第208話【北海道を平な器に】
追い詰めらた異造子達のテロ行為に対しての警戒は解かれないって事だね。
僕も警戒はしておこうと思う。
ともかくダンジョンは平和にだよ。
って言葉で思い出した。
そうなんだ、榴さんの言う平和の意味について何も聞いてなかった。
アレ、絶対に僕の思う平和な意味とは異なるって気がする。ちょっと会話が止まっていい機会だから改に聞いてみた。
「榴さんたちの言う、平和ってどう言う事なのさ?」
すると、その質問には柾さんが答えた。
「北海道を平たくして置くのが俺たちの仕事です」
北海道を????
さっきの会話の中で、平らにって事は聞いていた。でも、その時は『北海道』ってワードは出てこなかった。北海道って、この地を加えることで、ずいぶんと具体的な印象が出る。なんか嫌な予感がした。
「だからさっぱりわからん、さっきから平たくって言っているが、一体それってどう意味なんだ?」
イラっとして全体的なフワッとした話し易い雰囲気を壊してしまうのは薫子さんだった。言い方が硬い。で遠慮がない。
そんな言い方だから榴さんが、ちょっと意地悪くするみたいに反応して、
「そんな事もわからないのか?」
って揶揄するみたいに言った。
「ああ、わからん、平らになど、この地を踏み潰して平たくするわけでもあるまい」
と、相手の言葉を真っ直ぐに受けて、そしてそのままの意味として捉えて返す。
そうしたら、榴さんは、あっさりと言うんだ。
「わかってるじゃないか」
え? どう言う事?
「そうだよ、この地を平たく踏み潰して、設置し易い様にして置くんだ、それが私達の仕事だよ」
まさかの物理だった。
と言うか土木???
「本気でこの地を平たくって事なの?」
思わず尋ねると、彼女は、榴さんは言うんだ。
「将来的に危険となる組織は内部から分解、もしくは操作してこちら側につける、で、その後、このゴミゴミした外の世界に取り掛かるつもりだった、中は中途半端になってしまったが、もう、事はなった」
そして榴さんは僕を見て言うんだ。
「お前が本気になっている今、もう我々に先はないからな、問題はある、何もかも中途半端になってしまったが、これ以上時間をかけてしまうと、お前に全てを潰されてしまうからな」
と言った。
いや、本気とかないし。って思うんだけど、僕の意識が彼女、異造子さん達に向いて、割と軽いレベルでの探索と言う名の今までの行動が、彼女達を追い詰めていたって考えると、真希さんの言ってたことって、こう言うことだったんだ、と改めて理解できた。
つまり、アレか? 悪いの全部僕ってことかな?
ちょっと考えてみる。
浅いところに答えはなかった。
だから、深く考えてみる。
でも、僕、それほど深く考えての行動じゃなかったから、そこに答えもないや。
つまり、僕の知り得る情報では、例えて言うなら、外にある傾いた物置直すのに、母屋の材料を使ったら、それ構造材で、取り外した母屋が傾いてしまったって感じかな。
そして、今思うのは、今こそ僕のこの行き詰まり感のある思考に誰か突っ込んで欲しいのに誰も何も言わないって事はだよ、結局僕が全部悪いってことになるんだな、きっと。
あ、葉山、何も言わずに頷いた。
いつの間にか僕の後ろに立っている角田さんもご納得の表情だ。
そっか、僕のせいだったんだ。
でも、まあ、桃井くんの長い間の問題も解消できたし、久しぶりに笑顔も見れたし、まあいいかな、とは思う。