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第17話【新たなる三柱神、新たなる王】

 ダンジョンに入ったからだろうか、なんか安心した。


 僕らが来た時は、ちょっと不安気な異造子の人達も、なんか落ち着いてる。と言うか、自然にみんな春夏さんの周りに集まっていて、すごく落ちついてる。


 春夏さんも普通に異造子さんたちに取り囲まれた輪の中の中心にいて微笑んでるから。


 ともかく、来てくれた人を歓迎しないとね。


 ひとまずは僕一人で、外に出ようとするんだけど、普通に葉山と蒼さんが付いてきて、僕は彼と対面した。


あ、茉薙と雪華さんも、八瀬さんに薫子さんも出てきてた。


 そして来たのは、この前にあった人達。


 自衛隊の皆さん。


 「ああ、ちょうどよかった、君を探していた所だった」


 と開口一発、白馬さんは僕の顔を見るなりそんなことを言い出した。


 そして、あれ、なんか一人、小さいのがいるなあ。


 って思って見ると極めて長身なでガタイの良い白馬さんの後ろから、男の子が出てきた。


 「さあ、挨拶だ」


 と白馬さん、その子を前に出す。

 小さいって言っても、うちの妹と同じくらいだから小学校の低学年くらいかな?


 でもまあ、子供って言っても、多分、僕らダンジョンウォーカーって訳じゃあないよね。


 だって、尻尾が生えてるからね。なんか悪魔っぽい翼も背中で忙しく動いているし。


 その子が、うつむいたまま、


 「………………………………………………………」


 何か言ってるけど、小さくて聞こえない。


 仕方なく白馬さんを見ると、その白馬さん、男の子の肩をバン!って叩いて、叩かれた男の子、


 「ヒィ!」


 って声を上げて、ビクってする。


 「しっかりせんか! もっと胸を張れ!」


 って普通の声なんだけど白馬さんの声って気合い入ってるから、こっちまでビリビリ来るよ。 


 「あ、あ、あ、あ、あ、」


 顔を上げて何を言い出すけど言葉にはなってない。


 僕は、焦んないでいいよ、ゆっくりで良いからね、って言おうとするも、


 「ここは待つの、こちらから何も言ってはダメ、こういう子って焦らせっちゃうから」


 って葉山に言われる。


 流石だね、まるで、先生か委員長みたいな言い方だよ、委員長か、良いのか。


 じゃあ、待つか。


 「深呼吸しなよ、ゆっくりでいいよ」


 っていつの間にか出てきたいた八瀬さん、その子にそんな風に声をかけた。


 この人もこう言う人の扱いっていうのに慣れているよね。一応クロスクロスを背負ってる人だからリーダーな人なんだよなあ、って感心する。


 いろんな人に、いろんな風に後押しされて、その子はゆっくりと口を開いて言う。


 「ぼ、僕はディアボロスです、混沌と整理整頓の神であり、新たなる三柱神でし」


 あ、最後噛んだ。


 ん? 混沌と整理整頓という事は、散らかしてから片付けるってことかな?


 「そもそも散らかってないと片付けられない」


 葉山が僕のそんな思考を読んでからボソッと言った。


 なんか卵が先か鶏が先か?って話になって来てる。


 「混沌と友愛だ」


 白馬さんが、明らかかに間違っっているであろう箇所について訂正してくれる。


 「あ、そうです、友愛でした、そう、混沌と友愛の神の間違いです」


 って本人も慌てて言い直している。


 「いつも白馬に整理整頓って言われてるから間違えたんだ」


 と言い訳? みたいな独り言を言ってる。


 「あ、アモンさんの代わり?」


 って思わず呟くのは、最近、自分の神であるブリドをほったらかしにしてる現・聖王様は仰せられる。


 「あ、聖王ですね、初めまして、僕、ディアボロスでし」


 あ、また噛んだ。


 「初めまして、私、聖王してます、葉山です」


 なんか、お互いにハンドルネームというかキャラ名しか知らない人達の現実では初対面みたいな自己紹介に見えるからちょっと笑える。


 そんな僕の感想を他所に、新たな神様とシェエイクハンドしてる葉山だった。


 なんだ、結構和やかになってるじゃんって思ってたんだけど、異様なほどの緊張感の高鳴りが僕の背後から伝わってくる。


 それは、蒼さんの気配であり、表に出す事を躊躇わない殺意というか、敵意だった。


 「え? どうしたの蒼さん?」


 って思っって声をかけるものの、その目は僕なんて一瞥もしないで、その先、白馬さんの方を見てる。いや、その傍らにいる女の子、ってか婦人自衛官の人かな?


 その睨まれてる人って、確か………………………。


 そんな殺意に濡れた視線に臆することもなく、三爪さんは、僕らに向かってペコリとお辞儀していた。敬礼じゃないから、あくまで多月の人としての挨拶って受け取れた。


 そして蒼さん、静かに、でも誰もがしっかりと聞き取る事のできる声でこう言ったんだ。 


 「三爪、これは宣戦布告か?」


 ちょっと驚いて言葉が出ない僕。


 「情報を切っていたのはお前だな?」


 と続けて言う。


 三爪さんは肯定も否定もせずにただ薄く微笑んで、


 「はい、そうしないとなりませんでしたので蒼様には申し訳なく、裏切りをしています」


 「それが、その行為がどのような結果を生むことになるか、よくわかっているのだな?」


 「もちろんです、多月の家にはよくしていただきましたから、しかし、これは大義、蒼様のお怒りも瑣末な事にございます」


 時代劇でも見てるみたいなやり取りが交わされる。


 とか言ってる二人はもう臨戦態勢。


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