第263話【ともかく相手を二分しよう、物理的に】
僕はその時、春夏さんを見たんだ。
春夏さん、僕見て微笑んでるなあ。
何も言わない。
葉山や角田さん、瑠璃さん、そして桃井くんたちまで、方法を論じで騒いでいる中、春夏さんだけが、僕を見て、いつもの様に、当たり前に微笑んでる。
ああ、そうか。
これ、僕物件って事だね。
きっと、方法なんて無い。とうか、どこをどうすればいいのかなんて答えは、まだ無いんだ。
だから、僕が、僕の行動で答えを求めないといけない奴だ。と言うか僕が答えを出さないと終わらない奴だ。
きっと、その為の力は全部もらってる。
本当ならさ、ここでわかりやすくピンチだよね、って追い詰められて、新しい能力と言うか、隠されていた能力が開眼するはずなんだけど、僕の場合、かあさんに鍛えられた部分でほぼ無理矢理押し切ってしまえるから、恐らく今も僕の中にいるであろう、僕の中の僕にすら、なかなか出番がない。
しかも、今は、この剣もあるから、尚の事どうにかしてしまえる感がある。
いい加減、方法も無く悩み続ける僕らに普通に攻撃が来る。
ツートンのスライムの攻撃は、自分の体を伸ばして、こっちを叩いて来るみたいな攻撃がなんども続く。
蒼さんが上手に対応してくれてるけど、時折、まるみがかったその伸びて攻撃してくるとスライムの一部が、蒼さんの剣と接する時に、あり得ない事に、金属同士の衝撃音に聞こえて来るから驚く。このスライム、自分の体の高度とか変えれる? 今の間違えなく斬撃だよ? 受けた蒼さんも驚いてる。
つまり、ここにきて、また僕らにキチンと対応して来てるって事だね。確かにこのまま時間をかけるってのは、追い詰められているのは僕らの方になりそうだ。
本当に、本気で一体どうしたらいいんだ、って考えた時、僕の頭に一つのプランが浮かんだ。
それは、彼等の現状。
彼等の姿。
葉山と蒼さんが、クロスレンジで対応してくれてるから、今はそこそこ距離を置ける。
その二人、多分、このダンジョンでもトップクラスの斬撃速度を持ってしても、切り裂くスライムの体は、まるで水飴を切ってるみたいな感じで、切り別れても、そのまま何もなかった見たいの様に再び元に戻る。
回復や再生、治癒や修繕に時間やカロリー、スキルを消費する普通の魔物なんかとは全く違って、このスライムって、存在そのものが塊な感じで、こちらの攻撃で、そこからどう形を変えられても何かを消費したり、減らしている感じがしないから、かえって僕らの方に疲労が溜まってく感じがする。
効果の無いことをずっと続けるのって疲れるもんね。
まして、こんな状況なら尚更さだよ。
僕は、西木田くんに尋ねる。
「二人には分けたって言ったてよね」
西木田くんは、
「ああ、それはやった、でないと声かけに応じてはくれないからな、最初は混濁してたが、アモンさんが答えてくれたから、きっとあの姿なんだと思う」
「じゃあ、やっぱり、あの色違いを分けるしか無いんだね」
と言ったら、
「まさか、やる気?」
と葉山。
「他に方法ないじゃん」
と僕。
「………………………!!!!」
葉山はよくわかんない表情を作って、「そうだけど!」
って言った。
「お屋形様は、やると言ったらやるお方です、無論、言わずともやるお方です」
と結局ヤルって人なんだね、僕って事を蒼さんが言う。
「狂王、あれを切り分けるって言っているのか?」
って瑠璃さんに言われて、
「ええ、まあ、そうです」
と答える。
そんな顔して言われると、おかしいな、僕の考え間違ってるかな? ってなる。本当にそんな顔の瑠璃さん。
だって、それしか方法ないよ、だから、近道なさそうだし、そう言うのでやろうかなあ、って僕も仕方ないとは思うし、労力を考えると砂場の砂をひとつまみづつ移動させる様なものだからね、でも、それが確実だったら僕はやるよ。
時間や労力なんてどれだけかかったって良い。
北海道や世界を救う事ももちろん、何よりクソ野郎さんとアモンさんを救えるならなんでもやる。
これ以上、大きくなられても困るしね、ここで決めて置かないと手遅れになる感も凄いあるから、この辺の読みはあってると思う。
だよね?
って思わず春夏さん見て確認してしまう僕だけど、いつもの春夏さんだ。僕の好きな様にって、そんな顔してる。
問題は………………………。
僕はそう思いつつ、剣を軽く8文字に振る。
んー………………………。
もう一回。
ん………………。
更にふって。
………。
ん、これならいける。
だから、
「大丈夫そうだ」
って言った。
そんな僕の様子を見て、
「ねえ、真壁」
と、葉山が怪訝な顔して言って来る。
「何? 今忙しいよ」
と僕、変な質問なら後にして欲しいから、