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第252話【クソ野郎さんとアモンさんの関係】

 このタイミング、この攻撃には避けるしかない九尾で、そこには、もう一本のマテリアルブレードを装備した葉山が入ると思いきや、葉山、マテリアルブレード持ってない。


 でも代わりに、腰の位置から正面に向けてバルカが火を吐く。いや、それ当ててはダメなやつじゃん。三柱神対応武器じゃなかったかな?


 でも、見当違いの方向に向いて、ダンジョン壁に着弾の音。葉山の射撃にしてはありえない程のまるで目を瞑って撃ってるみたいな感じで、そのまま前に出て、再びバルカを放つ。もちろん当たらす、九尾の足元に着弾、これにはたまらず、九尾は下がる。その後ろには薫子さんが待機していて、その薫子さん、おっかなびっくりって顔して、カシナートを構えてる。ヤバイ、薫子さんだけ、九尾対象の武器持ってないんだ。


 だかた九尾は安心して、薫子さんの位置まで下がろうとする。


 で、その目に見つめられて薫子さん、背中から、あ、あれ、葉山のもう一本のマテリアルソードだ。そしてそれをぎごちなく構える薫子さん。対応するように急制動をかける赤い九尾。


 「真壁! 今!」

 葉山の叫び声。なるほど、これで奴の全体重は前足にかかっただから、僕は遠慮なく後ろ足を狙って薙ぎ払う。


 当然、避けられる、避けさせる攻撃、そして形に嵌める。

 九尾の鬱蒼とした9本の尻尾が捲れるように持ち上がって行く、そしてその慣性に連れて行かれ、下半身が上がる。


 もうちょっと!


 思わず力の入る僕の横をものすごい勢いで、蒼さんが駆け抜けてゆく。手にはあの葉山のマテリアルブレード。


 その接近を嫌う九尾は今まさに持ち上がろうとする後ろ足で、接近する蒼さんを狙い撃つように蹴り上げようとする。


 そして、それこそが蒼さんの狙いだった。


 その後脚に合わせて、まるでその蹴り足に乗るように蒼さん着地、そして、短い気合の言葉と同時に体全体を使うようにそのまま上に蹴り上げた。


 持ち上がる、赤い九尾の体。そして晒される九尾の腹と胸。


 そこには、ツギさんが解錠した施錠があった。


 「よし」


 と西木田くんが言って、そのまま、「じゃあ行ってくるわ」と言うと同時にまるで意識をなくしたかのように、支える左方さんお腕にもたれていた。


 「翔!」


 叫ぶ左方さんに答える西木田くんは、その左方さんに支えられた体からではなく、まるでこの空間、ダンジョンの一室の一部から語りかけるように、


 「大丈夫だ、信用してくれ、絶対に上手くやるから」


 と、跳び立ち行き過ぎるような、速度で僕らに告げて、そのまま消えて行った。


 体がそこにあるのに不思議な感じだ。


 こんなスキルもあるんだなあ、って感心してしまった。


 何より驚かされたのは、そこで、赤い九尾に動きが止まってしまった事、その停止の仕方がさ、休むとか、そういう止まり方ではなくて、本当にこの獣の時間だけピッタリ止まってしまったみたいな動きの止め方をしてる。


 意識だけが入って行った感じなのかな? 


 詳しく説明を聞いている暇もなかったから、ちょっと分かりづらいかもだけど、事情を知ってそうな左方さんに聞きたいけど、ギュッと西木田くんを抱きしめて、辛そうな顔してるから、ちょっと尋ねづらい。


 「一体、どうやって入っているのだ?」


 よし、空気や雰囲気なんて全く無視な薫子さんが、直球で訪ねてくれた。


 流石に、


 「言いたくないなら言わなくてもいいですよ、薫子もそんな事を聞かないで」


 と葉山がフォローに入る。


 すると、


 「体外消化の一種、だから翔は、これも『食べる』って行為の一種と言っていたわ」


 ボソボソと左方さんは話し始める。


 「ちょっと前、あのラミアの事件の後くらいに、私も同じようにこの件の意識と意図を強引に混ぜられて、そこから救ってくれたのが、翔なの」


 どこか嬉しそうに左方さんは語る。


 「あの時も、私とこの剣が混濁する私の中に、彼は命懸けで来てくれたの、多分、私はその時、翔に人い事もしてると思う、でもそんな事一言も言わないの」


 すると、葉山が


 「ほら、ね、命懸けで救われた方としては、救った人には責任取らなきゃだめなのよ、その点、彼はちゃんと責任果たしてるわ、偉いのね」


 本気でそういうのは今はいいんだけど、この辺の主張というか押し付けもなさそだよ、左方さんの場合。


 「秋様の場合、ハーレム婚を認めておられます、ですから後は皆さんの意識次第だと思いますよ、サーヤもいい人が現れたら僕のことはいいんだからね」


 って人を引き合いに出して、機会に恵まれた感じで、サーヤさんに釘を刺そうとする桃井くんだけど、


 「ありえないわ」


 ってサーヤさんにバッサリ斬られる桃井くんだよ。


 そんな窮地の中にもどこかほのぼのとして雰囲気の中、僕自身、どうして、とうかどうやってあのアモンさんを、とどのつまり、クソ野郎さんではなくて、沈着冷静なアモンさんを出し抜いて、こんな形に持っていけたのか、気になっていたので、


 「どうやって、あの獣は生まれたの?」


 と、当事者であろう、角田さんに訪ねてみた。


 すると、


 「その辺の事情は、真希の奴から聞いてないんですか?」


 って質問で返されてしまう。


 さっきも男女がどのこうの行ってたし、今ひとつ、角田さんの物の言い方の歯切れが悪い。


 「言ってなかったよ、だから角田さんに聞いてるんだけど」


 って言ったら、ちょっと諦めたみたいな表情で、


 「つまりは、融合自体は、神と王の相性とそれを求めう気持ちがなければありえません」


 と言う。


 考えてみるけど今ひとつピンと来ない。


 「いや、だからさ、どういうことなのさ?」


 しつこく食い下がる、ちゃんとしたことを答えてもらわないと、ともかく、僕らだって他人事ってか、対応してるわけだしね。


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