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第80話【鞘とかいらない、常に触れていて】

 これは多分、角田さんの優しさからの処置だろうな、聞かない方がいいんだな。


 そして、ちょっと雰囲気が変わって、角田さんは立腹した感じで、腕を組みつつ、


 「ところで秋さんの頭を小突いたって言う奴、なんか特徴ないですかね?」


 あれ? 昨日は真希さんに話を聞いてないのかな? あのクソ野郎さんとは顔見知りだったみたな感じだけど、まあ、それでも、昨日はそれどころじゃなかったもんな、僕が。


 一応、角田さんにはこの剣のこともあるんで、一連の流れで話はしていたんだけど、君島についてもそうだけど、あの時出会ったクソ野郎さんと、緑の女性を気にかけていた。


 「白系統のローブみたいな鎧とは違う服を着てた、あと武器が剣だか槍だかよくわからない形をしていたなあ、あんなの初めて見たよ」


 角田さんは悩んで、


 「前衛な人間で、ローブですから、多分、それなりの物でしょうね、でも武器もオーダー品っぽいので、多分誰かスポンサーが付いている感じだし、間違いなく深層階にいるようなダンジョンウォーカーですよね、他に特徴は?」


 そうなんだよね、深階層とかまでたどりつけるダンジョンウォーカーにはさ、武器とか防具とかにスポンサーが付く場合は珍しくなんだよ。それを身に着けて活躍している人って結構いる。


 川岸製作所なんかのカシナート意外に、武器を造るメーカーはたくさんあって、つまりこの北海道ダンジョンは、その手の商売に対して良い市場になってるってことだよ、もっとも僕にとってはもっと先の話だけどね。


 「美人な女の人と一緒だった、その人自体の背はあんまり高くないよ、僕よりも若干低いみたい」


 一瞬、『女の人』って言葉のあたりで、離れたところにいる春夏さんがピクって反応した。すごいな、あんな距離でも聞こえているんだ。


 最近気がついたんだけど、春夏さんて、僕の口から女性の話とか、周りにいる女の子の事とか話になると、なんか超反応を示すんだよね。


 理由はわからない、でも僕の中の本能がその事を詮索するなと、割と大きなサイレンで教えてくれるから、絶対に聞かない。


 あの時の委員長、葉山さんとの接触も結構気にはなっているんだけど、多分、そのうちわかるんじゃあないかなって、保留にしているけど出来れば有耶無耶になって欲しい。


 触れないようにしよう。


 でも、この剣の事は知っていたみたいで、「よかったね」って言ってた。


 春夏さん、僕がこの剣を渡される事も、冴木さんに会っていた事も、わかっていたみたいで、頼んでいた木刀も持ってこなかった。よかった、断りの電話を入れようと思っていたんだけど、話は通っていたみたいだ。


 『4丁目ゲート』前で会った時は、妙に上機嫌だったし、何かいいことでもあったんだろうか? そう言えば冴木さんにも会ったって言ってたから、君島の問題が一応の解決をみたからホッとしたんだろうか? まあ、何にしてもよかったよ。


 じゃあ、気を取り直して、早速、この剣が使えるな、って思ってる。


 そういえば、僕、これ抜き身のまま渡されたけど、鞘とか用意しないとダメかな? ってジッと見てると、剣を見つめてると、それはいらないらしい。鞘とかほしくなさそう。この剣、僕の体から離れるのを嫌ってる感じがする。


 じゃあ、いいか、手で持ってるか……。


 絶対に離れない、もう姿だって隠さないんだから、言われてる気分になるから不思議。

 

 誰がって? 剣だよ、このマテリアルブレードって言ったっけ?


 それから、そんな気持ちというか雰囲気みたいなものがしっかりと伝わって来るんだよ。


 今日はすぐに使うからいいか、って思った。


 本日の敵は、初の人型のモンスター。


 その薄さと軽さ故に、存在も直立も耐えられない軽さなんて揶揄されてるヤツ。


 じゃあ、ちょっと切り替えてがんばるかな。


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