第236話【リピード アフター ミー】
だってあまり必死さが無いっていうか、ゆとりがあるってか余裕というか…………………
だって、これってあの異造子さんたちの起死回生を狙った作戦だよ。
しかも、この姿、ってか姿まだみれて無いけど、この状態のクソ野郎さんとアモンさん、僕らも対応できないくらい強かったし。
「真壁氏、何か忘れてないか?」
と麻生さんがそんな困惑する僕に訪ねてくる。
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困惑した。仲間に混乱させられる僕。
もちろん麻生さんは勿体つけたりしない。同じ頭のいい人でも葉山とかと違ってすぐに教えてくれる。
「つまりだ、今回の事、そして前回の子供達の反乱は起こるべくして起こったという事だ」
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ごめんなさい、まだわからない。
「だからな、アッキー、全部これは許されてる事なんだよ」
って真希さんがイラッとしながら言った。
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ごめんね、まだよくわからないや、いや僕が極端に理解力に乏しいって訳じゃ無いよ、この人たちの言い方が悪いんだよ、多分絶対。
「真壁氏、これらの事件は、この九尾はイレギュラーだったとしても、今のうちに全てこの子供達をこちら側に取り込んで欲しいという現れなんだよ」
九尾??? 今、九尾って言ったのかな?
器用に攻撃を避けながら麻生さんが説明してくれた。
おっと、凄いの来た!
カッて光って、一瞬周りを一閃してなぎ払ったよ。
「ブレスだべ」
「ブレスだな」
って真希さんと麻生さんが呟く。いやいや、レーザー照射じゃん。もうあれ、そんな可愛い速度と範囲攻撃じゃ無いよ
「光のブレスだべ」
「光のブレスだな」
もういいや、それで………。
そして、室内に何かが崩れる音が響いている。
「いかんな、この部屋は壊れる、真壁氏、急ごう」
と麻生さんは言う。
「アッキー、タイミングを見計らって角田の作ったゲートを背にするんだべ」
と言われる。
「一応、今回はアッキーがいるからな、麻生も私ももう通用しないから、しっかりやるんだべ」
って言われる。
ん、わかった。何か方法があるんだね、しかも確実な奴。なるほど、これがあるから余裕をぶちかましてたわけか。
「いいかい、アッキー、私が言うことをよく聞いて、繰り返して言うんだ」
わかった。僕は無言で頷く。
クソ野郎さんとアモンさんが助かる事ならなんでもやるよ、だってさ、僕は結局この人たちに何度も助けられてるんだ。何を思ってどう考えて行動していたかなんてわからないけど、幾度となく、本当に窮地を救ってもらってる。
葉山のときだって、クソ野郎さんがいなかったらどうなっていたかもわからないから、本当に感謝してるんだ。
結局、クソ野郎さんって、修羅場に現れるのって積極的に人を救う行為だったんだ。
あの性格にあの態度だから、みんな誤解っていうか確かにダンジョンで自転車とか乗ってしまう人だけど、彼らを本気て嫌っている人なんてこの北海道ダンジョンいは最初からいないんだよ。
怖がる人はいるけど。
「いいかいべか、アッキー、行くよ」
と真希さんは言った。
そして、真希さん大きく息を吸って、
「前住先輩!」
ああ、クソ野郎さんの名前を言うのか、と言うか呼びかけるのか、なるほどって思った。
「前住先輩!」
と僕は素直に繰り返した。
「真壁氏、ゲートを背にしたか?」
真希さんんのテンションとは打って変わって麻生さんに言われて、ああ、そうだったと、位置を変える。
真希さんは言う。
「ずっと見てました!」
なんだろう、意識して北海道弁を捨て去る真希さんの言い方が妙に可愛いと言うか艶っぽい。いや気のせいかな?
「早く言うべ、急ぐっしょ! 何やってる!!」
怒鳴られてしまう。僕に対しては同じなんだね。まあいいけど、なんか少し差別ってか、損してるみたいに感じるのは、見てくれだけはいいからなんだろうか真希さんの。
ええ、っと
「ずっと見てました!」
これでいいのかな、
「なあアッキー、もうちっと、感情とか込めて言えないべか?」
なんてダメ出しをされてしまう。