第234話【助っ人参上、ほっとする僕】
あれから一人でなんとかしようと思って、挑発??? ってやつを試みるも、全くうまくいかないで、と言うかその挑発って行為が思いつかないで、困っていた。
で、そんな困惑すると言うか混濁というか詰まった僕の所に助けが来てくれたんだ。
凄い心強い人達。
多分、このダンジョンでもこれ以上無いくらいって人達。
葉山たちの代わりに来て、これだけ心強く思う人達もなかなかいない。
まあ、この人達が出張って来るって事だから、この事態も結構由々しきことではあるよなあ、って改めて自覚できる顔触れっていう言い方もあるな。
だから、今、この膠着というか固着というかちょっと緩和されてるんだよ。
あの葉山とか角田さんとか春夏さんがいるところで、オフェンスの鬼みたいな人たちがいるところです戦ってた状況で、できなかったリラックスが今はできてる。
あの例の獣との戦いが、かなり手抜きできる環境になってる。
その理由が、
「アッキー、大丈夫かい、怪我とかしてないべか?」
って言ってきてる。「うん、平気」と答えると、
「すまない、真壁氏、私はここまでしかフォローはできない、流石に深階層ともなると、体が持たない」
とか言ってきてる。
その麻生さんってダンジョン酔いする人だからこの階層でも辛い筈じゃあ無いのかなって思う。それでも普通に動ける麻生さんの精神力は凄いな。
今ね、ギルドの幹部のトップ1、2が僕を助けに駆けつけてくれたんだ。
つまり、真希さんと麻生さんが一緒に戦ってくれてい。
真希さんは素手だね、あの横薙ぎの攻撃とか、回り込んで来る攻撃をどこでどう判断してるのか、各個に弾いて、時には素手で掴んだりしてる。
グローブとか無いんだな、素手だけど、格好も、格闘家ってよりもいつもの姿。普通にジャージにベンチウオーマを引っ掛けってる。かつてのラミア騒ぎの方が気合が入った格好だった気がする。
「うるさいべ、したっけ、こっちの方が動きやすいんだべ!」
とか言ってこっち見ながら、相手の方も確認せすに、ベシベシ相手の攻撃落としてる。
その間、麻生さんは、普通にカシナートと、ミドルシールドで、相手の攻撃を防いで、葉山にもできなかった、相手の攻撃を一旦停止させて、威力を削ぎ取ってから捨てるように弾いて落としてる。
聞いた話だと麻生さんて、薫子さんに王座を譲渡してからは、普通の人、所謂ノービスの人で、同じ騎士の深階層の常連組の代表格であるD &Dの辰野さんとは違い、魔剣も持ってないし、そんな状態で普通に戦ってる。
こんな時だけど、薫子さんて、うちの母さんに師事するよりも麻生さんに教えてもらってた方が良かったのでは無いだろうか? そもそも、この人って僕等とは強さというか、その質が違う気がして、全く違う方向に強い人って気がする。きっと薫子さん向きな剣技だよなあ、って思う。
なんだろう、麻生さんて相馬さんもそうだけど、余計な隙もとんがった部分もなく普通に強い。確かに、ある意味、ダンジョンのノービスな人たちが目指す人って言われているのもわかる気がする。一手一手が確実っていうか、無駄が無いっていうか、その動きがもう、『俺に任せろ』って言われてるみたいで、これは憧れるわ。
薫子さんみたいに簡単にジャージにもしてないしね。きっちりとフルプレート。
でも今日は新しい白系統のフルメイルって感じでちょっとカッコいい。クロスクロスの鎧みたな派手さもなくてそこも渋いなあ。
「で、アッキーこれどうすんだ? 角田になんか言われてないか?」
って真希さんに聞かれる。
「その辺に転移門があるから、こっちに引きつけたら、降りてこいって言われてます」
「アッキーいなくないると、こいつ外を目指すぞ」
って真希さんが言った。
「いや、角田氏がその言い方なら、まだ望みはあるのではないのか?」
との麻生さんの言葉に、
「まだ取り込まれてないって事かい?」
「あのアモンだからな、宝も、そうとに抵抗はしている筈だ、その証拠にこの攻撃も私程度の者でもなんとかできてるしな」
とか言ってる。
「ともかく、一度、角田氏の案に乗ってやる必要がある、ここは真壁氏の言う通りに誘導しよう」
と言った具合に結論がたった。
こんな会話してるけど、全く浮き足立った所もなくて適正に相手を処置している感じが凄い。もう、なんだろうか、これ戦いって感じじゃなくて、ほぼ作業と化してる。
若干の余裕と、ダンジョンでもギルドでも最近参加した方での運営の立場としてちょっと聞いときたい事があったから、訪ねてみた。
「真希さん、これって、かなり危機的状況でしょ?」
「そうだべ、結構由々しき事態だべ、だからこうして私らが出てきてるっしょ」
だよね、結構危機的状況でも真希さんってあんまれ出てこないからちょっと心配になってきたけど、結局真希さんがいるからその分安心して、あ、プラマイ0っぽい。で、麻生さんがいるからさらにプラスで、だから安心してるんだな僕。
「真壁氏、私達が敵の攻撃を引き受けるから、正面から特攻撃だけに専念してはどうか?」
と言う提案が出て来た。
ってか今のこの霧ってかガスった視界ではどっちが前で、敵がどこみてるかなんげわからないよ。
「つべこべ言ってねーっでやってみればいいしょ!!」
と、どこ方ともなく真希さんに怒鳴られる。なんだろう、かあさんにガチで怒られてくらいに気持ちが辛いのは気のせいじゃないよね。