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第11話【封鎖する人達、歩き過ぎようとする僕ら】

 それにしても、自衛隊とかさ、こんな立派な職業について、こんな立派な立場にいてもそんな事も、こんな状況というか効果は発揮されるんだなあ、と、自信を疑えない脆弱なおじさんになるんだなあ。


 最も大きな組織にいるからこそ、大事な事を自分で考えるって事を良しとしない、できないくなるってのも問題なのかも。だからたった一人にここまで組織を動かされてしまう。


 知ってる、知ってる。


 僕はゆっくりと雪華さんのいる、そのおじさんの所に向かった。


 だってこれ、多分『掌握』だから。いやそれに近いスキルかもだけど、それを使われてる。自分かかつて出したスキルだからわかる。


 最近知ったのだけれど、異造子さん達も、もっと軽度な状態での掌握を使われてたんじゃないかって、保健室のカズちゃんは言っていた。もちろん、それを証明する術はないんだけどね、本当に厄介なスキルだよ、掌握ってのは。


 ただ、最近わかったのは、このスキル、人を好き勝手に操る能力ではないんだ。


 掌握って言うのは王の使うスキルでさ、そのかける人物の操りやすい側面を利用するんだ、つまりはこのおじさんの場合も、おじさん自身の気持ちというか、「やりたいけどできない!」っていうその辺をうまく利用しているって事で、つまりは、もともとがこういう人だった事な訳。自分を肯定して、自分のやりたい事させてくれる、その上足りないなら力まで付与して配下に加えるってのが『掌握』のスキルとしての本来の姿なんだってさ、僕は今だに使えないけど。


 つまり人の欲望の解放も同時に行われているわけで、このおじさんの行動はまさにそれそのものって事だから、人の話なんて聞く訳がないんだ。


 もちろん僕が気づくくらいだから、すっかり聖王の葉山も気がついているみたい。


 でも雪華さんは必死に話し合おうとしている。いい子だよね、真面目だよね。


 「私たちは何も変わらないです、ダンジョンウォーカーは、一般人ですよ、それをこんな事………!」


 雪華さんは、そのおじさんに向かっていうんだけど、ダメダメ、こうなった人って、そんな言葉は聞かないよ。


 疑わない自分の信念を周りにある暴力装置を含めて全力で全部自分の力だって信じて行動する。


 こうなった人間って厄介だよ、異造子の人達はまだ遠慮というか、自分の純粋な願いというか欲望への葛藤みたいな物があったから、割と素直だったけど、この種の人間て、本当に周りの力を全部自分の力と勘違いしてくるし、どんな酷いことでもそれを躊躇い無くやってくるから、今、みんなの北海道ダンジョンを実力武装を持って、いきなり閉鎖してるのも酷い事で、多分だけど、長い人類の歴史的に見ると、なんでこんな傍若無人を許すかなあ、って人は定期的に現れるんだけど、まさにそんな人を見ている気分。


 過去の偉人からするとちょっと小物感はあるけど。


 全部上から目線で、僕らがそんな命令をあえて聴くと思っている所がなんか緩い。


 仕事で戦ってるというか、兵隊さんをやってる人なんだなあ、って思う。


 それじゃあ、ダンジョンウォーカーは止まらないよ。


 そんなおじさん、僕がゆっくりと歩み寄ってくのに気がついて、


 「止まれ!」


 とか僕に向かって叫んでる。


 だから僕は、


 「なんで?」


 って尋ねた。


 するとおじさんは、


 「ダンジョンは封鎖されている!」


 って叫ぶ様にいうんだよ。


 ほんと、こっち向けて来る視線はまるで自分の野望を隠すつもりなんてない感じだ。


 「いや、別に封鎖はされてないでしょ?」


 「封鎖してあるだろ? 見てわからないのか?」


 いやいや、あんたたちが入り口で邪魔してるだけじゃん、こんな程度じゃ閉鎖なんて言わないよ。って思ってるから気にせずどんどん前に行く。


 おじさん必死で叫ぶ。


 「こいつを止めろ! イかれてる!」


 とか言い出して、周りにいた重歩兵っていうの? パワードスーツを着た人達に命令すんだけど、その重歩兵さんたちはバッタバッタと倒れて行く。


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