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第243話【僕らみんな北海道民】


 ヤバイじゃん。それ大変じゃん。


 「誰がが呼びかけてももう無駄なのかな?」


 「です、あの獣の耳はあの獣の耳であって、もうクソ野郎でもアモンのものでもありません、二人はきっかけに過ぎず、今の状態は………、例えるなら燃料みたなものです、ああなった奴らは、この北海道ダンジョンからはみ出てる能力を使って、定められた行動のみを取るだけですよ、もうクソ野郎でもアモンでもないんです」


 と、本当にきっぱりと言った。まるで、最後の通告みたいに、そう言った。


 「つまり、秋さん、ここではキツイようですが、最悪取捨選択を迫られますよ」


 と言ってから、真剣な面持ちで言われた。


 「つまり、北海道を取るか、あの二人を取るかです」


 そして更に、


 「北海道民の命がかかってます、辛いですが、ここは選択の余地はありません」


 って言い切られた。


 うん、そうだね、その通りだよ、


 「じゃあ、道民を守んないとだね」


 って言ったら角田さんホッとして、


 「そうですか、では奴らに対抗できるだけの考えをまとめましょう」


 って角田さんが言うから、


 いやいや何言ってるの?


 「いや、だからクソ野郎さんも、アモンさんも助けるよ?」


 「何言ってるんですか、秋さん、北海道民を助ける為に………………!」


 「だから、クソ野郎さんも、アモンさんも同じ道民でしょ!」


 どこまで言っても平行線な僕と角田さんの会話に、


 「あー、ダメだゼクト様、こうなったらもう真壁秋は人の話なんて聞いてない、もう他の方法なんて見えてない、こう言うヤツだ」


 と言われる。


 「でなきゃ、私も助かってないわよね」


 と葉山も、


 「お屋形様が私を助けた時の話は熾丸より聞き及んでいます、わからぬのではありません、熱いお方です」


 って蒼さんまで言って来るからちょっとびっくりする。


 いや、ほら、君たちの時は色々あったからだよ、ってなにドギマギしてんだ僕。


 「何か方法はないのですかゼクト様」


 って薫子さんが詰め寄る。


 「無理だ」


 と一言で切ってから、


 「確かに、奴らはまだ完全に同化はしていない、だが、言い方を変えると、すでに同化しはじめてる、一度混ざり合った漿液となったヤツらはもう分離できませんよ、しかもアモンがそれを強く求めてる、あの嫉妬の一撃を食らった秋さんならその感情の一つくらいは感じていませんか?」


 ああ、そうか、僕がクソ野郎さんの事を好き! って言ったから、あの赤いきつねは僕に襲いかかってきたんだ。


 あれは中のアモンさんの嫉妬って事だったんだ。ちょっとその挑発の意味がここにきてようやく理解する僕だ。


 まあ、確かにそうだ。角田さんの言うとおりかもしれない。


 その角田さんが更に追い討ちをかける様に、


 「今は互いに抑え込んでるかもしれない、しかし、これが完全に混ざってしまったら、もう取り返しがつかなくなります、ここからの階層でも奴らは一気に地表に出ることくらいはしますよ、その時、いくら秋さんが強くても、奴らを彼に倒せても、地上が無事ではすみません」


 って言われる、言われて、あの光のブレスを思い出して、あれが地上で放たれた場合を想像して、ゾッとしてしまう。


 でも、まだ何かあるんじゃないかな、って思う。いや思いたいのか僕。


 だって、こんな所で僕はクソ野郎さんもアモンさんも失いたくはないんだ。


 今回は、春夏さん、何も言ってくれなかった。


 だよね、これ、きっと無理な事案なんだ。


 クッソ。


 そんな僕の気持ちを知ってか知らずか、赤いきつねからの攻撃が僕に入る。腹部にドスンって感じ。痛いなあ。


 「真壁!」


 って葉山が叫ぶけど、いや大丈夫、この服だから、一度や二度の攻撃ならなんともないよ。


 そんな重苦しい空気の中、


 「ほら見ろよ、みんなを助けるなんて無理なんだ、全員が助かるなんて都合の良い話なんて、そんな未来がある訳がないんだ」


 って梓さんが言うんだ。


 その言葉に、桃さんが、


 「梓!」


 って、桃さんが怒るところなんて初めて見たな。


 その横では瑠璃さんがずっと考え込んでる。


 で、瑠璃さんが呟く様に、


 「君に、挑発の仕方を教えてくれたのは、工藤ギルド長だね」


 って改めて言われる。


 その返事をする前に、


 「何か言われてないのかい、君にこの問題が委ねられている以上、きっとまだ若干の余裕があると私は見るんだが」


 と言った。


 そうだよ、真希さんは「うまくやるべさ」って言ってた。


 だから方法はあるはずだけど。


 多分ラミアの時みたいに、僕には、というかここにはもうすでにそれをやる為の材料は揃ってる気がするんだ。


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