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北海道ダンジョンウォーカーズ(再up版)  作者: 青山 羊里
◆閑話休題章 青鬼見聞録 [隠匿された里の物語]◆
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その62【天真爛漫元気一杯な葉山静流の憂】

 ガンガン空から飛んでくる刀が厄介。


 以前の、あの時、中階層でのå頂上決戦な捨ててあった壊れた剣と違って、切れ味がすごい。


 でもって、葉山の気の乗り方も凄い。


 まるで親の仇をとってるみたいな、そんな攻撃。


 「楽しいね、楽しいね真壁!」


 って、弾けるくらいの満面の笑み。


 やってる事と、その表情のギャップって言うか、落差と言うか、以前の葉山の時も思ったけど、かなりイかれた人物だよね、こう言う時の葉山って。


 その微笑に対してこっちに来る攻撃は、みんな葉山の一撃だから、必殺の一撃だよ。遠慮なんて微塵も感じないよ。


 そんな危険な場所に、未だ惚けるみたいな顔して焔丸くんがいてさ、


 「義兄上、これが、北海道ダンジョンウォーカーにおける『スキル』と言う物ですか?」


 なんて呑気に聞いて来るから、


 「そうだよ、これ多分、葉山の固有スキルだと思うけどね、他の人が使ってるの見た事ないから」


 と説明を加えておいた。


 あ、茉薙がいるから、正確にはもう一人いたなあ、って思って訂正しようかとも思ったんだけど、未だ、焔丸くんは、舞い飛ぶ刀を感心するみたいに見つめてるから、まあ、後でいいやって思った。


 でも、なんだろう? 剣と言うか刀の本数は少ないけど、前よりなんか強くなってない? 一撃一撃が重いんだけど。


 「気がついた?」


 って葉山が僕からちょっと距離をとってそんな風に言ってきた。・


 「何を?」


 って、惚けて聞いて見ると、


 「完全に健康になった私の技よ」


 って言うから、


 「ああ……、そっか」


 って間抜けに返事しちゃう。


 前はもうボロボロって言うか死に体な感じでの、この技だったからね。好き勝手に剣を操って攻撃して来るの。


 って、思ってたら、袈裟斬りが来た。がキン!と弾き返す僕の剣に重さが残る。


 「どうよ?」


 「うん、重いね」


 って言ったら、


 「もう真壁に勝てるかな?」


 って嬉々として聞いて来るから、


 「なんだよ、やっぱ負けたことが悔しかったの?」


 って聞いたら黙った。


 何か考え込んでるみたいだ。ちょっと腕組んで熟考してる。


 「だよ、勝ちたいよ、真壁に」


 あ、笑ってない。


 なんだ、マジかよ。


 「今日はいいところまで追い詰めるからね、それで勝つから!」


 と、気を取り直して言い出す。切り替え早いなあ、葉山。


 そんな僕の後ろにいる焔丸くんが、僕の服の袖引っ張って、


 「葉山様は、義兄上の2号さんではないのですか?」


 って聞いて来るから、


 「一体、誰がそんな事言ってるのさ?」


 って聞くと、


 「私!」


 って葉山が言うんだよ。お前かよ!


 「いいじゃん、言うくらいさ、勝手でしょ!」


 ってなんで葉山が切れてんだよ。嫌だよ、風評被害とかあるじゃん。それでなくても、ハーレムだの、多重婚だの、一夫多妻だの言われてるんだから、僕の純真なイメージってのもあるから、ここは対立しておくよ。


 「葉山静流、お前、2号さんでいいのか?」


 って意外な所から反論来た。薫子さんがそんな事言ってる。


 そうだよ、薫子さんの言う通りだよ、そんな何人も女子侍らせてる男子なんてろくなもんじゃないよ、そこの2号さんに収まろうなんて、ちょっと常軌を逸してると言わざるを得ない。


 って、誰が女子侍られてるんだよ、根も葉もない偽りだよ、事実無根だよ。


 「薫子が4号さんなのよ」


 とか恐ろしいことを言い出す。


 あ、焔丸くんわかりやすく引いてる。違うから、葉山が勝手に言ってるだけだから。


 「そんなわけあるか! 私は無関係だ!」


 薫子さんも怒鳴ってる。


 「だから前も言ったじゃない、今日花さんをお母さんって、呼べるのよ?、いや、この条件を飲むなら、今日から、ううん、今から、今日花さんはあなたのお母さんなんだよ」


 すると、薫子さんは、不敵な笑顔を浮かべてこう言った。


 「ふふん、もうその手にはノリはしないぞ」


 ああ、そうだね、前も一回、こんな事あったね。


 そして、薫子さんは言った。


 「すでに今日花様から、今日花様の事を『お母さん』と呼ぶ許可は頂いているのだ、もちろん二人っきりの時だけどな、なぜなら私が恥ずかしくて死んでしまうからだ!」


 そう叫ぶように言った。本当に母さんって寂しがりやの特に女子に好かれるよなあ、寂しがり屋さんホイホイだよね。で、また甘やかすんだよなあ。特にこう言うことでは。


 すると、葉山は『ぐぬぬ』とか言ってた。本当に悔しいとその言葉って自然に出るんだね。


 「すでに、真壁抜き、息子無しでそんな確約を交わしていたなんて」


 とか驚愕に彩られた顔して言ってる今も、絶え間なく、葉山の操る刀は僕を攻撃して来る。


 「真壁はいいの? お母さん取られちゃうよ」


 って言われる。僕、3歳児かよ、お母さん返してよ!って言えばいいのかよ。


 すでに勝敗はついた感じなんだけど、また葉山の奴、不敵にフッフッフって笑い出した。


 「何がおかしい!」


 って薫子さん言うんだけど、


 「そうですよね、どこもおかしい所なんてありませんよね?」


 って焔丸くんも事の成り行きを気にし始めてるみたいなんだけど、気にしなくていいよ、変なお姉さんたちだから。


 「じゃあ聞くけど、その、今日花さんをお母さんて呼べるあなたが、どうして私と寝ているのよ」


 ああ、部屋割りの事だね、3人寝るには狭いからじゃないかな?


 すると、19代目微水さんに造って頂いた白き奇跡の剣をかシャーンって落としたよ、ショック受けてるよ、葉山の戯言を真に受けてるよ。


 「ほらみなさいよ、本当の娘だったら、あなたは今日花さんと一緒に寝ていたのよ」


 と勝ち誇ったように言った。


 いや、違うじゃん。


 最初、葉山が、「私が僕と寝るから、今日花さんは薫子と寝てよ」、とか世迷言を言い出して、「バカなことを言うな、お前は私と一緒だ」って薫子さんが言ったんだよ。過去を改ざんされて真に受けてないでよ。ワナワナしながら顔を手で覆わないで。


 「ほら、ね、もうここは共闘して真壁を倒すしかないじゃん」


 どうしてそうなる?


 超論理だよ、焔丸くんが、


 「あの、今の話の流れがまったくわからなくて、北海道ダンジョンっていつもこんな感じなんですか?」


 って聞かれるけど、こんな事言い出すのなんて葉山くらいだよ。


 まあ、まとめてかかって来るならそれもいいけどさ……。


 さっきの攻撃で、葉山の弱点見たいのも見えたしさ。


 葉山と薫子さん、一人一人相手にするよりは、めんどくさくなくていいか、って思う僕だったよ。


 

 

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