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第79話【鑑定眼はすべてを見通す】

 結局僕は、その場を納めるために、このロングソードを貰ってきたわけなんだよ、って話を、現在、地下3階で角田さんにしていた。


 角田さんは僕に手渡された、冴木さんから頂いたロングソードをマジマジと見つめて、


 「これは凄いですね」


 と言う。


 言ってから、


 「そうですか、こんなにさっぱりとした雰囲気の剣でしたか? もうすこし禍々しい感じがしたんですけどね」


 って、かつてどっかで見てきたみたいな事も言いだしてる。


 それで、地下歩行空間でのその後、多少はギクシャクしたけど、ひとまず、貰ってゆきます宣言をすると、冴木さんは、さっきまでメソメソしていたのが嘘みたいに、本当にキャッキャとはしゃいで、「そうだ、装備したところを写真撮らせて」って言われて、何枚も写真を撮られて、なんか、


「強敵を打ち倒した雰囲気で」とか、


「弱者を踏みにじる様な感じで」


とか様々な無茶な注文を受けて、いろいろなポーズとか取らされて、まあ、それで冴木さんが喜ぶのなら思って、そんな要求を受けてしまった僕がいた。しかも最後の方は僕もノリノリだったよ。


 だってさ、冴木さんが、こうして、若干の情緒不安定になるのも、僕が原因だからね。


 これらの症状みたいなものに対して治療(ギルドの人は無いって言ってたけど僕は信じてるから)が確立されるまでは付き合わなきゃ、だよ。


 最後に握手を求めらてて、シェイクハンドして冴木さん「私たちみんな真壁くんを応援してるからね」って言って、大事な用事があるからって、足早にしてかつ上機嫌で帰って行った。


 ん? みんなって誰? 今()()って言ってたよね? 聞き間違えかな?


 正直、この状況が何なのか全く把握出来ないまま、今も感情というか感想というか、冴木さんへの接し方があれで良かったのか、これからもそれでいいのかって事で混乱している。  


 そんな訳で、現在、冴木さんは僕の中で、君島とは別の意味で会いたくない人の1人になってしまっている。


 「だよね、僕が見ても高いってわかるもの」


 「これ、『現代剣』って言われるタイプの剣ですよ、現在の科学の結晶というか知識を集めたってヤツですね、ダマスカス鋼ですかね、いやそれともそれを偽装してるのか……、わかりませんね。これだけの品を持っているダンジョンウォーカーは深階層でもそうはいないですよ、もう一人でしょうね、この時点でもダンジョン最強剣の一振りって言っても過言ではありません」


 いやいや最強剣は大げさでしょ? って思いつつ、まあそうかもって思ったりもする。それに、今の話だと、これ持ってる人がまだこのダンジョンにいるってことになるのかな?


 それにしても角田さんて物知りだよなあ、って思う、特に武器やら品物を鑑定する能力とか、モンスターに関する事とか、造詣が深いよなあ、って感心している僕を見て、角田さんは、  


「あ、ちゃんと鑑定しますね、ゴホン…、ん。あーあ、この剣はロングソード+7125~∞じゃ、呪われてはいないが、贈呈者の強い想いが持ち主の運気を上げているようじゃな、秋と春夏が装備できそうじゃ、私には無理じゃな、道具として使っても特別な効果はなさそうじゃ、売れば…、いや、これはやめておきましょう、あまりに重すぎる」


 え? 口調変わった? なんで変な言い方を? そこはあえて突っ込まないで、+7125~∞って、どういう意味さ? って色々と突っ込みがめんどくさい。もういいかって思から、「へー!」って感嘆の声しか出ないけど、最後の素に戻った時の言葉がとても気になる、って言うかずっと頭に引っかかっていたから、率直に聞いてみた。


 「これって、いくらぐらいするのかな?」


 とシンプルに尋ねる僕に、ただ微笑んで、何も返答しようとしない。


 「もしかして、ものすごい?」


 微笑む角田さん。


 とても暖かな笑顔。


 笑て胡麻化しているともいう。


 「え? ちょっと、角田さん、なんか言ってくださいよ」


 「秋さん、ほら、今日は地下4階まで行くんでしょう? 値段を気にするなんて貢いでもらった女性にも失礼ですよ、秋さんは王様ですからね、防衛予算程度なんて小さなことを考えないで、もっと威厳を身につけましょうね、俺たちはこれから進む未来を見据えないと」


 優しい言い方をされる。で、なに? 貢ぐって? 僕、貢がれたの?


 角田さんはただ微笑んでいる。


 いや、なんか言ってよ角田さん、って思いたいけど、口には出さない僕だったよ。。



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