表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
945/1335

第5話【異種間婚姻禁止の意図】

 それはもう、育ちの問題とかもあるから、子供の頃の環境とかね。


 蒼さんと薫子さんなら比べるまでも無いんだよね。


 子供の頃からあの戦闘集落でガチに鍛えまくっていた忍者と、最近うちに来て、かあさんに教えてもらってた薫子さんじゃ、薫子さんの方が分が悪いよね。


 ちなみに油断しまくってた葉山は蒼さんに瞬殺されてた。葉山は完全に自身の有利を疑ってなかった、だって、バルカも使用してたし、完全に自分の優位性に飲まれてたモンね、「油断した!」って言って再戦を懇願する葉山はちょっとカッコ悪かったよ。今も納得いってないから蒼さんに再戦申し込むんじゃないかな。


 僕が見る限り、薫子さんも葉山も蒼さんも、強さの種類ってのが違ってるから、確かに順位というか序列ってのを決めたがってるけど、それはいいじゃん、いい感じげ三つ巴になってる気もするしね、かあさんは喜んでるみたいだけど、今、この中で、一番強さってものにこだわってないのは多分、薫子さんかなあ。


 「話を戻していいかな?」


 一息ついたら八瀬さんが切り込んで来た。


 うん、いいよ、って無言で返事すると。


 「君たちがダメってなると、もう他に頼む人がいないんだよなあ………」


 と八瀬さんが呟く様に言う。


 だからひとまず聞いてみることにした。 


 「八瀬さんは、土岐がリリスさんと結婚するってのは反対なの?」


 いや、ほら、もう面倒じゃん、遠回しに聞いたり、反応うかがったりって、特にこの人、そう言う話し方とか話の持って行き方する人だから、もう率直に聞いてみたんだ。


 「いやあ、僕はさ、蓮也が早く家庭を持つのは賛成だよ、ほら、僕たち、家庭って物を知らないじゃないか」


 少し笑顔に陰りが見えた。それはリリスさんと土岐がと言うより、自身を振り返っての、物って感じがした。


 「じゃあ、いいじゃあないですか?」


 そう言うと、


 「いや、そうは言ってもね、いやあ、もう、どうしたもんか………」


 八瀬さんにしては妙に歯切れが悪い言い方をする。言いにくい事でも自分に利があれば簡単に口に出す人なのにね。


 そんな八瀬さんに、意外なところから声が出た。


 「相手がモンスターで、ダンジョンの住人だからですか?」


 それは春夏さんの言葉だった。


 ちょっと驚いた。


 って言うか葉山も薫子さんも、あんまり表情を見せない蒼さんすら驚いてた。


 すると、八瀬さんは、見た事ない笑顔で、どこか悲しい、いや、ちょっと怒ってる? と言うか世の理不尽を一人で背負ってるみたいな顔をして、


 「いやあ………」


 と言いにくそうに、


 「ごめんね、東雲さんの前で、あ、東雲さんでいいんだよね、そとも神(創造神)様扱いの方がいいかい?」


 って尋ねるけど、春夏さんはそんな八瀬さんの言葉にはまるで意にすることもなく、


 「それは、この地よりも北海道よりも大きな所からの忠告ですか?」


 って、尋ねてた。


 「………うん、そう」


 って一言だけ答えた。


 どう言うこと?


 北海道よりも大きな行政機関って言えば、もう国しかないじゃん。


 八瀬さんは言うんだ、気持ちを決した様に、全部、言ってやるって感じで、


 「つまりさ、彼女達はこの国の国民ではない、まして人でもない、何より正体不明で、さらに、この国を脅かす存在なわけで、そんな勢力に、ダンジョンウォーカーとして優秀な蓮也と結婚させる訳には行かないって言われたんだ、第一国籍もないじゃないかって、鼻で笑われたよ」


 彼女達ってのは多分、リリスさんのことなんだな、そして、


 「じゃあ、アモンさんと宝さんの結婚も、って事?」


 葉山が言うと、


 「そっちも、本来は婚姻として認める訳にはいかなかったんだけど、北海道はすでに婚姻届を受理してしまったから、今はともかく、蓮也の方を止めて、彼らの方は事後に処理するって言ってたよ」


 処理って……


 思わず言葉を失う僕だった。そして、そんな言葉を告げる八瀬さんは、あまりみられない怒っている表情を隠そうともしなかった。


 「で、土岐はなんて言ってるんですか?」


 「行方不明だよ、知ってるけど、知らない」


 なるほど、つまり土岐はその意思に逆らうつもりだって事だね。


 そんな事を考えつつ、思わず、春夏さんはどう思っているのだろうって、チラッと見てしまうと、彼女にしては少し珍しく悲しそうな顔を、ちょっと目を伏せて考え込んでる様なそんな仕草をしていた。 そして僕の視線に気がつくと少し寂しそうに笑ったんだ。


 ここで僕の立場から、今の立場から考えて見ると、リリスさんの討伐って別にそれは勝手にすればいいよってのが運営側って言われる、全部じゃないけどダンジョンの事をある程度知った僕の見識からはそういう言い方になる。


 いや、だって、基本あのダンジョンって誰も死なないじゃない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ