第237話【クソ野郎へ愛の告白!! え? 僕が?】
いやあ、でもなあ、感情って言われても、なんでこんな事言わないといけないかの内容もわかってない僕に、そこに気持ちとか入れないっとって言われても正直対応に困る。
困惑する僕に、
「いや、工藤、寧ろ、先輩の前で緊張する後輩、と言うシュチュで真壁氏の棒読みはいいのでは無いだろうか? 演技なき演技として結構響くとぽもうがどうか?」
「うーん、そういうもんだべか?」
ちなみに言葉は響いてくるけど全く何も見えてない状況だから、敵も味方も五里霧中だよ。今も尚。
第一、こんな大きな声で相談してるけど、丸聞こえじゃないだろうか? こっちの作戦というか、その企みってもう相手にバレてるかもって思うけど、
「それは大丈夫だべ、奴等、今、まともな思考系ととか持ってないからな、本能や、自身の生命に響いて来る奴以外は単なる雑音だべ」
って思った事に答えてくれる真希さん、なるほど、ありがとう、でも心とか読むのはやめようよ、って思う。疑問は解消されたけど心を勝手に読まれるって事についての疑念と懸念が尽きない。
そんな僕の腰のあたりにドスッと何かの衝撃が来る。
安心してもらってるから敵の攻撃じゃないね、これ真希さんの拳だね。
「全く、最近アッキーは、モテモテのハーレム野郎になったべから、僕ももう大人になっちゃったとか思ってるっしょ?」
とか言われる。
いや、子供大人関係ないし、普通、どう考えても勝手に心情とか読まれるの嫌でしょ? みんなそうだよね?
「あー、あ、アッキーもクソ野郎もみんな男の子ってのは可愛い時期をあっという間に飛び越えて大人になるべなあ、いつの間にやら生意気言うようになるべなあ」
とかシミジミ言い出す。その言い方が、もう、あんた数年一回来るみたいな縁遠い親戚のおばさん見たで、ちょっと笑える。そんな僕と真希さんのそのちょっと奥で、麻生さんとか笑ってる声がする。
「他人事みたいに笑ってんなよ、お前もだよ、麻生!」
真希さん、全方面に思い出し怒りになってる見たいな感じだね。
今言うことでもないだろうにね。それに真希さんの言ってることって、親族の大人が親族の子供に言うことだよね。本当に何言ってるんだろうか、この人。
「ほら、工藤、そんな事を言ってる場合じゃないぞ」
って麻生さんに言われて、「ああ、そうだったべ」とか言ってる。四方八方に広がる真希さんの思考と言動をきちんと押さえてくれる。流石だよね。麻生さん。
やっぱり、真希さんの横には麻生さんだね、雪華さんもいいけど、真希さんと一緒だと限りなく暴走して行く感じだもん。
「麻生な変な事いうから、自分を見失ってたべ」
とか言ってる。
「ああ、そうだな、では続けよう工藤」
って、理不尽な言葉を見事にスルーして、物の見事に軌道修正を完了させる。
本当に凄い、凄いけど、こういう風に真希さんに対応できる麻生さんに憧れると同時に、こうなってしまってはダメって、いう謎のロジックに捉えられる僕がいる。
「よし、アッキー続けるべ!」
ちなみに、こんな不毛な会話していつ時も見えない敵からの攻撃はビシバシきてるから、そういうのを処理しながらのこんな会話だから。というか確かに慣れてはきている。
「じゃあ、大きな声でいいべ!」
この後のセリフを僕は聞き間違いだって思ったんだよ。
「宝先輩、好きです、付き合ってください!」
え? なんて?
「何やってる、もう私じゃ通用しないんだべ、ここはアッキーが可愛く言うしかないべ?、真面目にやるっしょ!」
って怒鳴られる。
この視界だからさ、言ってる表情なんてよくわからないけど、いつもの真希さんみたいにからかってるって雰囲気でもないんだよなあ、本気で言ってる。