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第248話【圧倒的施錠解除! 次へ進め!】

 攻防は複雑にして、どっちが有利かなんてまるでわからない様相を示していた。


 相変わらす、僕を中心に確実に攻めあぐねている。


 そんな中、 


「じゃあ、アッギー、開げて来るな」


 って行って、ツギさんはこの立て込んだ戦場で、縦横無尽に敵の攻撃やら、僕たちの防戦やらにあふれているこの状況の中、普通に、まるで、近くのにセイコマートにちょっと喉が渇いたから、って感じでソフトドリンク(オレンジソーダ)くらいを買いに行く、って歩みで、スタスタと赤い九尾に近づいて行く。


 本当に普通、道や廊下を歩いてるくらい普通。


 なんの工夫もなく、笑ってしまうくらい普通に歩いている。


 だからかな、赤い狐はまるでツギさんを認識してないくらいの感じで、相変わらず僕らの方を襲って来る。


 「アッギー、コイツ、ちょっと動きを止められるが?」


 敵を眼の前にして、躊躇無く振り向いて僕に言って来るから、思わず僕の方が緊張してしまうよ。


 「時間、無いんだろ?」


 ツギさんらしく、のんびりと急かされる。


 「う、うん」


 と、僕も素で答えてしまう。


 止める、固める、静かにさせる。


 方法を考えて見た。


 なんか、パッと思いつかない。こう言う時は行ってみての勝負だね。


 僕の意識が前に向く。


 同時に、今まで接近戦を挑んでいた葉山、蒼さん、春夏さんの意識が後方にシフトされる。一瞬遅れて、後方支援をしていた、角田さん、桃井くん、サーヤさんもより広く空間を開ける。


 じゃあ。


 前に出た瞬間に、春夏さんは僕の後ろに、蒼さんはさらに下がって、遅れている葉山が、線上時に位置どり、僕を赤い狐に意識させながら、追わせる様に下がり続ける。


 うまいなあ、葉山、本当に頼りになる。


 まさにへー、ふうん、の呼吸って奴だね。


 じゃあ、もう一人、頼りになる僕の剣に意識を走らせる。


 斬らない、叩く、持ち上げる。


 この程度の意識がまるで吸い込まれる様に僕の右手から剣に落ちて行く。


 僕の迫る速度に、狐は待ち構える方の意識。


 守るも攻めるも、そっちが有利だね。


 で、その中で何が凄いかって、ツギさんだよ。


 まるで固定されたかの様に、赤い九尾の直横に座り込んで、僕がこの獣を止めるのを待ってる。本当によく攻撃されないよね。本当に、普通に待ってる。


 完全にこの戦況の流れからは全く別の流れにいるみたいな感じ? よくわからないけど、それがツギさんのスキルとか特技かはわからないけど、ダンジョンに唯一無二の技術って言われるのがわかる気がする。あ、これ真希さんの言ってた事ね。


 ちなみに、シメントリーさん曰く、世界で一番忌々しい技術で人間がツギさんなんだってさ、シメントリーさんが施す、法の執行による施錠、封印、禁呪なんかも易々と看破して行くらしい、しかもシメントリーさんが一番腹たつところが、その開放、解体を、『試しに出来るかな?』くらいの気軽さで開きまくって、その後、何事もなかったかの様に元に戻して行くらしいんで、シメントリーさんのこのダンジョンの法の執行と言う他にはない技術を、そして何よりシメントリーさんのプライドをズタズタにしている人間なんだそうだ。そんな開けれれまくってる彼女、『このまま私の心の鍵まで開けるつもりか? え? 私、開けられちゃうの?』ってよく分からないパニックに陥ってるって話らしい。


 何より凄いのは、これらの鍵の開放の技術自体は、スキルかどうかもわかってない事で、誰もツギさんの技術がなんであるかを特定できないんだって、凄い人もいたもんだよね。


 と言うわけで、ようやく僕の出番。


 ちょっと、ってどのくらい動き止めればいいんだろう?


 まあ、試しに………………………。


 思い切り吹き被って、その鼻柱に一撃を入れてみた。


 何枚も尾で妨害して来るけと、関係ない。振り下ろしの一撃はそんな焦って浮ついた攻撃では起動すら変えられないよ。


 バシン!!! って凄い音して、赤い九尾は一瞬怯んだ。


 もちろん、その瞬間を見逃すツギさんではない。


 あ、でも、さすがに触れられて、赤い九尾もわかったみたいで、ツギさん、マトモに攻撃を食らって、吹き飛んでく。


 くそ、もう一回だ、ってか結構いい感じ攻撃が入ったみたいだけど、大丈夫かなツギさん。


 でも、僕の心配なんて全く意に介さず、


 「開けたぞ!」


 床の上を吹き飛ばされ、滑りながらツギさんは叫んだ。


 「施錠は43重、封印は9種、よくわがんねー処置が2枚、怒ってるみてーな?」


 って冷静に言ってるからこっちもびっくりする。


 マジ、触れたの一瞬じゃん。


 「開いた! 真壁、これで行ける」


 って西木田くんが言った。そうなんだ、西木田くんが言うんだから間違いないか。


 「ツギさん、大丈夫?」


 「俺の方は心配するな、今度はアッギー! お前の仕事だ!」


 綺麗にバトンを渡される。


 「わかった、助かるよ」


 「いいって、約束だ」


 本当に、このツギさん、僕の前に立ちはだかる鍵は全部開けるつもりでいるみたい。本当に心強いったらありゃしない。


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