんが、葉山の手を振り離して、こちらに来る。そして、僕の前に立つと僕の顔をまっすぐに見て、


 「ここは今間違ってます!」


 と割と大きな声で言った。


 さっきとは違って自信満々に僕に向かって言い放った。


 そう真っ直ぐ言われると、そうなのかなあ、とか思うよね、人間、どこかかしら間違ってるものだよ、完璧なんていないから、そういう事を言ってるのかな?


 何が対象なのかわからないから、黙って聞くことにする。


 でも、ディアボロスくん、なんか、そのこと、『間違ってる』って事だけを言い切って、何かをやり終えてる感が半端なく出てるから、ディアボロスくんの否定的な感情は伝わってきてもそれが何について言っているのか伝わって来ないからなんか投げっぱなしな感じだ。


 だから、そんな言葉を受け取るい僕としても、「へー、そうなんだ」くらいに収まる。


 それがどんな事で、間違っている箇所の説明がなくて、でもそう言う主張なので、そんな対応になってしまう。


 というか、どう反応して良いかわからないから、受け止めることもできないっていうのが正しくて、スルーした状態に近くなる。


 だから反応の鈍いというか悪い僕らを見て、落ち着きのなくなるディアボロス君なんだけど、本当にそわそわしてる。


 そしてもう一回、今度はディアボロスくん、春夏さんを見て、


 「間違ってますよね?」


 って、なんで人に確認を求める形の疑問形?


 春夏さんは、ちょっと困った顔してた。


 で、またこっち見て、


 「全部、あなたの所為です」


 って言われる。凄い強い口調で言われてしまう。


 「あなたが、全部、狂わせてしまったんですよ、狂王! あ、だから狂王なんですね、ああ、そう言うことなんですね、じゃ、じゃあ狂わせてもいいのかな?」


 って、まるで僕を追い詰めるみたいに叫んでから、すぐにそれを放棄するように、素にと言うかキョトンとした表情になんか一人で納得しつつも、


 「どうなんですか?」


 って、どうして僕に尋ねるのだろうか?


 ちょっと対応に困る。


 「かわいいね、この子」


 って葉山が言うんだけど、


 「茉薙みたいに、危ういと言うかほっておけないというかこのままで良い訳がない感じがします」


 って雪華さんも言ってたけど、


 「一緒にすんなよ、俺はこいつより強いぞ」 


 と茉薙はご立腹の様子だ。


 そんなディアボロスくんに、春夏さんが質問を開始した。


 「ダンジョンの子ではないのね、『あっち』からきたの?」


 するとディアボロスくんは胸を張るように、


 「ええ、僕は外から来たんですよ」


 すると、そんな言葉を受け取った春夏さんは、


 「そう」


 とだけ言う。否定も肯定もなく、ちょっと寂しそうにそんな言葉を呟いたんだ。


 外ってつまりはダンジョンの中からじゃ無いってことなのかな?


 以前とは違って、今の僕らは多月さんの里の事、青鬼の事とか知ってるから、さして驚きもしないけど、彼もまた、ダンジョン以前にやってきて、この地に溶けていた『魔物』の一種ってことになるのだろうか?


 確かに、ツノとか羽とかはともかく、初代微水様よりも背格好も大きさも、かなり人間ぽいし、この姿なら一般の社会に溶け込んでも問題はないと思う。


 けど、ちょっと春夏さんの反応が違っていたんんだ。

 納得はしてるけど、ちょっと戸惑う感じ。このへんの違いは僕にはわかるよ。


 「まずい事あるの?」


 って聞いてみると、


 「近づいてるのね、行き来ができるくらい………」


 そして、まるで納得できないことを納得する、食べれない物を口に含んだみたいな言い方で、


 「そうね、もう、そんな時間なのね」


 そう寂しそうに微笑んだ。


 僕はそんな春夏さんの微笑みに、何も言えないで、でも確実に同じ寂しさは感じていると言う、不思議な思いは込み上げてきたんだ。


 でも、春夏さんは僕に言う。


 「良い事だから」


 って。


 だから、僕は、


 「うん」


 って、それはね。って感じて返事はしたんだ。


 約束の時間が近づいている。


 終わりの時が迫っている。


 これから、多分、こんな事は、僕らにとって不都合な事はもっと起こって来る。


 始まりがあるから終わりがある。


 こんな事、最初からわかってたはずなんだ。


 僕たちの時間に終わりが近づいている。


 でも、それは決して悪い事ではない、そういう約束で、それが目的だから。


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