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第224話【僕に夢中なゼクト様】

 言いたくないなら言わなくてもいい、ってのんびり構えてられる場合でもないので、


 「角田さん、あと、桃井くん、何か知ってるなら話して」


 と言うと、まず桃井くんが、


 「可能性は低いです、でもない訳ではありません」


 ちょっと奥歯に物が挟まった言い方をされる。


 角田さんは急に、


 「姫さん、武器は持ってるか?」


 と薫子さんに話しかけた。


 多分、賢王の神器、『破斧グラウコーピス』の事を言っているんだと思う。


 「はい、ゼクト様、ここに」


 と腰からぶら下げている、ほぼ円形の両手斧を指し、薫子さんは言った。


 「そっちの聖王の嬢ちゃんも、持ってるな」


 と念を押すように言って、


 「なら、対応はできる」


 と呟いた。


 そして、


 「どこで、それをなした?」


 と、薄ら笑いを続ける異造子さんに向かって言う。


 「いや、ゼクト様、まだそう決まったわけでは………」


 そう言いかかるのは桃井くんだ。


 しかし、ゼクト様である角田さんは、この言葉の後に長く大きなため息を吐いて、


 「教祖さん、もう始まってるかもしれねーんだぞ」


 と角田さんにしては珍しく、緊張をその表面に浮かばせて、それでも笑いながら言った。 


 そして、


 「死んだってのはあながち嘘ではないですよ、秋さん、俺たちはすでにあのクソ野郎を失っているのかもしれない、今は生きているかもですよ、ですが最終的には結局、あのクソ野郎は死ぬことになるって事です」


 と僕に向かって言う。


 そして、その横では絶望の顔色を浮かべて相馬さんが、


 「そんな事言わないでください!!」


 って叫んでる。言われてる角田さんって全くそんな相馬さんの言葉なんてどこ吹く風って感じて、僕の方を見て未だあれこれ考えてる。


 「大丈夫、角田さんも変な事言わない、事実だってまだ確認できてないのに?」


 酷く落ち込んで行く相馬さん。本当に角田さんて、この手のことには配慮に欠くよなあ、もう、相馬さん、角田さんがそんなこと言うもんだからその体内はいっぱいの不安で満たされてるみたいになってる。


 そんな彼女に、


 「落ち着いて、今はまだ事実が出てきている状態、この頃は、ここにいる王達によって措置が決まるわ」


 とサーヤさんが珍しく僕らの会話に参加してきた。その顔はとても真剣で、想い深い、そんな重さと色をしていた。


 「もしそれが本当のことだとしたら、すでにこの世界の危機は始まっていると言うことですか?」


 と桃井くんは角田さんに尋ねる。


 「少なくとも、一度これが始まってしまうとこ一般のダンジョンウォーカーには対応する術がない、この現象の対象はダンジョンじゃねえ、北海道なんて枠でもない、全地上世界、つまい社会だからな、効果は物理で現象は災害に似てるかもな」


 「ちょっと、角田さん、言ってる意味がわからない、何が起こってるんですか?」


 僕も思わず口を挟んでしまった。そう、なんでそんなことが、この程度の情報であたかも見てきたかのように話している角田さんが意味不明だった。


 すると角田さんは、頬に一筋の冷えた汗を流しながら、


 「俺もまた当事者なんですよ秋さん」


 と、角田さんは深く、そう呟いた。


 そして、


 「俺にとって幸運だったのは、当時、秋さん以外の事を考える余裕がなかった、秋さんでいっぱいだったです」


 と真剣に言うからちょっとどう返事していいかわからなくて、


 「う、うん」


 って答えると、


 葉山が小さな声で「きゃー」とか言ってる。「え? どう言う意味ですかゼクト様?」と素で聞いてるのは薫子さん、いつの間にか潜伏して僕を守っていた蒼さんが僕と角田さんの顔を見比べてるんだけど、その顔が赤い。


 え? なに? どう意味? 


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