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北海道ダンジョンウォーカーズ(再up版)  作者: 青山 羊里
◆閑話休題章 青鬼見聞録 [隠匿された里の物語]◆
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その2【多紫町】

 山に囲まれる窪地、つまり盆地構造の場所である為に、夏暑くて冬は寒いという特徴を持つが、標高が高い為に、それなりに空気は若干の薄さはあるが住みにくほどでもない。


 本来なら車など生活に必要などないのではあるが、交通や一般社会の教育のために、数台の自動車が行き来して、町の中には6箇所ではあるが信号(押しボタン式)もある。


 これらはみな、この町の子供達が、いずれ旅立ち、大いなる目的の為に、一般社会に出ても困らないようにとの配慮でもある。


 この町で育ってしまう子供達にとって、市街地での行動の為の教育は不可欠なのだ。


 交通事故にあってしまった場合の対処など、特に車の上を飛び越えてはいけない、ぶつかっても平気な顔してはいけない、などを教育しないと、一般社会にスーパーマンを派遣してしまう事になりかねない上に、それが原因で世間に存在を知られてしまう恐れがあるからだ。


 彼らは、静かに、人に混ざるように行動しなくてはならないのだ。


 そして、その町に住まう彼らの目的は、ざっくりと言うと、世界平和、そしてその他、この町の維持運営というのが主命である。


 身体的に優れている彼らは、いずれこの国の為に仕事をして行く使命を負っている。その為に、彼らはこの国から年間数十億円という国費を投じられている。何を馬鹿な、と思われるかもしれなが、この金額で、この国の平和、そして他国を含むトラブルを回避できれば、下手な空母などを持つよりも安上がりであるし、確実なのだ。


 それを、平和を効果的に行う為には全ての処置が施される。


 だからこそ、彼らは隠され、そして大事に扱われている。


 昨今、平和な現代において、その技術と伝統、そして、それを維持する為の子孫の維持こそが大義なのである。


 彼らの存在と実績は、その歴史は、実にこの国の歴史と言っていいほど永く、そして何より尊い。


 この里はかつて多くの人間を助け、総じてこの国を幾度となく救っているのだ。だが、それは決して表に出ることはない。概ね、その様な出来事はなかった事になる。全てが秘密裏に行われているのだ。


 現代においても、政治に対しての影響力を持ち、何より今も尚、この世界の平和の為、大局的にかつ秘密裏に活躍をする者たちを多く排出し、またこの里の存在が幾度となくこの世界の危機を救うほどの実績を現在も尚積み上げている。


 おかげで現在も国の骨幹に深く浸透し、益々その影響力を持っている。


 それは一つの里がまるで影で一つの国家を牛耳っている様な図式に捉えがちであるが、基本、里の彼らは、『人類を襲う未曾有の危機』でもないかぎり、表立って社会に姿を現したり、影響を与えることはしない上に、それをよしとはしていない。国同士のトラブルは、小さい目のうちに摘むので表に出ることもない。


 ただコツコツと平和と安寧を作り出している。


 決して権力を操作することなどはないのである。


 だからだろうか、その行使の為に与えられる権利は膨大といってよく、その里に住む彼らは、この国の国民の権利を与えられながら、この国の法には適応されない特別枠にいる。


 現在も尚、この国を支える、隠れ里、完全に隠蔽された町。どの地方にもどの都道府県にも属さない完全独立にして国家直下の自自体。


 時に、平和に、そして管轄外として法すら適応されず、大義の前に、また殺戮すら許された、その里の出身、そしてその里で認められ元服を許された場合、個人にして警察権力を持つことの許される。


 そんな力は全て、この国というよりは、概ね全ての『命』に費やされる。


 彼らは古来より、人の体の苗字を与えられ、その性能価値の家柄により『数』を表す。


 この平和な世の中にあって、人知を超えた戦闘力を持ち、未来永劫維持する事が一つの大きな里の役割でもある。



 一族の長、その代表の名は多月と言う。


 かつて『青き鬼神』が『人の赤き血』によって開闢した隠れ里。


 戦闘集落と呼ばれ今も忍術が現存するかつての隠れ里。


 今は町となって、その名を『多紫町(おおむらさきまち)』と言った。

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