第209話【別れた記憶に問う僕】
そして、問題を解決した事によって新たな問題が発生してるこの問題は、全くの別問題なんだ。だから、もう仕方ないから事後処理で対応していこうと思う。
そもそもさ、
「何でこんな事をしてるの?」
って聞いてみた。
すると、榴さんはと柾さんは顔を見合わせて、
「親の代わりだよ、俺たちの親は罰せられて、ダンジョンの一部されてるから、それの代わりに俺たちがやるんだ」
と柾さんは言う。
ああ、なるほどね、親は魔物って言ったから、確実に両親はいるわけで、その両親の代わりに、この人達孤軍奮闘していたんだね。それは納得なんだけど、でもなんかその言い方だとまるで悪いの春夏さんみたいに聞こえてしまったんだ。
何言ってるんだよ、って思ってしまったんだ。
だから僕は思わず、
「ねえ、春夏さん、この子達の両親、殺してしまったの?」
って、僕もどうしてか春夏さんに聞いてしまった。
だから自分で言ってて驚いてしまう。
すると、僕が尋ねたことで、榴さんも柾さんも、まるでこの瞬間に突然春夏さんが現れたくらいの認識で、今まで、僕らに接していた表情とはまるで違う顔、ものすごい険しい表情になって、顔以上にその気持ちと言う感情、いや違うな根源にある本能が体に現れてた。
ガタガタと震え出したんだ。
尋常じゃないくらいの震え。
自分を殺してと、まるでその辺に転がってる空き缶をゴミ箱に捨てといてよってくらいの軽さで言う異造子達の溢れ出てしまうくらいの畏れ。
榴さんも、柾さんも春夏さんの方なんて一瞥もしてないけど、そこにいる彼女に間違いなく畏れを、もう根源的な恐怖を与えられているみたい。
そして、僕もちょっと反省したんだ、どうして春夏さんにそんな事を聞いてしまったんだろう? って。こうなるともう表に出るしかないからさ、本当にしまった、って思ったんだ。
そんな事、彼女が答えられる筈もないんだ。春夏さんは言えない筈なんだ。わかってたけど、僕はその言葉を聞きたかった、と言うか、榴さんと柾さんに聞かせたかったのかも知れない。本当に春夏さんがした事をちゃんと理解してもらいたかったのかもしれない。だって、誤解されったままって可哀想だから。
固まってしまった空気、この部屋の雰囲気。
明らかに恐怖を与える者、そしてそれを受ける者、支配する者されるものが生み出す鉛みたいな色した重く鈍い空気が部屋全体を包み込む。
そんな空気を入れ替えたのは葉山だった。
「春夏がそんな事するわけでないじゃない、真壁もなんて事聞くのよ」
といつもの声で、いつもの明るさで、そんな事を言った。
葉山のその言葉にびっくりした。
葉山知らないじゃん。
いや、できるし、するよ、僕らはそう言う立ち位置だもの。
もちろん、そんな立ち位置、今の僕は知らない。でも知ってる事だけを知ってる僕なんだよなあ、だから聞いてしまったんだ、今までならこんな事、気がつきもしなかったから、ちょっとづつ返されているなあって改めて気づくんだ。だからこそ、こう言った誤解というか勝手な思い込みで接せられるのは嫌なんだ。
だよね、僕は知ってるんだ。
春夏さんは一体誰の為にこんなことしてると思ってんだよ、って、今の僕には意味のわからない怒り見たいな感情がふつふつと湧いて来る。