表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
944/1335

第4話【鴉と梟】

 で、そんな八瀬さんに、ハタっと気がついたみたいな、葉山が尋ねる。


 「え? もしかして嫉妬とかですか?」


 女子ってこう言う話好きだよね、目とか輝いてた、蒼さんもね。


 「え? 僕が蓮也にかい? ないない」


 そりゃあそうだよね、お互いに姉と弟みたいな物って言ってたから、それはないだろうね、もちろん、アモンさんクソ野郎さんみたいな例はあるけど、こっちの場合、どう見ても姉弟って言うよりも、むしろ男兄弟な感じもするから、この前結婚したあの二人に比べて、照れ隠す必要も無いって感じだね。


 もちろん、そんな心境を感じ取ってか、


 「なんだ、つまんない」


 とか、言う葉山なんだけど、立体的に複雑にならなくてよかったじゃん、僕的には平面的で嬉しいよ、って思われる事に愚痴をこぼしてた。


 本当に、人って自身には単純を望むけど、他人の問題には複雑さを求めるよね。


 理由とか、原因とか、そんなのどうでもいいじゃん、できない、でそれだけで終わる話なんだよ、って思って、あ、しまった、それが八瀬さんの狙いだ、って気がついた時には、


 「なんぜリリスさんを討伐しないといけないんですか?」


 って、あー、葉山聞いちゃったよ。


 その言葉を聞いて、一瞬、僕の方を見て、本当に一瞬、瞬く間に

笑顔になって、そのまま素に戻って、


 「いや、これはさ、関係ないまして他人に話すわけには行かないんだ」


 とか言い出す。


 もうね、耳がダンボになってる葉山は、


 「そんなことないですよ、リリスさんも、土岐さんも私たちには他人て訳じゃないですから」


  とか葉山が言い出す。まあそうだよね、僕も土岐もリリスさんも、ついでに此花姉妹とここにいる蒼さんも、あの時あの場所で葉山に殺されかかったからね、確かに他人じゃすまない人間関係かもね。少なくとも今はどう思ってるか知らないけど、あの時点では加害者と被害者だね。


 って思ったら、なんか葉山に睨まれたよ。


 「じゃあ、何? 真壁はあの時私が死ねば良かったって思ってるの?」


 だから、人の思考を勝手に読んで文句とか言わないでよ。


 「そんな事言ってないじゃん」


 って言うと、


 「じゃあ、そんな事、思うのもやめて、わかった? これ絶対だからね」


  ほんと、人のことは思い出して色々言ってくるくせに、自分のことはこれだもんなあ。


 僕、これじゃあ、春夏さんとくらいしか結婚とか無理だなあ、絶対にこんな事気遣って生活とか無理だもん。


 「あ、今の無し無し、いいよ思って、思うくらい、ちょっとくらい、ほんのちょっとくらいはいいよ」


 って何やら焦ってる葉山だった。


 「話が進まないね」


 って八瀬さん、うん、僕もそう思うから、ちょっと黙れ葉山。


 ちょっとシュンとしてる葉山。本当にちょっと反省しろ、そんな目しても無理だからな、なんか最近、葉山のテンションがおかしい気がするんだよね、蒼さんに負けた所為かな、この前、秋鴉を持った蒼さんと対戦して、普通に負けてたもんなあ、対蒼さん戦、以外に薫子さんはいい線行ってたと思うんだ、と言うか、薫子さんは完全防戦って感じで、あの白いデカイ剣で完全防御して、隙が出た瞬間を狙ってピンポイントで反撃してるって感じで、蒼さん曰く、すごいやり難いって言ってたから、なんか、いよいよ薫子さん、自分のスタイルみたいな物が身についてきた感じなんだよね。


 僕の周りに守りに長けた剣士ってのは結構いて、麻生さんとか正に相手の出方を待つタイプの剣士で、多分だけど、実際は一回しか戦った事ないけど辰野さんとかもこのタイプ。


 同じ騎士でも今話題に出てる土岐とか、この前の左方さん、西木田くんの彼女の、彼等は間違いなく聖剣士は名乗るけど、守りのタイプではないと思うから、いると言っても割と少ないくて、でも薫子さんはどのタイプとも違う気がするんだよね。


 目とか良い剣士は多いけど、そこに加えて音も大切にしてるって感じだから、ちょっと僕とも方向性が違う気がする。


 これは多分、母さんが無理せず、元々薫子さんの中にあった資質を上手に伸ばしたおかげだと思う。


 そしてそれを外に顕現させ、形造ったのは、その出力機関である、自分の手に持った剣、つまり『白護輝鴟梟一ノ太刀』の賜物で、本当に、蒼さんの『秋鴉』同様、薫子さんの為だけに作られた剣ということだから、当たり前だよ。


 それでも、初代の『秋鴉』と現・微水19代目の『白護輝鴟梟一ノ太刀』、お互い出来立てホヤホヤの新作にして、武器性能として全く同格っていうのが凄い。


 新しきは伝統に敗れ、また伝統は新しきに敗れって言うありがちな構図は、一ミリの差異もなく拮抗して終えたから、体術というか、肉体的な限界の差で薫子さんが負けてしまったけど、もう少し薫子さんに体力があったら、どうなっていたかわからないよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ