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北海道ダンジョンウォーカーズ(再up版)  作者: 青山 羊里
◆閑話休題章 青鬼見聞録 [隠匿された里の物語]◆
907/1335

その46【コンビニと薫子と迷惑な鬼】


 「相変わらす狭いなここ」


 と屈む鬼は不満をあらわにするが、そのままドリンクコーナーに屈む様な這う様な、時変な格好で歩いて行ってしまう。


 その様子を見ている薫子に、


 「薫子、大丈夫?」


 と心配そうに見る今日花に、


 「いえ、だ、大丈夫です、こ、これも社会勉強ですよ」


 と強がって見せた一杯一杯の薫子でもある。


 そしてドリンクコーナーの方では、「微水様来たんだ」と言う葉山に、「おう、たまにな自分で飲み物を選ぼうと思ってな」などと言った会話が繰り広げられている。 


 そんな様子を見て、そうか知り合いなんだと、どこか納得する薫子でもあった。


 そして、葉山は、


 「あれ? さっき、空ちゃんに、外出ちゃダメとか言われてなかったっけ?」


 と、もとより体が大きいので、かがんで葉山の顔を見る微水様は、


 「今は大丈夫だ、衛星って言ったか? 天空の目は俺を見ていない、お前だって、アキシオン持ってるんだ、わからなのか?」


 とか言われて、首を横に振る葉山だった。そんな葉山を見て、不満そうな顔をして、今度は僕の方を見る。


 いや、そんな目されても、第一、僕、今剣持ってないし。


 「そっか、お前らまだまだだな、世界の2割で、全てに干渉できるってのにもったいない」


 と言って、缶チューハイを取り出す。


 「これうまそうだな」


 と言ってから、


 「ご母堂! どうだ、一緒にこれにしないか?」


 と、まるで子供の様に母さんに向かって手を振っている。


 「なんだ、あいつ、師匠を気安く呼んだりして」


 と、薫子さんが変な対抗心を燃やしている。


 すると母さんは、


 「私はお酒は飲まないわよ」


 と言うと、あからさまに不安気な顔して初代微水様は、


 「えー、なんでだよ」


 「私は、食後は多月の奥さんの入れてくれた緑茶がいいのよ、とても美味しかったから」


 と言うと、思わぬところで、意外な評価を受けていた菖蒲としては、


 「え? 本当ですか? お世辞ですか?」


 と半信半疑というか、上ずった声でそんな事を言う。


 「ええ、あれ、ここの物なのでしょう? ご飯も美味しいけど、お茶はとても気に入ったわ」


 と母さんが言った。


 「ええ、そうなんです、あのお茶は、私の4代前の当主様が……」


 その後、細く長い説明が続いた。そして母さんはそんな話をニコニコしながら聞いている。


 その様子を見ながら、初代微水様は、


 「チェッ、じゃあ、俺はそれでいいや」


 と酎ハイを元の冷蔵庫に戻して、


 「多月の! 俺もこんばんは御相伴に与るぞ」


 と大きな声で言った。


 「はい、もちろんですわ、微水様」


 と、菖蒲ははつらつとして声を、元気を取り戻していた。


 そして、薫子さんとは言うと、


 「なあ、お前ら、買わないんなら帰れよ」


 と何故か僕に言ってくるんだよね。


 結局、弱いところにしわ寄せがくるんだね。そして、


 「出来ればアレも連れて行ってくれ」


 と視線で葉山を指して、薫子さんはそう言う。


 すると、その声を聞いた葉山の奴、


 「いやよ、まだいたい」


 とか言い出す。


 なんか、最近、この子、委員長キャラどこ行った? って思う事多いなあ。


 って見てたら、


 「真壁、1円ある? いっぱい?」


 とか聞いてくるから、


 「何するの?」


 って聞いたら、


 「1円玉沢山出して、買い物するの、さっき私全部使っちゃったから、薫子がチマチマ1円数えるのもう一回見たい」


 とか言ってくる。本当に今の状況の薫子さんが面白くてしょうがいないみたいんだな、って、その薫子さん凄い顔して僕を睨んでるよ。


 いや、なんか、僕が悪いのかな……、いや、なんかごめんね。って心の中では一応悪くないとは思うけど謝る僕だよ、って、葉山も僕の財布抜かないでよ、勝手に小銭から1円抜かないで。


 そんな中、蒼さんが遅れてお店に入ってきて、大事そうに抱える、新しい武器の包みを見て、よかったなあ、本当にこれだけは実があってよかったなあ、って思う僕だったよ。


 


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