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第76話【最強兵器は僕の手より存在確立する】

  その冴木さん。今度は僕の目を見て話しはじめると、なぜかたどたどしくなってきている。


 「駄目ね、真壁君と二人っきりで会ってるって考えると、改めて思うと、緊張してしまうわ」


 なんて言いだす。本当に、改めて緊張を感じてるんだ。どんどん、視線が泳いで表情が、だから感情が定着しないみたいな感じ。


 「だ、だからね、『剣』の形をしているモノなんだけど、き、君に使って欲しいの、もちろん、ま、真壁くんの剣なのだもの、気に入るとか気に入らないの問題なんてないわよね」


 あえて、視線を逸らして、ケースを見ると、その視界の端の冴木さん凄いいい笑顔。


 そして、次の僕の行動を待ってる。


 さっきまでの大人な感じはどこかに吹き飛んで、どこか落ち着きもない。


 「直接本人を目の前にしてしまうと、緊張するわ」


 まるで、熱狂的なファンが、狂信の対象にするアイドルかタレントでも目の前にしてるみたいな?


 これって、昨日説明のあった僕が軽い気持ちで雑に使った王様のスキル、『掌握』の効果なんだって、思った。僕はその効果が表れている本人である冴木さんを目の当たりにしてみて、これって、本当に自分の行いによる結果なのだと自覚した。


 だから断れない。


 形としては不十分だけど、これは臣下になる事はなかった、ファンとして、僕に尽くしてくれる行動なんだ。


 もちろん、力の発現としては中途半端で、だから、影響を受けた人からすると、臣下ではなくて熱狂的なファンって形に着地している。その辺がこれら、半端な掌握を受けた人の心の落としどころって言ってた。


 だから、そんな彼等の行動に対して、僕の反応は重要になる。冷たくしたり、変に断ると、その人は自身を否定されて、最悪の場合……。


 なんとなくだけど、その熱気っていうのが冴木さんから伝わって来るんだよ。その圧力ってかエネルギーが見えるくらいに激しく僕に向かってるってのがわかるんだ。


 本来は、僕もそんな姿で態度の冴木さんの見て、もっと深刻になるべきなんだろうけど、これも僕の持つ、『狂王』ってクラスの生させる技なのか、それとも冴木さんが、本当に生き生きとして、心底楽しそうに微笑んでるから、意外な程、僕がこんな形を、冴木さんの心情と現状を変えてしまったことに罪悪感が出て来ない。


 もちろん、表面的かもしれないけど、悪いな、って言う意識はある。


 でも、こんなに嬉しそうに話す冴木さんを見てると、これもアリかな……なんて、無責任に感じてしまうから不思議だ。


 でも、僕の言動によって、冴木さんは僕にとって良いことをしたのかどうかわからなくなってきてるのかな? 若干不安気に見える。


 冴木さん、本当に僕を相手に緊張しているみたいな感じで、ここは素直に喜ばないと、それを冴木さんに見せないとって、責任を感じつつも、そこは素直に『剣』と聞いて、こんな状況下だけど、ちょっと気持ちが上がってしまう僕がいるんだ。


 だって、剣だよ、剣。


 そして、僕は、このケースを開けて中を取り出すことで、この一連の事件とも言える冴木さんの行動に関して、意外なほど心配する事なんてバカらしいって思うくらいの揺るぎない現実に辿りつくんだ。


 つまりは、これは、僕に対して、来るべきにして来たって結論を迎えたってだけの話だったんだ。


 その意識とどこかで触れあった未来線上から、今に至って、僕に所持されることでそれは存在を確率されているんだ。


 だって、これは、どこにでもあって、そしてどこにもない。


 そんな存在だったから。


 それが今、ようやく形を持って結実した。


 たった、それだけの事だったんだ。


 だからもし、冴木さんが、この件に関して、困った事があるなら、それは全部僕の責任なんだよ。


 まあ、全部の罪を僕が被ったってかまわないって、事。


 大丈夫、僕には『少年法』とかもあるしさ。


 真剣に反省するから許してもらえるよ。


 なんて、へんな覚悟をしつつ、午後のダンジョンが楽しみになってる僕だったよ。


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