第218話【王様いっぱいでてんやわんや】
それもおかしくないかな? とは思うんだけどその試みにちょっと興味があったから黙って聞いていたんだけど、この『掌握』、実際使って見ると、割と大変なスキルらしくて、しっかりとしたロジックを組み立てて、目的みたいなものを効果の範囲をきちんと把握してないと、その効果が顕現しないらしいんだ。
というか、葉山と薫子さんはそうだったって、薫子さんも葉山に言われて家でリラックスする僕に対して使ってみたそうだけど、いや、それもまたおかしくないかな、とは思うけど、その試み自体に興味があったから黙って聞いてたけど、薫子さんの『賢王』としてのスキルでの『掌握』も葉山に寄った仕様らしかった。
それに、思考とか意識のほとんどをスキルの使用に持ってかれるから、僕みたいに、『無意識に』とか、『気がついたら』とかで出せるようなスキルじゃないって言った。
今、お手軽に家に三人の王がいるから、その辺の話し合いとかすり合わせみたいな事ができるのはありがたいけど、比べれば比べるほど、僕が言われている『狂王』ってスキルは、もしかしたら、葉山や薫子さんの持ってる『王』のスキルとは異なるものかもしれないって結論が葉山の中ではなんと無く出てるらしい。
「王は王でも、自分を倒しに来た人に、世界の半分で取引しようとしてる王かもね」
とか言われてる。ああ、それ知ってる、自分を自分で『偉大な大王』とか言っちゃうタイプの痛い人だよね、違うから、僕そんなんじゃないから。
一応、葉山の予想の中の結論としては、このスキルは多分『春夏案件』だと言っていた。基本的に、僕を構成する2大要素の一つらしい。つまり、僕の持ってるスキルは春夏さんの為の物で由来の物、そしてもう一つの要素が『今日花案件』つまり母だね。僕を構成する2大要素らしんだ。
「一つだけでもありえないのに、どうしてこんな2大要素がコンパクトに収まっやってるかな?」
なんて僕みてシミジミと言う葉山に激しくうなづく薫子さんだったけど、まあ、仕方ないんだよ。約束だからね。
まあ、僕の方はともかく、僕のそんなスキルはともかく、凄いのは葉山だよ、回復系に、バルカだって魔法スキルだし、剣技だって自分で身につけたっていうから、葉山ってもしかしたら正統派というかダンジョン由来の達人かもしれない。正統派ダンジョン流かもしれない。
そう思うと僕はこの委員長な同級生を、やっぱり尊敬してしまうんだよ。
「はい、もう大丈夫、ギルドのみんなについて行ってね」
って、エグエグ泣いている女子の新人ダンジョンウォーカーにそんな風に優しく語りかけると、不思議と彼女達は泣き止んで、そのまま葉山に感謝しつつ、支援に来てくれてたギルドの人たちについて、僕らに何度もお礼を言いながら、後、しがみついてしまった事を詫びながら、ギルドの人たちに誘導されてこの場を離れて行った。
「今、お前、感情をコントロールしたろ?」
っていつの間にか来ていた薫子さんが葉山に言う。いや、気が付かなかっただけで、水島くん達と一緒に来ていたのかもしれない。こっちもそれどころじゃなかったから気が付かなかったよ。
「うん、ちょっと弄った、でもいいでしょ? 悪い事じゃないわよ、優しく言い聞かす時間を短縮しただけの使い方だから」
と葉山が言うと、
「私たちのスキルは、特に精神に影響を及ぼす使い方はしない方がいい」
「大丈夫、能力に甘えないよ、依存もしない、問題はキチンと理解して使用する事、だからいいでしょ?」
そんな話し合いをする薫子さんて、あんまり王様スキルとか使わないよね。もともと姫様とかい言われて偉そうだけど、こう言った人を操る能力を使った所を見た事ないなあ。
「薫子さんが使わないのって不器用だから?」
って思わず聞いてしまうと、
「失礼な! 真壁秋!」
と怒られてしまう。葉山は声出して笑ってた。