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第230話【迫りくる神と王の兵器なる獣】

 おっと危ない。今の桃さんと梓さんに当たるとこだったよ、剣に乗せて軌道を変える。


 「すまない、助かる」 


 と瑠璃さんが言う。凄いよね、この人、一瞬の出来事なのに僕が何やったかきちんと見えてるみたいだ。


 「今のが融合した奴らか?」


 桃さんは梓さんに尋ねる。


 「知らない、私は変異が始まった時点で逃げて、ギルドの奴らと狂王たちに捕まったんだ」


 捕まえてはないけど、行き合ったね。その人それぞれで立場とか捉え方の違いってあるんだな、ってこんな時だけど思った。


 思っていたけど、今の事態はそれどころじゃないくらい深刻だよ。


 なんだろ、これ? 


 今まで出会った来たダンジョンのモンスターとは明らかに違う大きな塊みたいな存在感。 


 それに、誰がどう見たってこれ、強いとか弱いとか、そんな枠では考えられないような相手が、今、1階下の階層からこっち見てる。


 やばいなあ、これ。


 一度、様子見て、なんて思ってたけどそんな悠長な事を言ってる場合じゃないぞ。


 それは葉山も感じている様で、


 「一人は逃がせる、状況を知らせないとまずいよ真壁」


 と言ってる。


 ここで足止めできるかどうか………………………。


 何と言っても相手は、このダンジョンの床や天井、壁なんて無視して普通に進める相手だ。


 それに、この気配が、クソ野郎さんとアモンさんのなんとかどうかされて変化した、慣れの果てだなんて、とても考えられない。


 持ってる気配がまるで違うんだ。


 なんて思ってたら、来た!


 床突き破って出て来た!


 破片と埃が凄い。


 飛んでくるダンジョンの床の破片は当たれば即死するくらいの勢いだ。あ、大丈夫だったみんな避けてる。角田さんに限っては受け止めてる。


 「な!凄いだろ! 私がやったんだ、これでもうこのダンジョンも北海道もおしまいだよ!」


 ってヤケクソなのか、それとも無常に喜んでいるのか、梓さんが叫んだ。


 「言ってる場合か!」


 って桃さんに怒られる。


 その二人の元に、まるで瞬間移動の様な、そう思わせる速度で、巨大な体躯をした何かが迫った。


 桃さんと梓さんに身構える隙なんて与えない。


 「ダメ!」


 間に入ったのは春夏さんだった。


 その瞬間に春夏さんが、構えた化生切包丁と共に吹き飛ばされる。


 その後ろにいた桃さんと梓さんも巻き込まれる。いや、攻撃届いてないだろ?って距離なのに綺麗に薙ぎ払われてた。


 「春夏さん!」


 完全に虚を突かれて、出遅れた僕は吹き飛ばされながらも尚も、下からやって来たやつに狙われてるみたいな感じで、


 「くそ!」


 って呟いて、春夏さんを救出せんが為に動く。


 「お屋形様、敵を、私が!」


 って僕の背後から蒼さんが飛び出し、飛ばされる春夏さんに絡みつき、速度を殺して二人で転がる様に床を滑って行く。


 クッソ! 春夏さんが!!!!


 光の速度で頭に血が上る。


 これ絶対に怒り狂うパターンだ。って自分でも意識できるのに止められない憤怒の疾走にまるで、その意識を横に押しどかす様に、


 「真壁!」って葉山の声が入ってくる。


 「落ち着いて、春夏は大丈夫だよ」


 ってさらに追加で葉山からの情報。


 ああよかった、って思ってたら、充満する埃を振り払う様に葉山は僕に姿を見せて、


 「真壁は敵の注意を引いて!」


 って春夏さん程では無いにしても、吹き飛ばされた桃さんと梓さんを抱えた葉山に言われた。


 わかった。


 って言われても、未だ、床を突き破っていた砂煙みたいなものでよくは見えない中、僕の正面に何か来る。


 ひとまず一閃。


 入りのところで、僕の剣がありえない方向に流される。


 ????


 なんて疑問が具体的に吹き出す前に、相手からの攻撃。


 ヤバイ、これ躱さないといけない奴だ。


 と、回避に全力を傾ける。


 僕は攻撃を食らった春夏さんを見てたから、概ねの範囲からさらに大きく取って回避しようとする僕の腕と胸に大きな衝撃が走る。


 「ぐえ!」


 うわ、変な声出ちゃったよ。


 「真壁!」


 「秋くん!」


 「お屋形様!」


 よかった、春夏さん無事だね。


 瞬時に聞き取れたから、一瞬だって気を失って無いのは確認できる。


 うわ、飛ばされる僕に、追走して来てる。逃がしてくれなさそうだ。


 力もそうだけど速度がヤバイ。


 これだけ人がいる中対応できるかちょっと不安になって来る。


 少なくとも、今の状態では剣は通らないみたいだ。



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